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東方労働記 〜 Beautiful Labor Days  作者: すのう
労働記 【妖】
18/28

第四話 後編

久しぶりの更新です

今回は自分でも面白目に出来上がった気がします

改名もして、心機一転

これからまた頑張っていきたいですね


注意

この作品の中では通過の割り当てとか色々と面倒なので、現代のお金で全て計算されています

読者の方々もその方が分かりやすいでしょうしね…

「仕事よ。 ほら、そんなところで倒れてないで、シャキッとしなさい」


姉妹、そして美鈴の退出後、咲夜が清々しい顔で言った。


その口調に、若干『ざまあみろ』的な意味が含まれているように感じたのは気のせいだろうか?


「あの……メイド長…自分、原因不明の重症体っぽいんですけど…」


いきなり仕事と言われても、今のこの身体でまともに仕事が(こな)せるとは思えない。


できればもう少しだけ、休みを頂きたいところだ。


「まだ痛む?」


「ええ…まぁ…割と…」


「じゃあ、大丈夫ね」


「………」


何がだ…?


「それで、今日の仕事の内容なのだけど。 実は、昨日の騒動で地下にあった食材の殆どが駄目になってしまって…夕食に使う分の食材が足りないのよ」


どうやら、話は勝手に進んで行くようだ…


「元々、供給前だったから食料自体は少なかったんだけど…。 昨日のあれで、野菜や肉は散乱…卵に至っては、もう使い物にならないわ…。 だから」


咲夜は懐から何かを取り出すと、俺に向かって放り投げた。


俺は、それを片手で受け取ると、咲夜が俺にそれを渡したことが何を意味するのかということを瞬時に悟った。


「おつかい、お願いね」


「………」


それは、小銭と札がギッシリと詰まった財布だった。


「じゃあ、後は頼んだわ。 エントランスに妖精メイドを何人か呼んでおいたから、一緒に連れて行きなさい。 里への道順もあの子達に教えてもらうといいわ」


「えっ…⁉︎ あの子達と行くんですか…?」


「まぁ…確かにあの子達は少し頼りないだろうけど、荷物持ちにはなるだろうし。 一人で行くよりは気楽でいいと思うけど?」


「いや〜…気楽と言うよりは……お気楽な人達と一緒に行くというのが不安で仕方ないと言いますか…」


紅魔館の妖精メイド。


その名の通り、紅魔館で雇われている妖精のメイドさん達のこと。


チルノと同じような種族らしく、ここに来てから何人かと挨拶や会話を交わしてきた。


しかし、皆、(すべから)く適当な子達ばかりだった…


仕事には真面目に取り組んでいるようだが、ミスも多く飽きやすい。


中には一日中フラフラしているような子もちらほら…


そんな子達を先導におつかいに行くというのは…実に不安である……


「大丈夫よ。 頭はさほど良くはないけれど、やればできる子達だから。 それに、どちらにしても人出が足りないのよ。 今は美鈴にも昨日残した仕事をしてもらっているし、仕事が空いているのはあの子達しかいないのよね…」


「えっ? 昨日の騒動、まだ全部片付いてなかったんですか?」


「ええ、掃除は一通り済んだのだけど、家具の整備や地下での作業が少し残ってるのよ。 本当はあなたにも手伝って欲しかったのだけど…その状態で重労働させるわけにもいかないしね…」


少しは気を遣ってもらえていたらしい。


俺は咲夜の話を聞いて、少しでも安静にしようとしていた自分が恥ずかしくなった。


今は館内の人達が皆、それぞれの役割を持って働いている。


そんな中で、怪我をした俺のために少しでも身体への負担を減らしてやろうとして、与えられた仕事がこれなのだ。


付き添いが誰だとか、今はそんな贅沢なことは言ってはいられないと感じた。


「……分かりました。 あの子達と行ってこようと思います」


「そう。そうしてもらえると助かるわ。 じゃあ、買うもののリストは財布の中にメモした紙が挟んであるから、後で確認しておきなさい。 くれぐれも、落としたりなくしたりしないこと」


