第11話 ゲームからの贈り物
あらかたシロを愛でると俺は銀貨の入った麻布袋を取り出した。
やはりシロも飯を食べるのであろう。
そうなるとこの銀貨の量ではすぐに無くなってしまいそうだ。
「うーん・・・ここはやはりギルドで依頼を受けて報酬をゲットせねば」
そう思いつつ俺はシロを連れ部屋を出て、食堂に降りて行った。
「おや?何だいその狐は?あんた、拾ってきたのかい?」
食堂に行くと女将さんと目が合いシロを見て少し驚き、尋ねてきた。
そりゃそうだ。宿に泊まる時にはいなかったのだから。
夢で神に授かったなんて言えるわけなく
「夜ちょっと散歩がてら外を歩いていたら見つけて、懐かれてしまい連れてきちゃいました。一緒に泊まっても問題ないですか?」
「あぁいいよいいよ。じゃぁその狐ちゃんの分もご飯いるかい?」
コォンッ!っとハクが肯定の意を示す。
「おや、人の言葉が理解できるのかね?賢い狐ちゃんだ」
そら神からの贈り物だもの。てか夢の中では喋ってたよな。
『あるじあるじっ!』
そう思うとハクは喋った。だが口が動いていない。
ん?
『あるじのあたまのなかにはなしかけてるのっ!』
なんと・・・・・テレパシーみたいな物が出来るのか。俺のハク、可愛い上に凄いな。
『あるじもできるとおもうよっ!ケーヤクしてるからっ!』
・・・何かできる気がする。そんな方法知らなかったが、こうすれば出来ると何故かわかっていた。
『あー・・テステス。どうだ?聞こえるか?』
『うんっ!バッチリきこえてるよっ!ボクはまだしゃべれないからネンワでおはなししてくれるとウレシイなっ!』
なるほど。だからさっきコォンとしか鳴けなかったのか。
『OK。シロって俺らがいつもの食ってる食べ物で平気?なんかペットフードみたいな物じゃないと駄目とかある?』
『あるじとおなじタベモノでタイジョウブだよ~』
よかった。俺はひとまず席に着き、出された料理をシロと一緒に食べることにした。
ふぅ。ご馳走様。
『ごちそーさまでしたっ』
ライルさんはまだ姿を見せていない。まだ寝ているのだろう。
さて、腹も満腹になったし、早速冒険者ギルドに行ってみるか、地図も買わないといけないし。
『ハク、冒険者ギルドに行くけどお前はどうする?』
『モチロンついていくよ・・・あるじとボクはイッシンドータイだからね・・・』
かなりの量を食ったのかハクは腹をパンパンに膨らませ辛そうに言った。
俺はハクを頭の上に乗せ、冒険者ギルドへと向かった。
冒険者ギルドに行くと俺はさっそく東大陸の地図を買う事にした。
1シルバーと50カッパーだったがこの際仕方ない。
だがやはり地図も国家名が書いてあるであろう部分はこの大陸の文字らしく読めなかった。
『ハク、これ読めるか?』
『うんっ!まっかせて~』
ハクサマサマである。
ハクに言われた国名を俺は地図に追記していく。
こんな感じかな。出来上がった地図を見て、俺はウンウンと頷く。
『しかし、鞄とかないとやっぱり不便だな。地図もずっと手にもってるのもあれだしなぁ』
『あるじあるじっ、スキルをつかってシューノーしたら?』
・・・・その手があったかっ!
俺はスキル《保管'ストレージ)》を使用した。
このスキルはゲームの初期スキルの一つだ。
別空間にアイテムを収納するというMPの消費もなく使える、便利スキルである。
さっそく地図を入れそうとした。
あれ?何かいっぱいストレージにはいってるな。
これは・・・。
ストレージに入っていたのものは以前ゲームで保管した数々のアイテムであった。
!!アイテムも引き継ぎとか何というチート設定だ!やるな神っ!
99週もゲームをクリアしたであろう彼の保管庫には山ほどのアイテムがあった。
金とか売れそうな物は・・・・ないよねーですよねー。
俺はストレージに地図をしまうと、ギルドの依頼掲示板の方へ向かった。




