第六話 「心拍•発熱上昇中‼︎ ライブラリアンエージェント?」 前編
久しぶりにの更新です…
前回、予告でドキドキ転回とか知らせてしまったので自分で自分の首を締めたような感覚でした…
そんな転回になっているかはよく分かりませんが、少しでも笑っていただけたら幸いです
あと、今回は次回予告がちょっと大変なことになってます…ので、メタ発言&キャラ崩壊が苦手な方は御控えください…
以上前書きでした
本文をどうぞ
「えっと…図書館はこっちだから……こっちか?」
食品庫が地下にあるということは知っていたが、地下のどこにあるのかは教えてもらっていなかった。
食材を大量に買い込んだ際、食品庫へと運び込む作業は咲夜の指示により全て妖精メイド達が行った。
俺の怪我を気遣ってのことだったのだろうが素直に御言葉に甘えてしまったことを今になって少し後悔している。
「まっ…妖精メイド達が迷わず着けるくらいだし。 大丈夫だろ」
方向感覚と記憶力にはそれなりに自信がある。
最悪でも帰り道が分からなくなる心配はないだろうという軽い気持ちを胸に、通路を曲がって歩みを進めたその時。
「奏ーーーー‼︎」
バタンッという大きな扉が閉まる音と共に、大声で俺の名を叫ぶ何かが猛スピードで背後を通過して行った。
「……えっ…何…?」
歩いてきた来た通路へと振り返って見たが、そこには既に誰の姿もなく、巻き上がったチリや誇りなどが舞うのみだった。
「今の声は……レミリア様? 俺…何かしたか?」
野菜を抱えた胸に手を当てて考えてみたが大して悪いことをした覚えがない。
「……急ごう」
悪いことをした覚えはないが、あんな風に名前を叫ばれたら応えないわけにはいかない。
早急に事を済ませ、迅速に主への対応をする。
俺は優先順位を『主 < 野菜』にし、急いで食品庫へと向かった。
何故主より野菜を優先したかって?
だって…なんか怖いんだもん……
心の準備期間は…大切だ。
暫く直進し続けると通路も徐々に広くなった。
地下の灯りはパチュリーの魔法によって保たれているらしいが、薄気味悪いことには変わりなく、あまり居心地はよくない。
空気も薄く、早く終わらせて帰りたい気分にさせられた。
「お、ここか?」
奥へと進み続けると急に開けた場所に辿り着き、その奥には大きな両開きの扉が開けっ放しになっていた。
近付いて中を見渡してみると、そこはとても明るくなっており、見渡す限りの棚に食品が陳列しているのが確認できた。
「野菜は奥か」
辺りを見渡しても直ぐに目的の棚を見つけることができなかったので、更に奥へと進むことにした。
「それにしても、こんなに食品が置いてあるなんて…底が尽きそうって聞いた気がしたが…?」
自分の後にも誰かがまた買い出しに行ったのだろうか?
「ここにある食材は大半が妖精メイドさん達専用の棚なんですよ」
「えっ? 先輩⁉︎」
後ろから急に声を掛けられて振り返ると、そこには小悪魔が微笑みながら立っていた。
「形の良い物や品質の良いものは、お嬢様や妹様、パチュリー様専用の棚が奥に用意されていて、そこに並べられます。 ここに置いてあるのは、見た目は悪くてもまだ食べられそうな物で、食べられれば何でもいいという彼女達専用に完備された物なんですよ」
「ああ、そうだったんですか。 じゃあ、供給前で食料が少なかったっていうのは?」
「多分、お嬢様方専用の食材のことだと思いますよ。 先日の騒動で多くの食材が床に落ちたり型崩れしてしまいましたからね…ほぼ全ての食品がこちらの棚に回されて、お嬢様方の棚はすっからかんになっちゃったんですよ」
「ああ、だから新しく仕入れたってことですか」
「はい、そういうことです」
ニコッと笑う小悪魔に俺は同じように笑顔を返した。
「って…何で先輩がここに?」
「あら? いちゃいけません?」
「いっいえ…そんなことは」
「ふふふ、私は紅茶が切れてしまったので茶葉を取りに来ただけですよ。 奏さんこそ何でここに?」
俺は小悪魔にここにいる理由を簡単に説明した。
「そう、メイドさん達も困ったものですね…」
「ははは…まぁ、誰にでも苦手なものはありますから……」
「ふふ、奏さんは優しいですね」
「えっ? そっ、そうですか?」
「はい、でも人の好き嫌いを放っておくようでは立派な執事にはなれませんよ。 主の体調に気を配るのも私達従者の仕事ですから」
従者の仕事…さっき文に言われたことを思い出した。
立派な執事…俺はそんなものになりたいのだろうか?
ならなくてはいけないのだろうか?