咲夜は、人差し指を立てて『いいわね?』とでも言わんばかりに強く念を押した。


「ははは…そんな、子供じゃあるまいし、流石に大丈夫ですよ」


「そうね。 まぁ、そうであってもらわないと、執事としての前に、人として困るものね」


「ええ、そんな基礎的な常識まで失くすつもりはありませんよ」


咲夜と話しながら、ネクタイ、上着、手袋を着用し終える。


「浴槽に手袋したまま入るような奴がよく言えたものね」


「あはは…では行ってきます」


「はい、行ってらっしゃい」


俺は無意識の内に『行ってきます』と口にしていた。


妖精メイド達と合流して館を離れるまで、俺はそのことに全く気が付くことはなかった。



「なぁ〜…霊夢〜……気持ち悪いんですけど…」


伊吹の鬼は漆色の瓢箪(ひょうたん)を抱え、畳の上で仰向けになって寝転んでいた。


「人の顔見て気持ち悪いとか言うんじゃないわよ!」


「いや、そういうんじゃなくてさ…。 その…なんて言うか……頭とかお腹とか…主に体的な意味でさ…」


「誰が、化け物じみたプロポーションなのよ!」


「いやいやいや…違う…! 違うから、別に霊夢の見た目どうこうなんて今、全然気にしてないから…!」


「じゃあ、何なの…? さっきから何回も嘔吐(えづ)いてるみたいだけど…もしかして、酔ってるの? 吐くなら外で……いや、もっと遠くの、誰の迷惑にもならない所でしてきなさい」


霊夢は卓袱台(ちゃぶだい)の上のお茶を啜り、据え膳の煎餅を一齧(ひとかじ)り。


昼間だというのに参拝客は殆ど見受けられず、博麗の巫女は長期休憩に入っていた。


「まぁ…参拝客がいないのは昼間に限らないけどね…いつものことだし…」


「ちょっと…誰と話してるのよ…?」


「ああ…いや、こっちの話こっちの話。 ところでさ霊夢、何かないの? こう〜…頭がスッとして、体がシャキッとするような何かとかさ〜…」


「そんなものが神社(うち)にあるとでも思ってるの?」


「いや、全然期待してないよ…。 してないけどさ…私は霊夢が奇跡を起こして、私のこの胸につっかえた何かを綺麗さっぱり取り除いてくれることを願ってるわけだよ…」


「そういうことは『山のおめでた緑』か、『竹林のマッド』にでも頼みなさい。 わたしの管轄じゃないわ。 それに、どうせ原因は手に持ってるそれでしょ…なら、自業自得じゃない…?」


霊夢は呆れた目で萃香の持つ瓢箪(ひょうたん)を見つめた。


「こんな安酒じゃあ、酔えるもんも酔えないっての! それに中もう空だしさぁ…」


「なによそれ、あんたの瓢箪って無限にお酒が湧き出るんじゃなかったの?」


「いや、これただ店で買ってきたやつだから…ほら、色も全然違うっしょ? いやさ〜…気づいたらどっか落っことして来ちゃったみたいで、その辺探しても全然見当たらんのよ…参ったねども……」


