行き倒れ発見!
森を探索していると異世界で初の妖怪を発見した。どうやら行き倒れのようで、怪我も酷かった。
『だ、大丈夫ですかー!?』
突然の事で慌てて妖怪に駆け寄る。
『わ、角がある。この人(?)は鬼だわ。』
黒い軍服を着た鬼。髪の色は赤くて後ろだけ尻尾みたいに長い。角が4本も生えている美青年だった。
『と、とにかく治療をしないと』
肩から背中にかけて斬られた傷が一番重傷だから、先に治してゆく。両手をソッと背中に翳して妖気を発していく。私の妖力は治癒能力に特化しているし、治りも早い筈だ。
『何なのこの傷は…。治りが遅いし、傷自体が穢れてるような…。まさか呪いとかの類いなのかしら?治るかな?』
時間は掛かっているけど、少しずつ傷も塞がってきているし呪いも薄くなったようだ。
『よし!これで命の危機から脱したわ。でも、ここにいたら凍死してしまうわ。』
彼を家に連れて行かなければ。
『…雪よ。私の願いを聞いておくれ。彼を運びたいの。』
何となく願いを口にしてみた。すると雪が彼を包み込んでソリの形に変化したのだ。そして地面の雪が隆起してソリを動かしてくれた。
『私の家までお願いします。』
私もソリに乗って家路に着くことにした。
まだ何にも見つけてないけど彼の命がかかっているのだから仕方がない。後でゆっくりと探すことに決めた。