「まぁ、奏さんの場合放っておいても死ぬような主ではありませんけど…パチュリー様の場合は…って、どうかしましたか?」
「……いえ、何でもありません。 少し考え事を…。 あっ…そう言えば自分、レミリア様に呼ばれてるんでした」
「そうなんですか? じゃあ、こんなところで話している暇はないようですね」
「すみません…折角のお話を…」
「そんなこと気にしないでください。 では、案内しますから早く終わらせましょう」
「本当ですか⁉︎ ありがとうございます!」
「ふふ、困った時はお互い様ですよ。 さあ、行きましょう」
「はい!」
小悪魔に連れられて俺は食品庫の更に奥へと向かった。
☯
「もぉ〜…鍵を掛け忘れるなんて…メイド長に知れたら一大事だよ…メイドD」
「だからこうして戻ってきたんじゃない、思い出しただけでも良かったと思ってよね〜…メイドC」
揉め合いながら二人の妖精メイド達が食品庫を目指して歩いていた。
「ねぇ、メイドC」
「何? メイドD」
「何で私達だけアルファベット表記なの?」
「さあ? モブだからじゃない?」
「そっか」
メタな会話をしていると二人は食品庫の前へと辿り着いた。
「やっぱり開けっ放しだったね」
「ホント…メイドDがちゃんと確認しないから無駄な仕事が増えちゃったわよ……」
「何よ…メイドCだってもっと早く言ってくれれば良かったのに…」
「私のせいにしないでよね。 ほら、さっさと鍵かけて行こ」
「うん、そうだね。 ところでメイドC、本当にあの野菜持ってこなくてよかったのかな?」
「いいのいいの、バレなきゃ大丈夫よ。 ちゃんと処分しておいてくれた?」
「えっ………?」
「えっ…? って……まさか」
「ごめん…そのまま置いてきちゃった……」
「…………」
二人の間に沈黙が漂う。
「なっ……何で置いてくるのよ!」
「えっ⁉︎ だって…一応食べ物だし…捨てるのはもったいないし……」
「だからってそのままにしておいたらバレちゃうじゃない! メイド長に見つかる前に早く戻らないと! ほら、早く鍵閉めて行こ」
「う、うん!」
☯
「ここが野菜の棚ですよ」
「うわ〜…野菜だらけですね……」
更に奥に進むと、そこにはスーパー並みに揃えられた野菜の数々が棚に陳列されていた。
「ピーマンはそこ、セロリやナスはそこに置いてください」
「はい、了解です」
俺は言われるがままに抱えていた野菜をそれぞれの棚へと戻していった。
「よしっと。 これで全部終わりです。 先輩、付き合ってもらってありがとうございました」
「別にいいですよ。 私もついででしたし」
「そう言えば、先輩も茶葉を取りに来たんでしたね」
「ええ、この奥の棚にパチュリー様専用にブレンドされた物が置いてありますから、私はそこまで取りに行かないと」
「あの…先輩、もし宜しければ自分も同行させてもらっても良いですか?」
「え? 別に構いませんが…何故そこまで?」
「ああ…えっと…実はもう少し中を見て行きたいと言いますか…先輩に色々と教えて欲しいこともありまして…ダメですか?」
「ダメではありませんが…お嬢様の方はいいんですか? 呼ばれているんですよね」
「んー…まぁ……呼ばれているというよりかは…ただ、叫ばれていたと言いますか…」
「叫ばれていた…?」
小悪魔はさっき図書館でレミリアがパチュリーに言葉責めにされて出て行ったことを思い出した。
「ああ…成る程」
「……何か?」
「いえ、何でも。 ……分かりました。そこまで仰るなら一緒に行きましょう」
小悪魔はニコッと微笑んで俺の申し出を快く承諾した。
「本当ですか? ありがとうございます」
「でも、これが終わったら早くお嬢様のところへ行ってあげてくださいね。 それと、何を訊かれても本心で優しく答えてあげてください」
「…? はい、分かりました」
小悪魔が何故そんなことを言ったのかの意図は掴めなかったが、俺はレミリアに合う心を固めると、小悪魔に着いて更に奥へと向かった。
「それにしてもこの食品庫、こんなに広い割に食品の管理が行き届いてますし、鮮度がしっかり保たれてますね」
「あら、奏さんは食品の鮮度の良さが分かるんですか?」
「ええまぁ、そこそこは…食品を扱う店でも働いていたので」
スーパー並びに飲食店のバイトのことである。
「しかし、これだけの食品をここまで良い状態に保つのは難しいのでは?」
「それはいい質問ですね。 実は、ここの食品庫ではパチュリー様の魔法により、それぞれの食品によって庫内の最適温度が調整されているんですよ」
小悪魔は俺の質問に対して優しく答えてくれた。
「庫内全体をですか⁉︎ でも、今は別に大して寒くありませんよ?」
「食品庫に掛けられた魔法は、私達が入ってきたドアの南京錠を再度掛けることによって発動します。 流石に急速冷蔵された中で食品を取ってくるのは無理がありますからね。 逆に鍵を開けることによって魔法は解除され、庫内は私達が普通に活動できるくらいの温度にまで戻されるんですよ」
「成る程、魔法って便利ですね」
幻想郷に来てから色んな事が起きすぎて魔法という単語に何の疑問すら抱くことなく、ただただ俺は感心していた。
「まぁ、魔法も万能というわけではありませんけどね」
「でも、自分みたいな何の力もない人間からしたら凄いことだなって思いますよ。 先輩もそんな風に魔法を使ったりできるんですか?」
「いえ…私はまだまだ勉強中ですから、簡単なものなら使えますけど…パチュリー様の魔法に比べたら私なんて足元にも及びません…」
小悪魔は少しだけ浮かない顔で俯いた。
俺はまた何か余計なことを言ってしまったのだろうか…?