「それもどうせ自業自得なんでしょ。 普段から、呑み過ぎてフラフラしてるから大事な物も直ぐ失くすのよ。 もう少し節度をわきまえた生活を送りなさいよね」


「私ら鬼に節度とか言われてもね〜…。 まぁ、善処しますっての!」


「何でいきなり大声出したのよ…? 酔ってるの?」


「酔ってないよ! 」


酔っぱらいの決まり文句を叫び、萃香は空の瓢箪を物乞いしそうに見つめた。


「ああ…酔い覚ましに…美味い酒が飲みたいね〜…」


「酔ってないんじゃなかったのかよ…? その前に、どういう理屈でそうなるの…?」


萃香の矛盾した発言に呆れ果てた霊夢。


その隣で、萃香は『酒〜 酒〜』と駄々をこねがらゴロゴロと転がっていた。


「ん〜……はっ…‼︎」


唐突に何かを悟ったように萃香が起き上がる。


「うわっ! 何よ、いきなり⁉︎」


「お酒の…匂いがする」


「う…。 きっ…気のせいじゃない?」


霊夢は微笑みながら、お茶を啜った。


「ん〜そうなのかな〜…微か過ぎてよくわかんないけど…」


「きっと、瓢箪の中の残り香が漏れてるのよ」


「そっか…そだな、博麗神社に酒なんて常備してあるわけないし…。 気のせいか…」


「ええ、あるわけないじゃないそんなの。 お酒にばっか執着してるからそんな風に幻覚にとらわれるのよ。 少しは、生活を改めなさい」


そう言うと霊夢は、卓袱台から立ち上がり障子戸を開いた。


「ん? 霊夢、どこ行くの?」


「ちょっと…お花を摘みに」


「なんだ、便所か」


「そういうことを軽々しく言うんじゃないわよ…」


霊夢は障子を閉めると、急いで目的の場所へと向かった。


「えっと…確かここに仕舞ったはず…」


霊夢は、(かわや)には向かわず、台所で戸棚を漁っていた。


「あっ、あった、あった」


霊夢は戸棚から酒瓶を一本取り出した。


「まさか、これの匂いを嗅ぎ付けられるなんてね…。 鬼って本当に恐ろしい生き物だわ…」


数日前、紫と萃香で飲み合ったときに取っておいた秘蔵の一本。


紫が『高価なお酒が手に入っのよ』と言って持ってきたものを誰にも飲まれないよう残しておいたのだ。


そのまま楽しむのもよし、売って金にするもよし、この酒は今の霊夢の生命線。


あの日、これを手に入れようと、紫と萃香を早めに酔い潰れさせるのに、霊夢はかなりの苦労を要していた。


「絶対に渡してなるもんですか」


霊夢は酒瓶を片手に、静かに戸棚を閉めた。


「さ〜て、どこに隠したものか…」


そうして、隠し場所を考えていると、突然背後にただならぬ気配を感じた。


()ったーーー‼︎」


霊夢がその掛け声に驚き、後ろを振り返ったその時には既に、さっきまで手に握っていたはずの酒瓶がなくなっていた。


「なっ…⁉︎」


「霊夢、私に隠し事なんて無情(つれな)いじゃないのさ」


「萃香、あんた…何で…」


「何でも何も、霊夢があんな風にニコニコしてたら何かあるって思うに決まってるじゃん」


「そんなことないわよ! 私はいつだってニコニコしてるじゃない」


「どの口が言ったもんかねぇ…。 ニコニコしてるっていうよりは、濁りに満ち溢れてると思うけどさ…」


萃香は霊夢と話しながら酒瓶の蓋を開け始めた。


「ちょっと! あんた、何してんのよ⁉︎」


「何って、そこに酒があったら飲むってのが、鬼の(さが)ってもんだよ。 流石の私でも、この誘惑にだけは弱くてね…」


「勝負好きの鬼なら誘惑にも打ち勝ってみせなさいよ」


「いや、私たち鬼にとって、誘惑ってのは欲望そのものに近いものがあってさ、古き友みたいなもんなのよ。 親友との間に醜い争いなんて存在しない…分かるかね、霊夢」


「あんた…本当に鬼か⁉︎ そんな不浄に満ちた交友関係なんて知らないわよ! 兎に角、それを返しなさい! 今ならまだ許してあげるわよ」


「◯◯したら許してあげるって言われて、許された試しって一度もない気がするんだけど…? 『怒らないから話してみ、って言われて素直に話したら絶対的に叱られる法則』ってやつ?」


「知るか! 返さないと、力ずくで奪うことになるわよ?」


「おっ? 久しぶりに本気出てきちゃった? これは、私も本気出さないと明日の酒が飲めなくなりそうだねぇ!」


萃香は一歩で霊夢から大きく距離をとると、急いで台所から飛び出した。


「こぉら‼︎ 待ちなさい! 萃香!」


霊夢も萃香の後に続き、台所を後にした。



「あいつら……やりやがったな…」


妖精メイド達に着いて歩くこと…いや、走ること30分程。


湖を越え、どこぞの森を抜け、辿り着いたのは、緑豊かな、ただの道。


メイド達は御自慢の羽を見せつけるように、ビュンビュン飛び回り、昆虫を見つけてはそちらへ、獣に遭遇してはあちらへ……


全く先導としての職務を果たしてはいなかった。


そして、最終的には見失った。


「………俺、悪くないよな…?」


自問しながら、見知らぬ土地を歩き続ける。


近くに人里があるとは思えない。


来た道を戻ろうにも上手く帰れるかわからない。


完全に八方塞がりだった。


誰か一人でも近くにいれば道は開かれるというものだが…


辺り周辺を見渡しても人っ子一人見当たらない。


「こんなことなら地図でも、もらっておけばよかったな…」


誰もいない道で、今更なことを呟きながら歩き続けていると、道脇に人工物らしき石段が見えた。


それが目に入ると、俺は急いでその石段へと駆け寄り、それがどこに繋がっているのかを確認した。


数十段程上に、大きな赤い鳥居が構えられている。


恐らく石段の上には神社か何かがあるのだろう。


俺は躊躇うことなく目の前の石段を登り始めた。


神社ならば親切な人の一人や二人いても、何らおかしくはない。


道に迷った青年を追い返すような真似は流石にしないだろう。


もし、無人だったとしてもここで待っていれば参拝客の誰かに道を訊ねることができるかもしれない。


人里か紅魔館の場所さえ訊くことができれば、後はどうとでもなる。


それに、少しはこちらの世界についての情報も聞けるかもしれない。


淡い期待を寄せながら、石段を登り続ける。


昨日の階段地獄(あれ)に比べればこんな石段など、そこらの段差を乗り越えるようなものだ。


俺は意気揚々と足を運び、僅か数分で石段を登り切った。


「……誰もいねぇ」


鳥居には、大きく『博麗神社』と記されていた。


昼間だというのに参拝客の一人も見受けられず、境内(けいだい)はとても閑散としている。


まぁ、予想していなかったわけではない。


田舎の神社など、大体どこもこんなものだ。


人々の信仰心は徐々に薄れ、何か特別な想いでも無い限り、現代人は神に頼ったりはしなくなった。


中には、神は偶像であると心の何処かで割り切りながらも手を合わせる人々さえいる。


姿形のないモノだからこそ、人はそれを崇めることができるのだろうが…よくよく考えれば、その対象物は別に何であっても構わないのだろう。


人の思想が作り出したものが神や妖と言うのであれば、それこそ、それらは幾らでも生まれてくるのだから。


元々、他の宗教家たちに比べて日本人は宗教には疎く、何でも受け入れがちなスタンスを取っている。


いい例が、クリスマスだ。


仏教徒で経文を唱えながら死人に手を合わせるような人々が、キリストの誕生を祝ってどうする?


