第9話 禿、現る
―――見渡す限り真っ白な空間に俺はいた。
夢なのだろう。そう思い、頬をつねってみるが痛くないので夢なのだろう。
体は動くので明晰夢って奴か。
体はゲームのキャラではなくいつもの自分の体だった。
しかし何でこんな夢を見るかね。
すると目の前に、どこから現れたかは分からないが、見たことのある2頭身の神様がそこにいた。
コイツ・・・あの時のキャラクターか。
そう、この世界に来るきっかけになった選択肢を表示させたミニキャラである。
まぁ、夢なんだけどな。しかしペラッペラだな。さすが2D。
『まぁ、夢なんじゃが夢とはちょっと違うんじゃよ』
ペラッペラの2Dキャラが喋った!?
『まぁ夢の中では間違いないんじゃが、夢くらいなら儂が干渉しても問題ないじゃろうと思ってな』
何言ってるんだろうね?このキャラ。
『キャラとは失礼じゃぞ神城君。』
!?
何でこのキャラ俺の名前知ってんの?てか俺口に出してないよ???
『まぁ儂クラスの神だと、思っている事は大体わかるのでの。』
・・・・夢遊病患者かな?
『失礼な。人を病人扱いするでないわ!。・・・まぁこの状態じゃ神と言われても信じてもらえんか。ちょっと待っとれ。』
そういうと神を名乗るミニキャラがボンッと煙を上げ、そこから等身大の温厚そうな髭老人が出てきた。
『まぁこんな感じでよいか。あとここも殺風景じゃしちょっと場所を変えるかの』
そういうと辺りが一瞬暗くなり、気付いたら6畳くらいの部屋にいた。
「ファッ!?」
俺は思わず声をあげてしまった。
見慣れた部屋だ。だってこれ俺がこの世界にくるまでに居た部屋だからだ。
『このほうが落ち着いて話ができると思っての。ちょっとしたサービスじゃ。』
自称神はウインクしながらそういった。何なのこの禿。
俺は自分の世界に来たのかと思い窓に目をやるが、その先は真っ白な空間であった。
戻ってきたわけじゃないんだなぁ・・・・
ちょっとしょんぼりした。
『さて神城君。君をあの世界に転生させたのは何を隠そうこの儂なのじゃ!』
自称神をなのる禿はエッヘンッ!と幻覚で後ろに文字が見えるくらい偉そうにそう言った。
「はぁ・・・」
にわかには信じがたい言葉に俺は頷くしか出来なかった。
この自称神の言葉が本当なら何で俺は転生されられたんだよ。
意味わからんわ!
『ふむ。なぜ君をあの世界に転生させたかはまぁ、気まぐれって奴じゃ。君もこんな世界があったらいいなと思っていたじゃろ?まぁ99週クリアの特典みたいな物としてもらってくれ。』
いやいやいやいや。特典ヤバ過ぎだろ!この禿おかしい。
気まぐれで異世界に飛ばされるって・・・
まぁちょっと楽しいけど。
『禿言うのやめんか。地味に傷つくぞ・・・。まぁ楽しんでもらえてるならこの世界に転生させた甲斐があるってものじゃ』
ハg・・・神はそう言った。
「質問いいでしょうか」
『なんなりと答えようではないか』
「なんで転生した体が自分の体じゃなくて、ゲームのキャラなんすか?」
俺は思っていることを正直に告げてみた。
『神城君自身を転生させてもよかったんじゃが、君の体じゃと多分すぐ死ぬぞ?ゲームで言うなら初期村付近で出くわすスライムレベルの強さしかないからの。今日出会ったオーガなんかと出くわすと、今頃三途の川を渡っておるぞい』
OK、サンキュー神。
「ちなみに元の世界に戻ることは可能?」
『あっ、それ無理。今日の昼に君の葬儀が開かれて骨になっちゃっておるからの』
はあああああああ?
『ちなみに死因は急性心不全にしておいたから』
神もとい禿が舌を出しながら自分の光る頭部に軽く拳を当てる。
テヘペロッじゃねーよ。
あまり文章が多い方ではないので毎日できるだけ投稿したいと思ってます。