「でっ…でも、やっぱり先輩は凄いですね。 そんな凄い魔法を使うことのできる主人にお仕えして、しかもその人を見習って今も勉強なさってるんですから」
「………」
小悪魔は俯いていた顔をこちらに向けて少し驚いたように俺を見つめた。
「えっと…何か?」
「…っ……いえ、そんな風に言ってもらえたのは…初めてだったので…なんて言うか……その…少し嬉しかったといいますか」
小悪魔は少しだけ頬を赤らめてはにかむと、徐々に明るい笑顔を見せ始めた。
「パチュリー様はとても強力な七曜の魔法を意図も容易く御自分のものにし、更に魔法に関する深い知識と、どこまでも物事を追求する探究心をお持ちで、とても純粋に魔法のことを研究されている方なんですよ。 私もあんな風になれたらな…なりたいなって思って、今もパチュリー様のお側で勉強させて頂いてるんです」
小悪魔は胸の内に秘めた魔法への意思とパチュリーへの想いを隠すことなく俺へと打ち明けた。
「へぇ〜初めて会ったときはよく分かりませんでしたが…パチュリー様ってそんなに凄い人だったんですね」
「……ふふふ、ええ。 パチュリー様はとっても御立派で、偉大なお方なんですよ」
「ははは、先輩にとってパチュリー様はそんなに大切な方なんですね」
「はい! 私の自慢の御主人様ですから。 彼の方にお仕えすることが今の私の一番の誇りなんです」
小悪魔は仕事に誇りを持つのではなく、パチュリーという自らが尊敬する相手に仕えることを誇りに思うと言った。
この人は俺なんかとは違い、誇りという言葉の本質的な意味をしっかりと理解しているのだと、俺はそう感じた。
「やっぱり、先輩は凄いですね」
「ふふふ、もぅ〜そんなに褒められても、お礼の言葉くらいしか出ませんよ。 って、そうこう言っている間に着きましたね」
そう言うと小悪魔は大きな棚の前に立ち止まった。
「これがパチュリー様の棚です、向かい側の棚が妹様で一番の奥にある一際大きい棚がお嬢様の棚なんですよ」
「確かにそれぞれ置いてあるものが違いますね」
パチュリーの棚には飲みかけのワインやそれに良く合いそうなチーズなどが多く、それに対しレミリアとフランの棚には食べかけのお菓子や甘いフルーツなど、それぞれの個性に合わせて物が並べられていた。
「じゃあ、ちょっと待ってて下さいね。 直ぐに済ませますから」
「はい、了解です」
俺がそう了承すると小悪魔は棚を開けて茶葉を探し始めた、その時。
バタンッという大きな扉の閉まる音が食品庫内に響き渡った。
「先輩っ、今の音は⁉︎」
俺が小悪魔にそう声をかけた瞬間、辺りの灯りが突然全て消え去り、庫内全体が真っ暗になってしまった。
「せっ…先輩⁉︎ 大丈夫ですか?」
「奏さん、落ち着いて! あんまり動かないで下さい!」
暗闇の中で焦っていた俺は小悪魔の忠告も耳に届かず、まず小悪魔の安否と位置を確認しようと、手探りで辺りを探り始めた。
「くそっ…どこだ……ん?」
一寸先も見えぬ暗闇の中で無造作に手を動かしていると『ふにっ』という何か柔らかい感触の物に手が触れたのを感じた。
「……何だこれ?」
そう言いながら、その辺りを二三度手でさすってみると
「ひっ…ひゃややぁぁあ‼︎」
引きつったような悲鳴が庫内に響き、俺はその瞬間に、今置かれている自分の状況が最低で最悪の状態であることを察した。
「まっ…まさか……」
暗闇の中で柔らかい感触、そして女性の悲鳴とくれば……お約束。
それが頭をよぎったその時、暗闇の中で振るわれる見えない平手が俺の頭部を襲う。
「ぶべぁっ‼︎」
暗い部屋の中で強力な平手打ちを食らい、体の大勢を崩した俺は、そのまま付近にあった棚に激突した。
暗い中で頭から棚に突っ込み、かなりの苦痛を伴ったが大事には至る程ではなかった。
しかし、一難去らずしてまた一難、そのぶつかった衝撃により棚は大きく振動し、上の方からワインの瓶などが小悪魔の元に飛来した。
「きゃあ‼︎」
バリンッというワイン瓶が割れる音と共に小悪魔の悲鳴が聞こえた。
「先輩‼︎ 大丈夫ですか⁉︎」
芳醇な赤ワインの香りの漂う暗闇の中で、俺は自分の痛みなど忘れ、何よりも先ず小悪魔の身を案じた。
「はっ…はい…何とか。 でも、髪と服がワインで濡れてしまいました…」
「そうですか…お怪我の方は?」
「そうですね…大して目立った外傷ないと思いますが……痛っ!」
「先輩⁉︎」