俺自身、そこまで知識を持ち合わせているわけではないが、こういった宗教的なこととなると、いつもいつも軽い疑問が次々と浮かんできてしまう。


例えば、仏教を信仰している金髪で鼻の高い外人も、死んだら三途の川を渡るのだろうか?


黒人の大男も?


華恋のようなハーフも?


三途の川の畔でそんな奴らが迎えを待っている姿など想像ができない…


もし、そうだったとしたら…死後の世界もグローバルだな…


このように、信仰心の薄い奴にとって、神や仏の存在など大して何の役割も果たさない。


だが…神社に来たら先ず参拝するというのが常識となっている世の中だ。


その行為に意味がなかったとしても信じることで救われるということもある。


「まぁ、たまには神に賽銭をくれてやるのも悪くはないか…」


上手く帰ることができますようにとでも願っておこう。


運気よ上がれとは何時も願っているのだが、良いことなどは何も起きやしない。


世の中そんなに甘くはないとは理解しているが、もうそろそろ神も俺に微笑みを向けるべきではないだろうか。


神に対して実に傲慢な態度で俺は参道の脇を進み賽銭箱の前に辿り着いた。


立ち止まり、先ずは一揖(いちゆう)


基本中の基本である。


近くに手水舎(ちょうずや)がなかったので身を清めるという動作は省いてしまったが…別に問題ないだろう。


次に賽銭を投入する。


手袋を外し胸に仕舞うと、内ポケットから財布を抜き取って小銭を漁る。


「あ……」


今更気づいたが、そもそもこれは俺の金ではなかった。


おつかいの為にと支給された経費であり、私用で使うべきではないだろう。


しかし、手間賃としてお賽銭に入れる金ぐらい出してもらっても罰は当たらないとは思う。


そんな風に自問を繰り返しながら、財布を持ったまま賽銭箱の前で立ち尽くしていると、突然、前方の障子戸の向こう側から『ドタドタドタ』という足音が聞こえてきた。


「何だ? 誰かいるのか」


その音は徐々に大きくなり、こちらへと近づいてくる。


一体、中で何が起きているのだろうかと気になり、財布から障子戸に目を向けたその時。


「うぉらっ、しゃぁぁぁぁ!」


大きな掛け声と共に『バリッ』という音を立てて、中から障子戸を突き破り、一人の少女が飛び出してきた。


「え…⁉︎」


少女は俺の右脇を通り過ぎるように跳んできたが、その頭には木の棒のような何かが二本立っており、それが丁度俺の頭を捕えていた。


「およ?」


少女も俺のことに気づいたようだったが、その時には既に遅く、障子を突き破った時の勢いは衰える様子を見せることなく、スピードを保ち続けたまま木の棒のような固形物が俺の包帯で包まれた頭にクリーンヒット。


