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バト部活動期!  作者: カオス
個性派メンバー
4/10

初バトル!1

 一日で退部と入部、そして色々な意味で衝撃な出会いを果たした昨日からは打って変わって何も無い平凡な本日。既に授業を終え、俺は部室に向けての道のりを歩いている。

 昨日、倒れた後目覚めると、もう帰宅時刻になっていた為活動風景は分からずじまい。というかそもそも、何故俺は倒れたのだろうか。倒れる少し前から思い出せない。何かあった気がするんだが……。

 等と考えていたら、すぐに部室前に到着した。早速扉を開け中に入ると、いたのは佐中だけ。勿論寝ている。まあ俺、ホームルーム終わってすぐ向かったし、まだ人が揃っていないのは当然か。

 とりあえず昨日座った席に座り、誰か来るのを待つ。しかし、暇だ。

 っと思ったのも束の間で、すぐに扉が開かれた。


「うっす」


「あっ、どうも」


 吉田先輩が入ってきた。


「Hello、こんにちわ」


「ういっす」


 続いて、真中も入ってきた。


「やあ!」


「どうも」


 続いて知らないメガネも入ってきた。


「……って、誰!?」


 誰だよ、このメガネ!

 なんかさりげなく入ってきたけど、全く知らないんだけど、この人! なにこの部、まだ部員いたの。


「ほらっ、僕だよ、僕」


 いや、そんな目の前で僕々詐欺されても! だから、知りませんし!


「えっと……」


「ああ、達田たちだ、こいつ昨日入った新入部員なんだよ」


 吉田先輩が補足してくれた。

 達田っていうのはこの人の名前だろう。で、一体誰なんだ、この人。


「あっ、なるほど、新入部員か。じゃあ紹介しておこう。僕は達田光男みつおといって、今日バトルの予定を入れていたコンピューター部の部長をやっているものなんだ。よろしく」


「あっ、そうなんですか。それはよろしくお願いします」


 ネクタイからこの人はどうやら二年生のようだ。なので敬語を使って挨拶をする。

 顔は、まあ言い方はあれだが、簡単にいえば地味目だ。コンピューター部と言われて、ああと納得してしまうくらい。だが、声は明るく爽やかな雰囲気も漂っている。


「ていうか、もうバトルの予定決まってたんですね。初耳ですよ、俺」


「naturally、当然でしょ。youはyestrdayこの部にjoinしたばかりで、その上yestrdayはほとんどfall downしてたんだから」


 ……おっ、おう。そうだな。とりあえず、英語並べすぎだ。分かるように、日本語で頼む。……けど最後ら辺の、倒れてたからって言ったのは分かった。


「そうそう、そういえば昨日なんですけど、何で俺倒れてたんですか?」


「なっ、お前! まさか覚えてないのか! マジで大丈夫か!」


 吉田先輩、何か凄い必死に心配してくれてるんだけど! なにっ、本当に何があったの。


「いや、大丈夫なんですけど、正直記憶が――」


「やっほー!」


 俺の言葉を遮るようにして扉が開く音がしたかと思うと、同時にその言葉と共に最後の一人である木城先輩が入ってきた。っと、木城先輩を視認したところで、俺の体は言い知れぬ震えに襲われた。

 なんだ、今の震えは。よく分からない拒否反応のようなものを一瞬起こしたぞ。しかし、すぐに収まった。


「おっす、咲。そういえば、今日もお菓子を持ってきたのか?」


 おっ、また震えだした! なんだ、どうした。


「うんうん、今日は持ってきてないよ」


 あっ、止まった。

 それにさっきの 今日もお菓子持ってきたのかってのはなんだ? 料理好きだとは聞いてたけど、それだと昨日も持ってきていたように聞こえる。昨日木城先輩はお菓子なんて持ってきてないだろ。

 んっ、いや、あれっ。そういえば、その木城先輩が自己紹介してからの記憶が無いぞ。なんか、大事なことが記憶から抜け落ちてるような……。


「明日また持ってくるね」


 やばい! なんか、また急激な勢いで体が震えだした! しかもなんだこの高鳴る鼓動は。一体どうなっているんだ、俺の体は!