「あらら…どうやら破片で足首を少し切ってしまったみたいですね…」
暗中で傷を確認しながら小悪魔はしゃがみ込む。
「ええっ⁉︎ 立てますか?」
「ん〜…ちょっと無理みたいですね…」
小悪魔は脚に力を入れて立とうとするが、痛みのせいでなかなかスッと立つことはできなかった。
「すみません…自分のせいで……」
「そんなに御自分を責めないでください。 それよりも、今は一刻も早くこの場所から離れないと…」
小悪魔がそう言い終える直前に、庫内に『ヴォン』という音を立てて無数の青白く光る魔法陣が天井付近に出現した。
「何だ…これ?」
辺りを照らす程の光ではないが、それは確かに薄く、淡く、美しい光と同時に強烈な冷気を放っていた。
「……これは、先程私が説明した庫内の温度を管理しているパチュリー様の魔法です」
「え…? でも、外の鍵を掛けない限り魔法は発動しない筈……あっ」
「ええ、恐らくさっき扉が閉められた音がした時に掛けられてしまったのでしょうね。 大方、妖精メイドさん達が碌に中も確認せずに閉めてしまったんでしょう」
「この魔法を解除する方法はないんですか?」
「外の鍵を再度開ければ解除も可能ですが…鍵は私と咲夜さんの二人しか持っていませんし…錠の形態が南京錠なので、中にいる私にはどうすることもできません…」
「何か他に方法はないんですか…?」
「……入り口の扉か錠を破壊することができれば何とかなりますが…あの扉はパチュリー様の魔法障壁が掛けられていて私の魔法など無効化されてしまうでしょう…。 それに、この怪我では…」
「………」
小悪魔は自分を責めるなと言ったが、間接的にでも彼女に怪我をさせてしまった責任は自分にある。
こんな状況下で怪我をさせておいて、何もすることができないという無力な自分に憤りを感じながら、焦りだけが徐々に募って行く。
「こうなれば、助けが来るまで扉付近で待っているしかありませんね…」
「っ……それなら、自分が扉の前まで先輩をお連れします」
小悪魔が言ったその一言に。俺はすかさず反応した。
「え……でも…」
「こんな時に気なんて使わないでください。 先輩に怪我をさせてしまった責任は自分にありますから、これは当然のことです」
勿論、こんなことだけで怪我をさせた責任を取ろうと思っているわけではない、これは俺が人間として彼女の為にできる最低限度のことだと考えて申し出たのだ。
「いえ、別に…その……気を使うとかそういうわけではなくてですね…」
俺の申し出を受け入れ難く思っている様子の小悪魔に、俺はその理由が何なのか訊ねた。
「ええっと…その……変なこと…したりしません…よね?」
「……変な…こと?」
その言葉を聞くと俺は、さっき自らが小悪魔に行った一連の最低な行為を思い出した。
「なっ……しっ、しません! しません‼︎ そんなことしませんって‼︎ さっきのはその…不可抗力と言いますか…! いや…不可抗力と言って済む問題でないということは重々承知しておりますが! 決してやましい気持ちなんてこれっぽっちもなくてですね!」
俺は必死で弁解しようと試みたがこの状況下で何を言っても説得力は0だった…
「そこまで頑なに言われると…逆に怪しいですね〜…」
「いやっ! 本当ですから‼︎」
暗闇でよく見えてはいないが、きっとジト目で睨みつけられているに違いない…
「ああ……もぉ…信じて下さいよ…」
俺が小悪魔にそう懇願していると、暗闇の中に明るく光る小さな球状の物体が一つだけ現れた。
その光る玉は小悪魔の周りをふわふわと浮いて辺り一体を照らしてくれていた。
「……ふふふ、冗談ですよ。 奏さんがあまりにも面白い反応をするので、少しだけからかってしまいました」
「先輩…こんな時に人をからかわないで下さい…」
「ふふ、ごめんなさい。 じゃあ奏さん…扉まで、お願いできますか?」
「はい、了解です。 任せてください」
「……信じてます…からね」
「……はい…」
まだ完全に信じられてはいなかった…
「っと、その前に…。 先輩」
「はい?」
俺は自分のジャケットを脱ぎながら小悪魔に声をかけた。
「そのベストとシャツ、脱いでおいた方が良くないですか?」
「………ひっ⁉︎ そっ…それはどういう…?」
小悪魔は胸元を隠すように両腕をクロスして自らの肩を抱き、怯えたような声を出した。
「いやっ…! 別に何もしませんって…! ただ、服が濡れてしまっているようなので、これを着てもらおうと思っただけで…!」