「ふぐぁっ!」


俺はその勢いのまま後ろに倒れ込み、しばらくの間、声にならない苦痛に、のたうち回っていた。


辺りにはチャリン、チャリンという音が無惨にも響き渡る。


「っーー…っーー…!」


(いた)た…。 ああ…(あん)ちゃんごめんね。 前見てなかったもんだからさ…。 それにしても、兄ちゃん石頭だね〜…。 私の角がこんなに響くなんてさ……」


少女は俺にそう言うと、すくっと立ち上がった。


「兄ちゃん面白そうだけど、今、ちょっと取り込んでてね。 縁があったら今度一緒に酒と拳でも交わそうよ。 じゃね!」


それだけ言うと、少女は猛スピードで境内を駆け抜け、石段を飛び降りて行った。


「あぁ……何だったんだ…あれ…」


頭を抱えながら、少しづつ思考を取り戻す。


両手を頭から離して見てみると、少し赤く、包帯に血が滲んでいるのがわかった。


「うわぁ……。 ………んっ⁉︎」


両手を見ていると、血が出ているということなんかよりも、もっと重大なことを思い出してきた。


「財布……どこ行った…?」


さっきまで手に持っていたはずの財布がどこにも見当たらなかった。


辺りを見渡すと、賽銭箱の周りに、さっきの衝撃で飛び散ったであろう小銭達が散乱している。


「まさか……」


俺は嫌な予感しかしなかった。


そして、その嫌な予感は的中してしまった。


痛みに耐えて立ち上がり、賽銭箱の中を覗くと、見覚えのある財布が一つ。


「……ヤ…ヤベェ…やっちまった!」


そう叫ぶと、俺は慌てて賽銭箱の中に手を入れて取り出そうと試みた。


あれだけの札の入った財布を失くしたとなると、メイド長に冥土(めいど)行を喰らいかねない…


俺は必死だった。


頭に血が上り、包帯が赤く染まっても、その手を賽銭箱から抜こうとは思わなかった。


しかし、手までは入ったとしても、やはり腕までとはいかない。


どれだけやっても、届きそうにはなかった。


「くそぉ……」


諦めかけたそのとき、頭から血が流れ、血の気が引き、冷静さを取り戻したおかげで、俺は賽銭箱に鍵がかけられていないことに気づくことができた。


しかも、この賽銭箱は蓋を持ち上げれば容易に中が取り出せる構造のようだ。


地獄に仏とはまさにこのこと。


俺は賽銭箱を開けることに少しだけ抵抗を感じたが、見ればこの賽銭箱、財布以外は何も入っておらず、そこまで罪悪感を感じることはなかった。


両手を賽銭箱にかけ、俺はごく僅かな罪悪感を内に秘めながら、勇気を振り絞って賽銭箱の蓋を開けた。


だが、その時。


「くぉぉぉらぁぁ! 萃香! どうしてくれんのよ、この障子‼︎ それと、返せ私の酒‼︎」


目の前の障子戸が両側に勢いよく開かれ、中から怒鳴り声を上げながら巫女服の少女が現れた。


「………」


「………」


二人は目が合い、見つめ合い、お互いが今置かれている現状を把握するのには一瞬の時間も、永遠のように感じた。


が、そんな仮初(かりそ)めの永遠など、この世に存在する筈もない…


「賽銭泥棒ぉぉぉぉぉ!」


「えぇっ! いやっ! 違…!」


奮起する巫女に対し、何とか弁解を試みようとしたその時。


ビュッと頬を何かが掠めたのを感じた。


見ると、針のような物が俺の皮膚を切り裂き、地面に突き刺さっていた。


「問答無用ーーー‼︎」


巫女は空高く飛び上がると、俺目掛けて一つ、また一つと、針のような物を飛ばしてくる。


「ああああっ!」


その針は袖や、裾など貫いたものの腕や脚に当たることはなかった。


俺は急いで立ち上がると、境内を駆け抜け石段を駆け落ちるようにその場を立ち去った。


その後、恐怖のあまり我武者羅に走り続けた結果、俺は森を抜け見覚えのある湖まで帰ることができた。


何だかんだで参拝の効果はあったらしい。



「全く…目を離すと直ぐこれなんだから…。 油断も隙もあったものじゃないわ…」


霊夢は溜息を吐きながら、石段の下を眺める。


「まぁ、脅しはかけたし、もう来ないとは思うけど…。 それにしても、萃香のやつ、どこ行ったのかしら…? 見つけたら、ただじゃ置かないわ」


そう呟いて霊夢は神社内へと戻る。


「全く…骨折り損ね……。 何処かに良い儲け話はないのかしら…?」


霊夢は瞳を閉じて、また溜息を吐くと、賽銭箱の蓋を閉めようと戻って行った。


「んっ⁉︎ こっ…これは!」



「メイド長! お財布が!」


館内を走り回り、調理場に咲夜を見つけ事情を話そうと足を踏み入れると…


壁にドスッと言う音を立てて包丁が突き刺さった。


「なんだって〜?」


顔自体はニコニコとしていたが…怒ってらっしゃることは明白だった。


執事説明中………


「はぁ〜……。 巫女がね〜…」


俺はこれまでの全ての経緯を咲夜に包み隠さず説明した。


別に悪いことをしたつもりはないので、本当にそのまま説明した。


妖精メイドに置いてけぼりを喰らったこと、参拝しようとしたら変な少女が現れたこと、もっと変な少女も現れたこと。


こんな奇怪な話、常人には直ぐに信じてもらえるとは思えなかったが…


「分かったわ…今回のことは許してあげる。 お疲れ様」


「え……?」


あっさりと許されてしまった。


「いいんですか? そんなあっさりと…」