「あっ、昨日はごめんね、宮田君。なんか色々間違えちゃったみたい。今度は大丈夫だから」


 昨日? 何で木城先輩が謝るんだ。ていうか、色々間違えたって?


「はあ、まあ良いですけど、すいません。何の話ですか。間違えたってなんのことですか?」


「ほらっ、クッキーのこと。色々材料間違えちゃったからさ。砂糖と乾燥剤とか」


 砂糖と乾燥剤間違えたって何!? 一方、材料ですら無いんだけど!

 でも、クッキーという言葉がどうも引っ掛かる。クッキー、クッキー……。何か思い出せそうで思い出せない。


「あっ、ごめん、木城さん。そろそろバトル良いかな」


 っと俺が必死に記憶を遡ろうとしていたところで、手持ち無沙汰そうにしていたメガネ先輩がバトルを要求してきた。


「んっ、ああ、達田君来てたんだ。良いよ、じゃあ早速――やろうか」


 そう言うと、持っていた鞄を椅子に放り投げて、メガネ先輩に鋭い視線を飛ばす木城先輩。それに対抗するようにメガネ先輩も厳しい目つきで木城先輩に向き直す。

 なにこの雰囲気。なんで、こんな急に怖い感じになんの。ていうかメガネ先輩、

目開き過ぎでマジ怖いんだけど! それ絶対目、カッサカサになるんだけど!

 っと考えていたら、すぐにに二人の顔は元に戻った。何だったんだ、一体。


「ハァー、疲れた」


「確かに、疲れたね。うわっ、目痛っ」


 そりゃ、そうだ!

 ていうか、何今の。威嚇のつもりか? お互い何の牽制にもなって無いじゃねえか。メガネ先輩に至っては、自分でやっといてダメージ受けてるし。

 大体さっきからやるやる言ってるけど、全く準備する様子がないんだけど。もしかして、今回の勝負は何も物は使わないバトルなのか。

 

「あの、すいません。そういえば競技って何やるんですか?」


「えっ、おおっ、そういえばまだ決めてなかったねー」


「ああ、そういえばそうだったね」


 決まってなかったのかよ。おいおい、呑気だな。日程だけ決めて当日まで内容決めないって、どうなんだよ。


「んじゃあ、俺が決めて良いか」


 ビシッと手を挙げながらそう言う吉田先輩。

 この人が提案? 絶対まともなの来ない気がするんだけど。


「どうぞ、吉田君」


「どっちが多くヤンキーを倒せるかっていうのはどうだ!」


「何そのとんでもない競技!?」


 なんか凄いキメ顔で言ったけど、そんな楽しそうな顔でそんな競技推すのあんただけだし、何よりヤンキーとかそんないないし!


「うーん、いい線行ってるけど却下かな」


「いい線行ってるの!?」


「確かに、おしいな」


 メガネ、あんたも肯定するな!


「なにー、今のが却下だと!」


 あんた、驚きすぎだし!


「じゃあ、もう一つ、山まで行って何パンで木倒せるかってのは!?」


「まず一般人は木をパンチで倒せないから競技成り立たないですよ!」


「何言ってるんだ、普通二パンで行けるだろ!」


「あなたが何言ってるんですか!」


 ていうか、二パンで行けるの!


「なるほど、考慮に値するな」


 メガネ、あんたはその細身な体のどこにそんな自信宿してるんだよ!


「いや、それは無理でしょ」


 木城先輩だけ意外と冷静だ!


「ふっ、話は聞かせてもらった! 揉めているようだな、お前ら! ここは俺に任せな!」


 はっ、誰だっ!?

 っと突如声がした方に目をやると、閉まっていた扉が開き出した。そうして開ききった扉の先、そこにいたのは髪を角刈りにしたひ弱そうな男だった。

 ネクタイを見るとまた二年生だ。やっぱり知らないけど誰だ、この人。


「ジャッジメント北川!」


 ジャッジメント北川!? なんだ。凄い吉田先輩驚いてるけど、有名なのか、この人。


「Go home、帰れ!」


 あれ、なんか、凄い拒否られてる!


「また来たんだ……」


 あれっ、もれなく全員嫌がってない!?


「うわっ、来ちゃったか……」


 メガネ先輩にも嫌がられてんじゃん!


