第8話 1日の終わり
いつの間にか太陽は沈みかけ、夕闇はどんどん夜の暗さに変わっていくところだった。
結構話し込んじゃったなぁ。
ごめんね。ラルフさん。と心の中で謝罪し、俺は宿屋へ到着。
ラルフさんは何処にいるのだろうと辺りを見回すと、ラルフさんは、宿の食堂らしき場所で椅子に座りくつろいでいた。
ラルフさんは入ってきた俺を見つけ、こっちにやってきた。
「おう。大分遅かったじゃねぇか。それで登録は済んだのか?」
「はい、この通り冒険資金も頂きました!」
俺はそういうと麻布袋の中から2~3枚銀貨を取り出し、ラルフさんに見せた。
「じゃぁ、記帳するから一緒に来い」
そういい、ラルフさんと俺は宿のおばちゃんの元へ向かいった。
「1泊3シルバー、5泊だとおまけして12シルバーになるよ。飯はちゃんと出るから安心しなさい。」
意外と高かった。
まじかー。5泊すると手元に8枚しか残らないのか・・・・。
まぁ背に腹は代えられないっていうから仕方ないな。
「5泊でお願いします。」
そういうと俺は麻布袋の中から銀貨を12枚取り出し、おばちゃんに渡した。
ラルフさんは記帳をしてくれた。
「確かに頂いたよ。もう夜になるから晩飯はどうする?ここで食っていくかい?」
村に入る前にミミカの実を食べたが、さすがに3個くらいじゃすぐ腹が減る。
「あ、じゃぁお願いします。丁度お腹減ってたんで。」
「お?飯か。ワシも頂こうかの。」
ラルフさんも腹が減っていたのだろう。
「じゃぁ用意させるからそこの席で座って待ってな。」
おばちゃんはそういうと食堂にいる料理人に俺とラルフさんの料理を頼んだ。
俺は料理ができるまで、ラルフさんにこの国、主に東大陸の事を聞いた。
―――この東大陸には現在6つの国があるという。
まず俺たちがいる国。エルメニア公国、ここは割と気候に恵まれ豊かな国らしい。
人や亜人が共存しながら暮らしているらしい。
亜人というのはエルフの事かと思ったのだが、エルフ以外にも亜人は沢山の種族が存在するらしい。
次に隣接するガサラス帝国の話を聞いた。
ガサラス帝国は、軍事に趣きを置いていて5年前に1つの国と戦争を行い国一つ滅ぼしたそうだ。
国としては東大陸一の軍力を持っているのだそう。
ラルフさんはこのエルメニアの中で商人をしていて、他の4国に関してはあまり分からないそうだ。
ただ、ガスフィー獣国は亜人が大半を占めている国家だと教えてくれた。
「そういえば、東大陸の地図とかって何処かに売ってませんか?」
「ん?地図なら冒険者ギルドに売ってただろ?」
んーそういえば、受付の反対側に売店みたいなのあったな。
「あった気がします・・・。」
「まぁ今日はもう遅いから明日にでも買って来たらええんじゃないか。」
そんなやり取りをしていると料理ができたらしく、料理人が持ってきてくれた。
「待たせたな!まぁ、あまり大層なもんではないがうまいぞ?」
目の前に出された料理はパンとシチューかな?それとベーコンっぽい物を焼いたものだ。
昼からミミカの実しか食べてなったので思わず涎が垂れそうになる。
「んじゃ食べるとするかの」
「はい!食べましょう!」
俺はいただきますと言い、手を合わせる。
ラルフさんは不思議そうな顔をした。
自分の地域で伝わっている食事作法だと説明するとラルフさんは納得してくれたようだ。
さぁ、実食!
まずはシチューを啜る。あぁうまいんじゃぁ~。
濃厚なミルクの味とゴロゴロ入ってる大きめのじゃがいもや人参、仕上げの黒胡椒っぽいものが何とも言ないね!
俺はパンをひとちぎりし、口に入れる。
パンは結構硬かったが、シチューになじませると柔らかくなり、これまた美味い。
そしてベーコンの様なものを一口食べる。これはっ!美味すぎるぅ!
俺がいつも食ってるベーコンより遥かに美味かった。
「このベーコン美味しいですね!どこの部位なんですか?」
水をのみつつ、俺は美味さのあまり料理人に聞いてみた。
「あぁ、それはオークの腹んとこの奴だよ。美味いだろ!」
ブホォッッッ!俺は口に含んだ水をぶちまけた。
「うお!?きったねぇな!」
ラルフさんに少しかかったようだ。手ぬぐいで自分の顔を拭いていた。
「オ、オ、オ、オークですか!?」
オークといえばファンタジー小説やゲームの中でよく登場する2足歩行のあの豚の事なのか!?
「そうだぜ?にいちゃんオーク食ったことねーのか?」
料理人は珍しい物でもみたかのように言ってきた。
―――この世界ではオークの肉による料理は珍しくないとの事。
というより色んな魔物の肉が普通に店に並んでいるらしい。
まぁ美味しいから気にしないことにした。
はぁ、食った食った。思わず2人前程食っちまった。
美味しそうに食う姿が気に入られたのか料理人はおかわりは無料だと言い俺にくれた。
「さて、そろそろワシは部屋に行くがお前さんはどうするんじゃ?」
「そうですね。俺も自分の部屋を見てみたいので行きます。」
そういいラルフさんと別れ、おばちゃんもとい女将さんに部屋を案内してもらった。
「ここがあんたの泊まる部屋だよ。何かあれば遠慮なく言ってくれていいよ」
そういい女将さんは階段を降りていった。
部屋はあまり味気があるほうではいが、ベッドがある。ちゃんと布団も毛布もある。
これはゆっくり眠れそうだな。
木で出来た窓を開けると風が吹き抜けこの村が意外と見渡せる。
いい部屋だ。
俺はベッドに寝転がり、今日の出来事を整理しそうとたが、精神的に大分疲れたのか
ウトウトと夢の中に誘われていった。