「あなたを責めても仕方ないもの…それに、巫女とお金が一緒に絡んだとなると、生きて帰ってこれただけでも不思議なくらいよ…」


スープを混ぜながら咲夜は困ったように微笑んだ。


「でも参ったわね…夕食の分の食材は残っていないし…また時間を止めて買いに行かないと…」


「あの…メイド長、もし宜しければもう一度行かせてもらえませんか?」


「そんな体で行かせられるわけないでしょ。 もし道中で何かあったりしたらお嬢様になんと言われるか…」


「勝手なお願いだということは分かっています。 しかし、自分のせいでメイド長にも館の人にも迷惑をかけてしまいましたし…この仕事だけは最後までやり遂げたいんです」


「………」


俺は重い責任を感じていた。


大金を失くしてしまった俺に対して、咲夜は何も言わずに許してくれた。


しかし、そんな風に簡単に許してもらって、すみませんでしたで済ませるなど、そんなことができるはずがない。


咲夜の優しさが俺にはすごく重かった。


館の人は総動員で働いているし、咲夜にもこれ以上の負担をかけさせるわけにはいかない。


全ての時間を止めているとは言っても、咲夜自身はその静止した時間の中で働きづめの筈だ。


就任後、咲夜が休んでいる姿など、静止した時間の中であったとしても、ただの一度も目にしていない。


そんな人にこれ以上の労働をさせるなど、俺にはできなかった。


「……はぁ…御使いは別に執事の仕事じゃないから、そこまであなたが誠意を持つ必要はないんだけど…。 そうまでして行きたいと言うのなら、お願いしようかしら…」


「本当ですか⁉︎ ありがとうございます!」


「じゃあ、もう何人かメイドを…」


「いえ、地図と荷車を貸して下さい。 自分で行きます」


咲夜が言い終える前に、俺は真顔でその申し出を断った。


もう、付き添いは…いらない。


「そう…なら、地図は描いておくから、あなたは下へ行って倉庫から荷車を出してきなさい」


「はい! 分かりました。 では」


「ああ、奏、ちょっと待ちなさい」


「はい?」


倉庫へ向かうため急いで駆け出そうとしたが、調理場を出る前に咲夜に呼び止められた。


咲夜は戸棚から箱を取り出し、中から物を手に取りこちらへと振り返った。


「包帯、変えてあげる」


「ああ…え〜と……お願いします」


いつもと違う雰囲気の咲夜に、少しばかり戸惑いつつ、俺は適切な手当を受けた。


数分後。


「では、今度こそしっかり買ってきます」


「はいはい、気を付けて行ってきなさい」


「はい! 行ってきます」


本日二度目の行ってきます。


もう、自然に口から出てしまうようになっていた。


手袋を深くはめ直し、荷車を強く握りしめて、いざ出陣!


今回は咲夜直筆の地図がある。


金ももらったし、もう何も恐れることなどありはしない。


そして、数分後。


「………着いた」


着いたには着いたが…随分あっさりとしすぎではないだろうか?


ここまで道なりにただ歩いてきただけだった。


湖は通り過ぎただけだったし、森になんか一歩も足を踏み入れはしなかった。


「あの子たちは俺をどこに連れて行くつもりだったんだ…?」


今は亡き(死んではいません)妖精メイド達に疑問を抱きつつ、俺は里へと足を踏み入れた。


人里は意外と賑わっていた。


建ち並ぶ店では客引きの声が、民家の近くでは元気に(はしゃ)ぐ子供達の声が、絶えることなく聞こえた。


一本の大きな通りに店が集中しており、外の世界の商店街の雰囲気とあまり大差はなかった。


しかし、そこに暮らしている人々はやはり自分の暮らしていた場所とは程遠い文化を築いているようだった。


特に一番驚いたのは、里人の服装だ。


まるでタイムスリップでもしたかのように、ほぼ全員が時代劇で身につけるような着物を平然と着ていた。


それが、この世界では普通なのかもしれないが、外の世界からやってきた自分にとっては妙に違和感が強かった。


それにしても、さっきから通りすぎて行く人々は俺に対して何の興味も示さない。


てっきり冷たい目を向けられるのかと思っていたが、皆、俺の服装を見て騒ぎ立てたりはしなかった。


執事服で外を出歩けば、外の世界であったとしても、冷たい目を向けられるか、騒ぎ立てる者の一人や二人出てもおかしくないはずなのに…。


「まぁ、下手に話しかけられるよりはましか…」


取り敢えず、早く買って帰ろうと思い、俺は一軒の八百屋を見つけてそこにお邪魔した。


「すみません、野菜を売っていただけませんか?」


「へい、いらっしゃい! おや、これは珍しいお客だ。 兄ちゃん、もしかしてよそ者かい?」


八百屋の店主は40代くらいの男性だった。


声は低く濁声で、とても威勢のいい人だ。


「まぁ…普通はそう見えますよね。 はい、外の世界から来た者でして、今は紅魔館で御世話になっています」


「はぁ〜成る程な、あの館の人か! 通りでそんな格好なわけだ」


店主は手を一度叩くと、全てを察したとでも言わんばかりに並んでいる野菜を手に取り始めた。


「館のことをご存知なんですか?」


「ああ? 知ってるも何も、あそこんとこのメイドさんはお得意様だからな。 いつも俺んところの店を贔屓(ひいき)にしてもらってんのよ。 優しいし、性格もいい、里の男の中じゃあ結構な有名人だぜ、何より美人だしよ」


