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ぼくのたべもの

作者: うにお

「おはよう」


『おはよう、今日もおかあさんいないみたいだね、手紙読んだ?』


「うん、おしごといっちゃったみたい」


『寂しい?』


「ぜんぜん、だってあさはみんなにあえるもん」


『僕たちも嬉しいよ、それじゃお話しよっか』


「うんっ」



 〜*〜



「ちゃんと食べなくちゃダメだって何回言えば分かるの?」


「だって…おはなししたいんだもん…」


「なに分けの分からないこと言ってるの!お母さんは毎朝しっかり食べられるように毎日欠かさず用意してるのよ⁉︎食べないと死んじゃうのよ⁉︎ねぇ、昨日も言ったわよね一昨日も言ったわよね!その前も!なのにどうして毎日食べないで残すの⁉︎そんなにお母さんが作ったものは食べられないの⁉︎そんなにお母さんが嫌い⁉︎」


「……ちが……ごめんなさい」


「もう…明日はちゃんと食べるのよ、分かった?」


「…うん」



 〜*〜



「おはよう」


『おはよう、お母さんの手紙読んだ?』


「うん。きょうのたべものは、ごはんさん、トマトさん、キャベツさん、きゅうりさん、おさかなさん。いただきます」


『え、食べるの?』


「…うん」


『僕たちを食べるの⁇⁇⁇』


「だってたべなくちゃおかあさんにおこられちゃう、おかあさんかなしんじゃう」


『止めて、止めてよ、食べないで、お話しようよ、楽しいお話しようよ』


「いやだたべる」


 パクっ、パクっパクっパクっ。


「ごちそうさまでした、きょうはのこさずたべれたよ」



 〜*〜



「偉いわね〜全部食べられたじゃない、お母さんも嬉しいわ、この調子で大きくなるのよ」


「うんっ、あしたもたべるっ」



 〜*〜



「おはようっ」


『おはようっ、手紙には何て書いてあった?』


「そのちょうしでがんばれだって、よーしきょうものこさずたべるぞっ」


『ガンバレ、僕たちは応援するよ、お母さんを喜ばせてね』


「ありがとうみんな、いただきますっ」



 〜*〜



「きょうはおかあさんかえってこなかったな、でもあしたはあえるもんね」



 〜*〜



「おはようっ」















「あれ?おかあさ…ん?」



 〜*〜



「きょうはみんないなかったな、おかあさんもいなかったし、だいじょうぶかな」



 〜*〜



「おはようっ」


『…おはよう』


「きょうもおかあさんはしごとでいないんだ、でもさみしくないよ、だってみんなをたべるとよろこんでくれるんだもんっ」


『…そっか…僕たちも嬉しいよ…』


「?どうしてかなしそうなの?」


『それは君が悲しんでるからだよ』


「?よくわかんない」


『分からなくても大丈夫だよ、さぁ僕たちを食べて大きくなるんだ』


「うんっ、いただきますっ」



 〜*〜



「おかあさん…いつかえってくるのかな…」



 〜*〜



「おはよう」


『おはよう』


「ねぇきいてよ、おかあさんきょうもかえってこなかったんだ、どうしたんだろう?おしごといそがしいのかな?」


『…それより僕たちを食べないとダメだよ、残さずに全部食べないと』


「だいじょうぶだよ、みんなきょうはぼくとおはなししよっ」


『…うんっ』



 〜*〜



「おかあさん……でもさみしくないよ、だってみんながいるもん」



 〜*〜



「おはよう」


『おはよう』


「みんなたのしいおはなしききたい?」


『今日は大丈夫、それよりも僕たちは食べてもらいたいんだ』


「え?それじゃおはなしできないよ?」


『食べて』


「でもたべたらいなくなっちゃうんだよ?」


『食べるんだ』


「…わかったよ、いただきます」



 〜*〜



「………」



 〜*〜



「おはよう」


『………』


「どうしたのみんな」


『もう僕たちなくなっちゃうね、冷蔵庫は空っぽだよ』


「えっ⁉︎そんな!みんないなくなっちゃうの⁉︎そんなのやだよ!もっとおはなししようよ!」


『たぶんこれが最後の時間なんじゃないかな』


「うそだ!いなくならないで!」


『それは無理だよ、さぁ僕たちを食べるんだ』


「やだ!」


『食べるんだ』


「やだ!ぼくをひとりにしないで!」


『…ならお話するかい?』


「うんっ!なんのおはなしする?」


『そうだね、それじゃお母さんのお話をしよう』



 〜*〜



「おやすみ、みんな」



 〜*〜



「おはようっ、おかさあん」


『おはよう、いつもちゃんと食べてくれてお母さんとっても嬉しいわ、今日も残さずしっかり食べるのよ?』


「うんっ、いただきます」


 パクっ


『おいしい?』


「うんっ」


 パクっ


『大きくなれるようにいっぱい食べるのよ、それがお母さんの幸せだから』


「うんっ」


 パクっ、パクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっパクっ


「ごちそうさまでした、ちゃんとぜんぶたべれたよ?…おかあさん……」



 〜*〜



 ニュースです、本日の午前9時頃に○○市□□町のアパートで◇◇君が遺体で発見されました。死亡推定時刻は一昨日の午後11時、外傷はなく死因は栄養失調と断定。その付近には母親と思われる血痕があり、警察は事件との関連性を調べているとのことです。


読んでいただきありがとうございます、不思議な物語を書こうとした結果こうなりました。よく分からなかった人も多くいると思いますが、あまり多くを書かないほうが色々と想像できるのではないかと考えたので、あえて分かりずらく書かせていただきました。

また機会があれば不思議な物語を書いてみようかと思います、それでは。

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