こんなやり取りをしている内に、俺の脈拍はみるみる上昇していき、庫内の温度はどんどん低下していった……
☯
「奏ぇーーー‼︎」
館中の部屋を飛び回り、扉を勢い良く開けては閉め、開けては閉めを繰り返しながら目的の奏を探して回るレミリア。
「もぉ…どこにいるのよ! あの使えない従者はぁぁぁ‼︎」
「お呼びですか?」
レミリアが愚痴りながら飛び回っていると、廊下のど真ん中に咲夜が、ぬっと現れた。
「うわっ! 急に前に現れるんじゃないわよ! ビックリするじゃない!」
「そう申されましても…あれだけ縦横無尽に館内を飛び回られますと、お呼び止めするだけでも一苦労なので…」
「だからって前に立つのはやめなさい! もし、止まれずにぶつかったりしたらどうするつもり?」
「私は別に構いませんが? 寧ろ、この胸に飛び込んで来てくだされば、悦んでお応えさせていただきます」
「『喜ぶ』でしょ! 異常な悦び方をしない! それに、そんなクッション性の低い胸にぶつかったりしたら、私が痛いのよ!」
「御言葉ですが…多少の弾力はあります!」
「何、ちょっとショック受けてるのよ…知るか!」
「ところで、先程から奏をお探しのようでしたが?」
咲夜が意図的に話を逸らし、レミリアに訊ねた。
「ああ、そうだったわ。 咲夜は奏がどこにいるか知らない?」
「奏は…先程までキッチンで片付けをしていたはずですが…?」
「さっき、見てきたわよ! けど、そこにはいなかったわ」
「……では、担当している二階の部屋で清掃中では…? 幾つかありますが…」
「それも今見てきたわよ! どこにもいなかったわよ! 無駄に広いのよこの館!」
「私に言われましても…」
レミリアの命令で館を広くしているのに、館が広いと怒られて、咲夜は少し複雑な気持ちになった。
「まぁ、いいわ…じゃあ、奏を見つけたら私のところに来るように言っておきなさい! 私はもう少し探してるから」
「畏まりました」
レミリアはそう言うと、左右の翼をバタつかせて廊下の奥の方へと姿を消して行った。
「はぁ…全く、世話のかかる執事だこと……」
そう言って、咲夜も奏の捜索を開始した。
「ん? あれは…?」
☯
「ほら、早くしてメイドD」
「メイドC、待って…そんな早く飛んだら危ないよ」
「誰のせいで急いでると思ってるの⁉︎」
暫く二人は廊下を全速力で飛び続け、キッチンへとたどり着いた。
「はぁ…はぁ…ほら、早く片付けるわよ…って…あれ?」
「はぁ…はぁ…何? どうかした…?」
「ねぇ…メイドD、確かにここに置いてきたのよね?」
「えっ? うん…そのままにして来たけど…?」
「じゃあ…何で、何もないの?」
二人の妖精メイド達は奏が野菜を持ち去って何もなくなったテーブルの上を見つめたまま暫く固まっていた。
「もぉ〜…処分したならちゃんとそうやって言いなさいよメイドD…。 また無駄に疲れちゃったじゃない…」
「ええっ⁉︎ いや、私何もしてないよ」
「ふざけるのもいい加減にしてよね、何もしてないって言うのに野菜が急に消えたっていうの?」
「野菜がどうかしたの?」
「どうかしたも何も…メイドDが置いてきたっていうから急いで戻って来たんじゃ……って、どうかしたのメイドD?」
メイドCがメイドDの顔を見ながら話していると、メイドDの顔色が徐々に青ざめているのが分かった。
「メイドC…うっ、後ろ……」
「ん? 後ろ?」
メイドCが後ろを振り向くと、そこには咲夜がメイド二人を不思議そうに見つめて立っていた。
「めっめっめ…‼︎ メイド長⁉︎」
「……何?」
「いっ…いい、いえ…! 何でもありません!」
「そう…? それよりも貴女達、ちゃんと食材は返してきてくれたかしら?」
「はっ、はい! メイド長のご指示通りに! ねっ、メイドD!」
「うっ、うん! 私達ここにあったものは全部運んだし、野菜を処分したりなんて全然してないよねメイドC」
「ちょっ…‼︎」
メイドDの余計な一言に顔を青ざめるメイドC。
「処分…?」
「ああああっ、いえいえ! こっちの話、こっちの話です! はい! そんなことよりメイド長は何故ここに?」
「私? 階段を飛んで上がって行く貴女達の姿が見えたから、ちゃんと仕事が済んだのかの確認と、預けた鍵を返してもらいに来たのよ。 それより、処分っていうのは…」