「へぇ〜、そうだったんですか」


この里の人達が俺に驚かなかった理由がよく分かった気がする。


つまり、奇抜な服装は見慣れているというわけだ…メイド服を見慣れれば、執事服だろうが何だろうが、今更大して驚きはしないだろう。


「今日はメイドさんは来ないのかい?」


「はい、今日は忙しくて来られないそうなので、俺が代わりに買い出しに来ました」


「そうかい…そりゃ少しばかり残念だ…」


「おいおいおい! 八百屋、さっきから黙って聞いてれば、何が贔屓(ひいき)にしてもらってるだ! お前の店なんかよりも、家の店の方がよっぽど利用してもらってるってんだ!」


八百屋の店主の言葉に対して奮起して声をかけてきたのは、八百屋の左隣に店を構える肉屋の店主だった。


「バーロー! ももんじ屋は黙ってろってんでぃ! 肉を大量に買い付けてんのは、主が妖怪だからに決まってるじゃねえか! メイドさんは絶対、肉より野菜の方が好きだっての! その証拠におめぇのとこで買ってく時のメイドさんはいつも顔顰めてるじゃねえか、年中獣臭ぇ臭い漂わせやがって、こちとら商売上がったりなんだよ!」


「何ぉう⁉︎ お前のとこだって青くせぇもんばっか仕入れてんじゃねえか! それに、知ってんだぜ、お前、メイドさんに告ろうとして軽くあしらわれたらしいじゃねえか」


「なっ⁉︎ おめぇ! 誰から聞いた⁉︎」


「今じゃ里の男集団の中での笑い者だぜ、へっへっへざまぁみやがれってんだ! 抜け駆けしようとした罰が当たったんだよ」


「てめぇこの野郎! 表にでやがれっ!」


「ああ? やるのか? いい度胸じゃねぇか、返り討ちにしてやるぜ!」


店の前で胸ぐらを掴み合う2人、そろそろ止めないと大変なことになりそうだ。


「あの…お二人とも…喧嘩はそれくらいに…」


二人の間に割って入ろうとしたその時。


「こら! 二人とも、醜い争いは止めないか!」


八百屋の右隣の店から若い青年が出てきて声をかけた。


「何だ、魚屋んとこの若僧じゃねぇか」


「大人の話し合いに首突っ込むんじゃねえよ! 大人しく向こう言ってな」


「さっきから聞いていれば、本当に勝手な奴等だ」


青年はまともな性格のようで二人の喧嘩を止めてくれようとしているようだ。


「彼女は家の店を気に入ってくれているんだよ! おっさん達二人が粋がったところで、あのメイドさんは高嶺の花過ぎるんだ! あんたらにはその辺の雑草がお似合いだぜ!」


「………」


ああ…この人もダメだな…。


「肉屋:「五月蝿せぇ! 生ぐせぇガキは黙ってろっ!」

八百屋:「五月蝿せぇ!生ぐせぇガキは黙ってやがれ!」」


「んだと、てめぇら!」


新たに喧嘩に一人加わり、更にヒートアップして行く三人。


「あの〜」


「大体お前には嫁がいるじゃねえか! 邪魔すんじゃねえよ!」


「あの〜…」


「嫁は関係ないだろうが! お前こそ、前は慧音先生に惚れてた癖に直ぐに乗り換えかよ? ああ゛ん⁈」


「あの〜……」


「えっマジかよ⁉︎ 何、先生まで手中に収めようとしてくれてんだ、この変態緑虫が!」


「あの〜すみませ〜ん!」


「ああ゛⁈ ×3」


三人は厳つい声を発し、鬼の形相で一斉に俺のことを睨んできた。


「商品…売ってもらえませんか…?」


買い物リストを三人に手渡すと、三人は申し訳なさそうに店へと戻り、それぞれが素早く物を用意してくれた。


メイド長の人気…(あなど)り難し…


「悪かったな兄ちゃん…見苦しいもん見せちまって…」


「いえ、それは構わないんですが…いいんですか、こんなに安くしてもらって…?」


「ああ、ほんの()びのつもりだ。 それと、メイドさんにもよろしくな」


「ああ、お前また抜け駆けか⁈」


「いい加減にしろよ。 もう歳なんだからよ、同世代の叔母さんでもナンパしてこいや」


「うるせぇ、ほっとけ!」


お隣さん同士、不器用だが実はそこまで仲は悪くないらしい。


「それにしてもお前さん、そんな(なり)で大丈夫かい?」


魚屋の青年が心配そうに声をかけた。


「そうだな、怪我もしてるみてぇだし。 追い剥ぎにでも遭ったか?」


肉屋の店主が煙管(きせる)を咥えながら、俺に訊ねた。


「いえ、そんな物騒なものではありませんよ。 ただ、ちょっと訳ありで…」


