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一話
「俺、行くんだ。
ついに宇宙に……」
突然の宣言に友人の言葉に驚いた。
13年前
あいつは、いつも言っている。宇宙に行くと。
彼はそれなりに頭がいい。学校でも上からいくつかぐらいだ。
彼は、いつも天体の本を読む。そのとなりで簡単な小説を読む。
授業の始まる五分前に教室に帰る。
その途中に彼と話す。
月の動きかたや星座のことやブラックホールの作り方などを教えてくれた。
ある日聞いてみた
「星のどこが好きなの。宇宙のどこが好きなの」
ゆっくりと聞く。
そうすると彼は口を開く。
「きらきらしてるだろ。いつかあの星に行けると思うとわくわくするんだ」
虫歯のない白い歯をみせて笑った。