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あやしの妖の世  作者: 朝陽
~出会い編~
6/7

話を聞きましょう

『グレンさん、これからどうするんですか?早く帰らないと皆さんが心配しますよね?』


「そうだな…仮にも隊長だから捜索されているだろう。」


『地図も見つかりましたし、近くまでなら送りますよ?』


雪の力で轌でも造れば問題ないし、あの荷車を利用したっていい。


「ユキはどうするんだ?」


『え?ど、どうするって…その…えっと?』


「まさかここに一人で暮らすのか?」


『そのつもりですが…。』


だって私には親もいないし、自然から生まれた純血種の雪女だ。グレンさんとは違って戸籍もない。頼れる人もいない。なら、ここで暮らしていくしかない。


『いつかは鬼の国にも行ってみたいですけど、ここから出ていく気はありません。それに、余所者なんて許してくれないでしょう?』


そう言うとグレンさんは何故かムッとした表情を浮かべた。


「余所者などと、自分を卑下するのはよせ。それに、我が鬼の国は幼子に対して度量は狭くないぞ。俺の命の恩人をこの山に放っておけるか。」


な、何だかとんでもない展開になりそうです。


「ユキ、俺と共に鬼の国へ来い。なに、遠慮など必要ない。お前一人養うくらい平気だ。」


『い、いえ!そんなとんでもないですよ!?私はそんなつもりでグレンさんを助けた訳じゃないです。これは…私の自己満足の為ですから…。』


言えないけど、力の実験になってもらってたし、グレンさんが思うような純粋な気持ちで助けた訳じゃない。だから、ありがたいけど心苦しかった。


うつむいていた顔に暖かな手が触れる。


(わ…爪が鋭い)


鬼らしく鋭い爪は鋭利で、簡単に引き裂かれそう。だけど、私の頬に触れているその手は優しかった。


顔を上げると、決行近くにグレンさんの男らしい美貌の顔があって驚いた。


「…短い時間だったが、ユキといるととても楽しかった。それに離れると思うとどうしようもなく不安になる。」


『なっ/ / /』


子供相手に口説いてどうするんだあんたはっ!!?


「保護なんてそんな偽善めいた事で言っているんじゃない。俺の側にいてほしい。頼む…。」


その金色の目をウルウルさせないでっ!なんだか私が悪いみたいじゃない。


美青年に両手を大きな手に優しく包まれ、ウルウル攻撃で懇願される幼女ってどう思われるのかな?それにグレンさん、あなた大国の隊長でしょ?威厳も何もないわ……



どうしよう?


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