「あああ! そうですか、鍵ですね! すみません、すっかり忘れてました! はいこれ、お預かりした鍵です! では、私達はこれで失礼します‼︎ ほらっ行くわよ、メイドD!」
妖精メイドCは咲夜の問いかけに答えるのはまずいと考え、即座に鍵を渡してキッチンから出て行った。
「ちょっと待ってよ! あっ…すみませんメイド長、これで失礼します! 待ってってばメイドC〜!」
「ちょっと、待ちなさいあなた達ー! 廊下は静かにって…もういない……。 全く…忙しい子達ね…」
そう呟いて咲夜は手渡された鍵を見つめた。
「……処分…ね〜…」
飛んで行った妖精メイド達の不可解な言動を咲夜はもう一度頭の中で整理して繋ぎ合わせ、考察した。
「はぁ…一応、確認しておいた方がいいかしら…?」
☯
「大丈夫ですか? 重くありません?」
「いえ、全然大丈夫ですよ。 寧ろ軽いくらいですし。 それより、先輩こそ大丈夫ですか? 寒くありません?」
「ええ、何だが体が火照って段々暖かくなってきたくらいです。 奏さんの服のおかげですかね?」
「ははは…だといいんですけどね……」
食品庫の中に閉じ込められた俺は小悪魔が魔法によって出現させた光の玉を頼りに、せっせと移動していた。
お姫様抱っこでな…
背負うよりはこっちの方が気まずいところが密着せずに済むと思い、話し合いによって決定したのだが……恥ずかしさは尋常ではなかった。
そんな羞恥心に苛まれながらも、できるだけ気にしないように歩き続けていたが、それとは別に一つだけ気がかりなことがあった。
「こんな魔法が使えるならもっと早く使ってくださいよ…」
「む〜…パチュリー様とは違って、私は魔法の発動に時間が掛かるんです…。 こんな状況では集中するのも大変なのに……。 それに、奏さんも悪いんですよ…こんな時にあんなことするから……」
「だから…あれはわざとじゃないんですって…」
「信じられません〜」
「あはは…」
この体勢だからなのだろうか?
小悪魔の口調がさっきよりも砕けてきているような気がした。
「でも光を生み出せるなら、それこそ炎とか出して倉庫自体を温めた方がいいんじゃないですか?」
「ふふふ、なに言ってるんれすか〜…そんなことできませんよ〜…」
「え? なぜですか? その方が光も熱も得られて効率がいいのでは?」
「ここの魔法は…庫内の温度を調しぇつしゅるために掛けられているんれすから〜。 もしもわらしがここにょしちゅ温を上げたりしらら…更に強い力で冷やされてって…そんなこともわかららいんれすか〜? かなれさんはアホなんれすね〜! ふははは…」
「…………」
なんだろう…砕けて来たというより……若干壊れてきているような気がしてきた…
「あの…先輩大丈夫ですか?」
「ふぇ…? 何がれすか〜? わらしは全然、大丈夫れすよー‼︎」
(あっ…全然大丈夫じゃねぇや……)
俺は心の中でそう呟いた。
顔も赤くなり、全然呂律が回っていない…症状から察するに、酔っているようにすら見える。
もしかすると、さっき頭からぶっかかったワインが原因なのかもしれない…
「かなれしゃん……何か…わらし、とっても眠くなってきちゃいました…」
「うぉっ…⁉︎ 先輩、しっかりしてください!」
肩に回されていた小悪魔の腕から徐々に力が抜けると共に、付近を照らしていた光も少しづつ小さくなっていく。
服の上から感じた温もりは熱へと変わり、小悪魔の体温が急激に上昇して行くのが分かった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
やはり身体を濡らしたのがまずかったのだろう…いくら服を着替ようと、濡れたままの髪では余計に身体を冷やしてしまうのは当然。
「くそっ…! 先輩、もう少しです! もう少しですから‼︎」
小悪魔を抱え直し、急いで扉へと向かった。
「はぁ…はぁ…はぁ…」
寒くて辛いのは小悪魔だけではない。
自分自身も震えが止まらない程に寒くて仕方がない。
しかし、こんなところで足を止めるわけには行かない。
自分よりも苦しんでいる人がいるのに、自分が傷つけてしまった人が目の前で辛い思いをしているのに、じっとしているわけにはいかない。
「はぁ…はぁ…着いた…」
辛うじて残った光も消え去り、扉の隙間から漏れ出す光を目指して何とか入り口まで戻ってくることができた。
「……奏…さん……」
「すみません先輩、ちょっと失礼します」
熱に魘される小悪魔を俺は壁際にゆっくりと座らせた。
