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【完結】女伯爵のカレイな脱臭領地改革〜転生先で得たのは愛とスパダリ(嬢)!?  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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68.寝起き臭えからの、何ですって!?

『うふふ〜、お待ちになって〜』


 豊かな()()をなびかせながら、私はキャッキャウフフと目の前の殿方を追いかける。


 手を伸ばせば、いつでも手が届く距離で目の前を走るのは、ファビア様。


『きゃっ』


 不意に躓いてしまった私。


『おっと』


 そんな私をクルッとターンし、軽々受け止めるファビア様。


『まあ……』


 ファビア様へと飛びこんだ私は、男らしく(たくま)しい胸と腕に抱き締められて……。


 はしたないと思われるかしら?

つい、うっかり、本当にうっかりと、男らしいお胸様についた両手をもみもみと……。


「ちょっ……おいっ」

「うふふ〜、なんて逞しい雄っぱ……」

「ヒッ、止め……」


 しなだれかかるファビア様の声が、いつものハスキーボイスから、殿方のように低い声へと変わった。


 どこかで聞いた声だと思いながらも、緊張感の増した逞しい筋肉を感じて、頬でも堪能しようとスリスリと擦る。


 あら?

自分の頬肉が、どうしてか分厚くなってますわね?


「お、おいぃぃぃ!」


 すると低い声が、焦りを露わにした。


「ふぅん」


 ファビア様のハスキーボイスが、思っているのと違う場所から聞こえた?

それに随分と、冷えた声音だ。


 どうしてかしら?

声の人数が増えまして?


「ファビア!?」

「はぁん……ファビア様……」


 小さな事を気にして、ファビア様の男らしい(硬さ)を堪能できなるなるのは、もったいない。


 どこか夢現(ゆめうつつ)のふわふわした意識の中、ファビア様と両想いになった事を思い出して、更に揉む。


「や、やめろ、オッサン!」


 殿方の声と、自分から私の顔を引き剥がさんとする、硬く無骨な手の平が、拒絶を露わにした。


 オッサン……そう、私はオッサン(マルク)

ファビア様のお胸は……双丘でしたわ!


 少し前、顔で感じたファビア様の柔らかな双丘を思い出し、ハッとする。


 しかし時、既に遅し……。


「ねえ、マルク?

私と誰を間違っているの?

それとも私がいるのに、堂々と浮気かな?」


 ファビア様の氷点下まで下がった声音が、私の背筋と肝を瞬間氷結させてしまう。


「はわわわ……私、誰の雄っぱいを……」


 体感温度は全く寒くないのに、何という事でしょう?

凍える背筋と肝のせいか、体がガタガタ震えてしまいますわ?


 なんて思いながら、こちらは私を突っぱねたままの状態で固まる、整った顔の殿方(雄っぱいの主)を見上げた。


「……ヘリー?」

「うっ、臭っ」

「!?」


 至近距離で呟けば、いつもと違う様子のヘリーが、思わずといった体で反射的に暴言を口にして、顔を背けた。


 ひ、酷いですわ。

でも仕方ありませんわ。


 元々、水分不足から口臭が自己主張していましたものね。

それが寝起きの粘つきと相まって、口臭が暴徒と化しているのを自分でも感じますもの。


「ごめんなさいですわ……」


 ひとまず謝りながら、しなだれかかっていたヘリーから、体を離す。


 いつ眠ったのかしら?

ベッドから落ちて、ヘリーを押し倒したような格好でしたのね?


「ヘリオス、離れて」


 なんて思っていれば、ファビア様がつかつかと歩いてきて、私の手を引いて立ち上がらせた。


 ヘリー……ヘリオスと呼びまして?

ヘリーとは別人?

よく似てますから、ヘリーとは双子か、年の近いご兄弟かしら?


 ファビア様が私を庇うように、ヘリオスとの間に立つ。


「いや、くっついてきたのは、マルクだからな?

殺気向ける相手、俺じゃないだろう」


 ヘリオスはため息を吐いて、私とファビア様から距離を取った。


「マルクは、硬い胸が好きだった?」

「え?」


 戸惑う私へと向き直ったファビア様は、そう言って私に詰め寄る。


 ファビア様、近いですわ!

今は息が寝起き臭えのに……って、私の胸に飛び込みまして!?


「私の胸を切って、ヘリオスの胸を移植した方がいい?」


 ファビア様がゾクッと発言しやがりましたわ!?

どんな発想ですの!?


「いやいやいやいや、マジで恐い!

ファビア、本気か!?

殺人鬼みたいな目で俺を見るな!

せめて胸筋を鍛える方で手を打ってくれ!」


 慌てるヘリオスは、ファビア様が一瞥した途端、顔面を蒼白にした。


 ヘリオスの手の平は、硬くて豆だらけでしたわ!

腕も雄っぱいも、鍛えてガチガチのムキムキ!

恐らく剣を握って、かなり鍛えてるはずでしてよ!?

そんな殿方を怯えさせるファビア様は、本気ですのね!

本気で切除と移植をして、ヘリオスを殺る気ですわね!?


「ファファファビア様!?

寝ぼけていただけてしてよ!」

「寝ぼけて浮気していたの?」

「違いましてよ!

浮気なんてしてませんわ!

そもそも夢の中でもファビア様と戯れておりましたの!

浮気する暇なんて、なかったですわ!

それにそれに、ファビア様の丸い双丘の方が、ヘリオスの雄っぱいより好きですわぁぁぁ!」


 思わず叫ぶと、ファビア様がきょとりとする。

暫しの沈黙の後、自分か口走った言葉で、カアァァァッと顔が熱くなってくる。


「い、いえ、あの、好き……ですけれど……は、恥ずかしい……」


 破廉恥な言葉を口走った事を自覚して、つい両手で顔を隠して照れる。


 そんな私を見たファビア様は、私をベッドの端に座らせてから、顔の手を退けさせた。


 嬉しそうに、どこか艶を含んだ微笑みを浮かべたファビア様は、いつかのソファのように私の顔を抱き締めた。


 双丘を顔に感じて、顔の熱が上がる中、ファビア様が口を開く。


「可愛いね、マルク。

そうそう、彼はヘリオス。

マルクと会う時は、ヘリーに変装してるけど、私の幼馴染で、本名はヘリオス=ガルーダ。

私達の前世で起きた事を歌劇にした、張本人だよ。

その理由は、このままの状態で聞こうか」


 ……何ですって!?

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