「あっ、咲さーん! 今日も僕の嫁、ななみたんの如き可愛いさですねー! あっ、唯ちゃーん! 今日も二次元でなら付き合いたいぐらいの萌え萌え顔をしているねー!」


 そんな自分に向けられた不穏な空気を微塵も感じていないのか、ジャッジメント北川という先輩はなんか変なことを言い出した。

 ……ていうか、はあっ、この人マジで何言ってるの!? 


「あはは、どうも」


 木城先輩、顔引きつってるし!


「……Thank you、……キモっ」


 真中にはキモがられてるし!


「……あの、先輩。あの人誰なんですか?」


 近くにいた木城先輩の耳元で、囁くように質問する。


「んっ、えっとね、あの人はジャッジメント北川君。帰宅部であり、かなりのアニメ好きで毎日帰宅後はずっとアニメ鑑賞を行う、口癖が『あー、俺って毎日が忙しい』の二年生。しかしパソコンもテレビもリビングにしか無くたまに家族がいる時は見れなくて暇になる為、その度に頼んでもいないのに勝手にバトル部のバトルの審判をやる男、ってとこかな」


「なにそれ、理由が超しょうもないんだけど!」


 ただの暇なオタクじゃねえか。


「ていうか、そんな人が審判、ちゃんと出来るんですか?」


「うん、まあ、認めたくはないけど公平性ある競技決めとジャッジはちゃんとしてくれるよ」


 ふーん、一応審判としては認めてはいるのか。


「じゃあ、何であの人来た時嫌そうな顔をしてたんですか?」


「いやだって頼んでもいないのに、俺が必要なんだろ、来てやったぜ、みたいな顔するからそれが凄い腹立って」


 ああ、確かに入ってからずっとのあのドヤ顔は腹立つな。未だに続いてるし。

 って、おい、いつまでやってるんだ。本気でうざいからやめろ。


「でも、何でバトル部なんですか? 他にも部活いっぱいあるし、ここ以外も行けば良いのに」


「なんか、この部はアニメキャラっぽい美少女が二人、しかも激萌えだから来たくなるんだって」


「そんな理由なの!?」


 こっちも理由が私的過ぎる!


「でも、美少女って、そこを理解してるのは流石だよね」


「うわあ……」


 この人、微塵も謙遜ないのかよ。

 ていうか大体、アニメっぽい美少女って素直に喜んで良いのか。

 っとそんな話をしていたら、手を打つ音がしたのでそちらに目をやる。すると、ジャッジメント北川先輩が左手人差し指を一本立てて真剣な顔になっていた。


「さてそれじゃあ、そろそろ俺ことジャッジメント北川の競技発表に移ろうか」


「fainally、やっとか」


「はあぁー、唯たーん、今日も良いねその甘い声! その声で北川くーんって呼んで!」


 この人、もうあれだ、オタクの域超えて変態だね!


「いや、本当に気持ち悪いからやめてください」


 唯語忘れて、マジでキモがられてるじゃん!


「はぁー、罵倒萌えー!」


 あー、もうダメだ、この人!


「ていうかそういうの良いから、さっさと発表してくれません!」


「おっと、すまん、すまん。2Dティックな美少女を前にすると興奮してしまってね」


 2Dティックな美少女って何っ!?


「って、うんっ? そういえば君は見ない顔だね。もしかして新入部員かい?」


「はい、そうですけど」


 何だ、急に。


「あー、うらやましいな、君ー! 毎日こんな美少女達に囲まれて、萌え萌え声が聞けるじゃないか!」


 いや、萌え萌え声ってなにっ!? 大体別に俺そんなの望んでないし、そんな理由で喜ぶのあんたぐらいだし!


「じゃあ、あなたも入れば良かったんじゃないですか」


「何言っているんだ!? 入ったら、アニメ見る時間が減るじゃないか!」


「いや、知らないですよ!」


 なら、家族の前でも堂々とアニメを見ててください!


「おっと、また逸れてしまったが、今度こそ本当に競技発表と行こうか」


 やっとか。今度こそ本当だろう。

 ジャッジメント北川先輩は、ゴホンと咳払いをしてから一旦間を置く。

 それから口を開き、競技を発表した。


「今回の競技は――しりとりだ!」



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