そして、一人で扉の前に立ち、ここから助かる方法を考える。
「先輩の魔法じゃどうにもできないし…他に抜けられそうな道は……ないか…」
扉には魔法障壁が掛けられて魔法では歯が立たないと小悪魔は言っていた。
元々俺は魔法も使えないただの人間…どちらにしても扉を吹き飛ばす程の力は持ち合わせてはいない。
「となると…」
俺に残された方法はただ一つ。
「素手で、ぶっ壊すしかねぇ…!」
小悪魔が言うには扉の向こう側の南京錠は、ただの魔法を発動させる媒介でしかなく、特別頑丈な物ではないらしい。
それが確かならば、扉に何度か大きな衝撃を与えてやれば中からでも鍵を壊すことができるかもしれない。
望みは薄いが、やってみる価値はある。
どちらにしても今彼女を救うにはそれしか方法がない。
一か八かではなく、彼女を救えるなら何十回でも何百回でも扉にぶつかる覚悟はできている。
「やってやるよ…」
俺はできる限り扉から距離をとり、一歩足を前に出した。
「うおぉぉぉぉらあぁぁ‼︎」
そしてそのまま急速に加速し、右肩を突き出してタックルの姿勢に構え、俺は扉目掛けて全速力で駆け抜けた。
しかし、俺の身体が扉にぶち当たろうとしたその瞬間…
ガチャという鍵の開く音が扉の外でしたのが聞こえてきた。
「へっ…⁉︎」
その音が耳に届いた時には既に遅く、俺は勢いを落とすことができず、加速したスピードのまま扉へと突っ込んだ。
扉はバンッと勢い良く開かれ、俺は勢いが収まらぬまま外へと飛び出して顔面から倒れこんだ。
「ん…あぁ……ん?」
しかし、俺の顔は石で出来た床に接することはなく、凄く小さな、そして若干柔らかくて良い香りのする何かによって守られていた。
俺はそれが何を意味するのかもよく考えず、小悪魔のことを最優先にし、身の回りの安否を確かめようと、その何かに手を置いて顔を持ち上げた。
「ん…はぁ………あ゛ぁ…」
「………」
目を開けて見ると、そこには顔を紅潮させながらこちらを睨みつけてくる上司が俺の下で横たわっていた。
は〜い…お約束その2……
「えっ…と……メイド長…これは……ですね…」
「……手を………」
「…はい?」
「手を退けろぉぉぉぉ‼︎」
「ギャアーーー!」
この後、小悪魔は食品庫から救出され、俺は気絶する程ボコボコに殴られ続けた……
それと、最低の余談だが多少の弾力はありました…
数時間後
「奏さん…⁉︎ どうしたんですか、その有様は…?」
「ははは…まぁ、色々ありまして……」
夕食時、次々と部屋に集まってくる館の住人達の中で美鈴だけが俺のことを心配して声をかけた。
「自業自得よ反省なさい」
あれから咲夜は全く目を合わせてくれない…
「色々って…何か面白いことでもあったの⁉︎ 私を仲間外れにするなんて酷いよ!」
フランが自分の席で駄々を捏ねる。
「御行儀が悪いですよ妹様。 それに、何も面白いことなんてありません」
咲夜が無表情でフランを宥めた。
「奏! 貴方、一日中どこにいたの⁉︎ 私がどれだけ探し回ったと思ってるのよ‼︎」
レミリアがテーブルを強く叩いて俺に言い放つ。
「ああ…すみません……ちょっと食品庫に閉じ込められてまして…」
「そんなの関係ない! 私が呼んだら、疾風の如く三秒以内に駆けつけなさい!」
「そんな、無茶な……」
「無茶でもやるの! 咲夜はできるわよ‼︎」
そんなの当たり前だ……
「メイド長と比べられるのは……如何なものかと…」
「貴方は私の執事なのよ! 黙って言うことを聞きなさい!」
勘弁してほしい…
「レミィ、それくらいにしておかないと料理が冷めてしまうわよ」
レミリアの向かい側の席でパチュリーが静かにそう言った。
「う〜……そうね…今日は良く動いたからお腹がペコペコだわ……。 それじゃあ、いただきます」
パチュリーの一言でレミリアは湧き上がっていた感情を抑えて食事を開始した。
レミリアが食べ始めると、それに次いでフラン、パチュリー、咲夜、美鈴、の順にいただきますを言って皆で一斉に食事が始まる。
今夜はここに来て初めての、紅魔館のメンバーが、ほぼ勢ぞろいである。
「奏、さっきの話の続きと要件は夕食後にするから。 後で謁見の間まで来なさい」
「は…はい」
「よし。 そう言えばパチェ、小悪魔はどうしたの?」
レミリアはパチュリーにさっきから俺がずっと気にかけたことを訊いた。
「熱と怪我で体が真面に動かないみたいだから、今日は早めに休ませたわ」
