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【完結】女伯爵のカレイな脱臭領地改革〜転生先で得たのは愛とスパダリ(嬢)!?  作者: 嵐華子@【稀代の悪女】複数重版&4巻販売中


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49.男の性〜ファビアside

いつもご覧いただき、ありがとうございます。

人によっては不快指数ありな、短めの話が次話も続くかと。

「言ったはずだよ。

邪魔するなって。

忘れた?」


 ヘリオスの苛立ちを抱えたまま、話そうとしたのがいけなかったのかもしれない。


「……覚えている」


 ヘリオスも、どこか苛立った様子が見て取れた。


「いつものように、私の周りからマルクを排除しようとでもした?」

「知って……」


 ヘリオスが私の方を見て、絶句する。


「当然だよ。

私も都合が良かったから、あえてヘリオスの行動を止めなかったし、触れないようにしていた」

「都合が、いい……」


 ショックを受けたようにうつむくヘリオスを、更に畳み掛ける。


「そう。

ああ、良いように使われていたなんて思わないでね。

私は止めなかっただけ。

私に群がる男を排除したのは、ヘリオスの意志だ。

そうやって、幼馴染を守る自分に酔っていた事に、気づかれていないと思わないで」

「……そう、だな……」


 私はマルクを守ると決めている。

だから幼馴染でも、マルクを傷つけようとすれば容赦しない。


「でも今回は違ったでしょう?

どうして……」

「…………からだ」

「え?」


 ヘリオスは感情を押し殺すように、低く呟く。

上手く聞き取れず、眉を顰めて聞き返した。


 その時だ。


「お前に惚れてるからだろうが!」


 感情を爆発させたように叫んだヘリオスは、私を押し倒して馬乗りになる。


 私の両手を広げ、ヘリオス自身のそれぞれの手で、地面へ押さえつける。


「お前が突然、男みたいに振る舞うようになった!

それも小さい頃からな!

お前の両親はその内飽きると思って、たまに社交の場でも男の子だったかもって冗談を言ったりしてた!

けど、そういうのを正す前に、亡くなっちまった!

そのせいで周りは、お前が男だと信じてる奴も多い!

挙げ句、お前は令嬢達と性別がバレない程度の浮名を流し始めた!

令嬢姿のお前を見た事ある奴も、むしろ幼少期のお前は女装してたんだと認識を改めた奴も多い!

けど俺はずっと……ずっと、お前が女だって知ってる!

女なんだよ、お前は!

男の俺には力で勝てない、女なんだ!」


 激情に駆られて吠えるヘリオスに、しかし私の心は冷えしていった。


「ヘリオス、退いて」

「ふざけんな!

ふざ、けんなよ……俺がどんな思いで女のお前を見守って……」


 苦しそうに顔を歪めたヘリオスは、しかし次の瞬間、ギラついた男の(さが)を噴出した。


「わからせてやる!」

「ヘリオス」


 しかし私は冷静に、咎める声音でヘリオスの名を呼ぶ。


 ヘリオスが僅かに怯むも、まだ治まらない性。


「お前が女だって、わからせて……」

「ヘリオス!

私はマルクが好きなんだ!」


 一度だけ、大きな声で告げる。

ヘリオスが、グッと言葉に詰まるのを見逃さない。


「ヘリオス、私が君を一人の男として惚れる事は、絶対に一生ない」

「はっきり言うじゃねえか」


 泣きそうな顔になったヘリオスに、チクリと胸が痛む。

それでも、この幼馴染を止めなければならない。


 そう、ヘリオスに対して幼馴染としての情だけは、未だ健在だ。

だからこそ、暴挙に及ばせたくはなかった。


「そしてマルク以外に惚れる事もない。

相手が男でも、女でも、マルク以外に惚れられない。

確かに私は純粋な力で、男のヘリオスに勝つなんてできない。

特にヘリオスは騎士だ。

こうやって押さえつけられれば、無抵抗に抱かれるしかない。

けどね、ヘリオス」

「止めろ、聞きたくねえ!」


 ヘリオスが私の両手の拘束を外したと思えば、バッと胸元を掴んで、勢い良く胸元の服をはだけさせる。

弾みでボタンが幾つか飛ぶ。


「ヘリオス、私は君に抱かれたとしても、変わらない。

君と一緒にはなれないし、君に女として惚れる事もない」

「言うな!」


 険しい面持ちで咆哮を上げたヘリオスは、私の胸に巻いてあるサラシに手をかけた。

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