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1-8 俺は魔法を知った

「グギャ!」


 太陽が昇りきり、ちょうど真上に差し掛かろうとした頃、緑が現れた。

 ちょうどいい。名前があれば強いと言ったブルの言葉を試してみるとする。



「ブル。あれを()れ。」


「ワカッタ」


 強くなったからなのか相手が一匹だからなのか、ブルの言葉からは余裕が感じられる。

 距離はおよそ80メートルといったところ。

 相も変わらず武器を振り上げ走ってくる。

 今回の武器は棘付きの木の棒、通称こんぼうだった。


 ブルは火の玉を出すつもりなのか、小さく何かを呟いたあと以前と同じように


「ギギャ!」


 と叫んだ。やはり何を叫んだのか分からない


 以前よりも2周りほど大きくなった火の玉が緑を焦がす。

 前は野球のボールくらいだったのが今ではバレーボールくらいに成長していた。

 玉の大きさと比例して威力も上がったようで、今度は当たった個所だけでなく全身に火が回っている。

 5秒ほど延焼が続いた後、ドサッと黒く炭化した緑がその場に崩れた。


「前にも見たが、それはなんだ?マジックか?」


「マジック、チガウ、マホウ」



 「魔法」なんて言葉が出てくるとは。

 ファンタジー小説に出てくる火やら水やらを物理法則無視して操るものだったか。

 その手の書物は好みではないため詳しくはない、知っているのはこの程度だ。



「なんていう魔法なんだ?」


「ファイアーボール」


「どうやって使ってるんだ?」


「ジュモン、トナエル、ウツ」


「俺にも教えてくれ」


「ニンゲン、コトバ、ワカラナイ、デキル、ワカラナイ」



 たぶんこいつら独自の言葉で人間後に翻訳ができず、俺にそもそも才能があるかも分からない、と言っているのだと思う。

 俄然ブルの種族に興味がわいてきた。



「お前を助けたときにも使ったな。なぜほかの2匹も同じようにやらなかったんだ?」


「ナマエ、ナイ、ヨワイ。イッカイ、ウツ、ゲンカイ」


「ほかの奴も同じように魔法が使えるのか?」


「オライガイ、シラナイ。タブン、ツカエナイ」



 名前があるのとないのとでは魔法とやらの威力も使用回数も増えるのか。

 魔法も確かに緑が使っているところを見たことがない。

 青もブル以外見たことがないため、もしかしたら青だから使えるということもあり得る。

 使用回数は時間経過で回復するのだろうか。

 どれくらい使えるようになったのか。

 他に使える魔法はあるのか。

 知れば知るほど興味は尽きない。


 面白い生き物だ。




 歩きを再開する。

 途中何匹か緑が襲ってきたがブルが全員魔法で焼いた。

 歩きながらいろいろ質問したところ、こいつは火の魔法しか使えないらしい。

 ブルの魔法の師匠である父親は氷の魔法のみが使えたらしく、二つの属性が使える者は非常にまれだと言う話だ。



 そして日が沈み始めた頃、目的地に到着した。

 結局ブルは5回以上魔法を使ったが、前のように気を失うことはなかった。


土日は不定期で何本か挙げる予定です。

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