「ふーん、そう…久しぶりに全員顔を出すかと思ったけど…それは残念ね。 お大事に、あちっ」
レミリアは軽く労いの言葉を掛けるとスープを掬って冷まさずに口につけ、軽く悶えていた。
「パチュリー様、先輩の容態は…その…大丈夫ですか?」
俺はパチュリーに小声で訊ねた。
「そう言えば、貴方が運んでくれたのよね。 本人の代わりにお礼を言うわ。 ありがとう」
「いえ、それより先輩は…?」
「そんなに心配しなくても平気よ。 2、3日休めば良くなるでしょうし、怪我も大したことはないから。 だから、あまり貴方が気に病む必要はないわ」
「……そうですか」
俺はパチュリーの言葉を聞いてようやく安堵することができた。
「食事が済んだら先輩の御見舞いをさせてもらってもいいですか?」
「ええ、そうしてあげなさい。 だからほら、早く食べないと本当に冷めてしまうわよ」
パチュリーは優しい微笑みを浮かべて俺にそう言った。
「ああ、そうですね。 では、いただきます」
食事の挨拶を済ませると、俺も周りの皆と同じように食事を始めた。
皆が楽しそうに食事を進めるそんな中、パチュリーがため息交りに小さく呟いた。
「はぁ……2、3日か…空いた穴は埋めてもらわないとね…」
新たな労働の予感。
奏•レミリア:「次回予告コーナー!」
レミリア:「奏、貴方は執事としての自覚が足りなさ過ぎよ!」
奏:「どうしたんですか…いきなり?」
レミリア:「どうしたじゃないわよ! 私が必死で探しているというのに、野菜を優先したり小悪魔程度とイチャついたり…もっと私に敬意を持って接しなさい! 雑に扱いすぎよ‼︎」
奏:「しかし…野菜は鮮度が命ですし……先輩とはイチャついていたわけではなくて…あれは不可抗力と言いますか……」
レミリア:「大体、何でそんなことになったの?」
奏:「いや〜…まぁ、食品庫に入ったら鍵と魔法を掛けられまして…はっはっは」
レミリア:「……はぁ…つまらない言葉掛けしてないで早く進めるわよ……」
奏:「すみません…」
レミリア:「今回は、次話に関わるちょっとしたお知らせがあるっていうからわざわざ私が来てあげたんだから」
奏:「そうでしたね、それも含めてしっかり説明しませんとね」
レミリア:「じゃあ、奏。 後はよろしく頼むわ」
奏:「…丸投げですか……。 はい、分かりました。 ということで、次回は熱を出して寝込んでしまった先輩のために自分が一肌脱いで頑張る回です」
レミリア:「またあの小悪魔とイチャイチャするつもり…⁉︎」
奏:「しませんよ…! またって何ですか⁉︎ またって? 一肌脱ぐって…そういう意味じゃありませんからね……」
レミリア:「分かってるわよ…仕事サボってそんなことしたら、今度こそお仕置きしてあげるから、覚悟しておきなさい」
奏:「……サボってるわけでもないんですが……」
レミリア:「はいはい、それでお知らせっていうのは何なの?」
奏:「ああ、そうでした…。 次話についてのお知らせなのですが。 何と、次話は他の人が担当して書かれるそうですよ」
レミリア:「……書かれるとか言って大丈夫なの…?」
奏:「ええ…何か、このコーナーではメタ的な発言やキャラ崩壊はもう諦めたそうです。 笑い重視でいくとか…」
レミリア:「もぅ苦笑でないことを祈るしかないのね…」
奏:「メタな発言は諸刃でもありますが、上手く使えば結構受けが言いそうですよ?」
レミリア:「こんなコーナーでこんなことを言ってる時点で、色々終わってるわね…。 で、さっきのはどういうことなの?」
奏:「そのままの意味です、執筆する担当者を一度変更してみるとか?」
レミリア:「それ、大丈夫なの?」
奏:「新たな挑戦らしいですが…書いて下さった方はすんなり了承してくれたとか…」
レミリア:「ということは、次話だけ作風がガラッと変わるってことね…」
奏:「まぁ、そうなりますね。 一度きりですからその後は元に戻すそうですが、反響が大きければ書き方を変えて続けてみるとか、色々考え中だそうです」
レミリア:「そう…まぁ、こんな風にいつまでも話していてもつまらないし…今回はこの辺りで閉じておきましょう」
奏:「そうですね、では次話もまた波乱の予感ですが生きている限り頑張ります」
レミリア:「殺しはしないわよ…。 まぁ、紅魔館の執事として、それなりに頑張りなさい」
奏:「はい! それでは」
奏•レミリア:「後編もお楽しみに!」