「何かあったのか? 話してみろよ、俺たちじゃ力になれるかわからねぇけどさ」


三人の言葉に甘えて、俺は今日の昼間に起きた出来事を話した。


「ははぁ〜…それはきっと鬼の仕業だな」


「鬼?」


「ああ、神社に住み着いてる鬼って言ったら里でも結構有名な話だ」


「まぁ、大して人間に悪さしたりもしないし、酒屋の店主はたいそう仲のいいお得意様だって言ってたけどな」


「それでも、鬼の力は恐ろしいもんだ兄ちゃんも十分注意した方がいいぞ」


「どっちにしても、あそこの神社に行く時は特に気をつけな、あそこは最近、妖怪の巣窟になってるって噂だからな」


「もし参拝に行くなら山の方の神社にしておいた方がいいぞ 」


「そうそう、それと妖怪絡みで困ったことがあれば、里の外れに命蓮寺という寺があるから、そこを頼るといい。 白蓮様ならどうにかしてくれるだろうよ」


「俺はあんまりあそこは信用ならねぇと思うがな。 凶暴な妖怪を(かくま)ってるって噂もあるしよ」


「何を言うか、白蓮様に限ってそんなことがあるはずがないだろうが」


「けどよ…」


三人は俺の為に色々な場所の話をしてくれたが、どれもこれも確信の持てるまとまった答えは一つとして返っては来なかった。


「何にしても気をつけな。 あんたの主人は妖怪なんだろ? いつ襲われるかなんて分かったもんじゃないからな」


「まぁ、あのメイドさんの主でもあるんだ。 そんなに気を張る必要はないとは思うが…あそこの館の妖怪は特に妹が危ないという噂もある、今まで何人も犠牲になってきたとかな…」


俺は、その言葉を訊いて思い出した。


「妹…というと、今朝の……いや、まさか…」


「俺たちは大したことはしてやれねぇけどよ。 困った時はお互い様だ、いつでも頼ってくれ」


八百屋の店主が俺の肩をガシッと掴んで、そう言ってくれた。


「はい、ありがとうございます!」


俺は一言礼を言うと、荷車を押し始めた。


「またな、メイドさんによろしく!」


三人が手を振るのを背にして、俺は三軒を後にし、他の食材を購入して回ってから館への帰路へと着いた。



「行っちまったな…」


「なぁ、本当に手伝ってやらなくて良かったのかよ?」


「何言ってんだ、悪魔の館だぞ? 行って帰ってこれる補償がどこにあるってんだよ? そんなこと言うなら、お前が手伝ってやれば良かったじゃねぇか?」


「そりゃ…そうだが…。 あいつ…生きてられるのかな?」


「さあな? でも、俺たちには、何もできやしねぇよ。 相手は化け物なんだからな」


妖怪の存在を恐る人々の思想は、幾年経っても消えることはない。

咲夜「今回もお疲れ様」


奏「はい…本当に疲れましたよ…早く部屋に戻って休みたいくらいです…」


咲夜「そうね。 そろそろ、お嬢様にお暇を頂いたら?」


奏「いやいや…まだ、始まったばかりですから…。 休暇なら大歓迎ですけど…」


咲夜「あっそ…」


奏「そう言えば、唐突なこと訊きますけど、咲夜さんって、肉と魚と野菜で言ったらどれが一番好きですか?」


咲夜「別に、これと言って好きというのはないけど…それがどうかしたの?」


奏「ああ、いえ…何でもないです」


咲夜「と、ここまでこんな風に、たわいのない会話を続けて来たけど…何かわけがあるのよね?」


奏「ええ…次回予告なのに次回予告できないというまさかの状態に陥ってしまっているわけです…」


咲夜「そうなのよね…次回未定と聞かされた時は、本当に驚いたわ」


奏「はい…何でも…次回の題名が思いつかなかっただとか、話がまとまっていないとか、色々事情はあるそうですが…」


咲夜「まさか、ここで終わったりしないでしょうね…」


奏「それは…ないとは思いますが…」


咲夜「はぁ…まぁ、いいわ。 じゃあ、もう今回は締めましょう」


奏「そうですね…このまま続けても仕方ありませんしね…。 では、次回予告は未定ということですが、きっと次回があると信じて」


咲夜「また、次回も」


奏•咲夜「お楽しみに〜」


咲夜「この、キャラ崩壊…凄く疲れるのだけど…どうにかならないのかしら?」


奏「その割りには、結構ノリノリじゃないですか…?」

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