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【完結】女伯爵のカレイな脱臭領地改革〜転生先で得たのは愛とスパダリ(嬢)!?  作者: 嵐華子@【傾国悪女】3/5発売予定


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44.ゴリーの警戒心

「ゴリー、ありがとうですわ!

私も手伝いますわ!」


 ヘリーが来てから一晩明けた午前中。

予定通り邸を訪れたゴリーを笑顔で迎えた。


「あー、いい、いい。

アンタに任せたら、腹がつっかえて瓶を割りそうだ」

「何と!?」


 荷馬車に積まれた物に手を伸ばせば、ゴリーに阻まれる。


「じゃあ、俺が手伝うよ」


 すると私の後ろについて来ていたヘリーが、手伝いを申し出た。


「……アンタは?」


 ゴリーとは初対面だからかしら?

それにしてはゴリーの表情が、警戒心を顕にしていて、どことなく不穏に感じますわね?

ゴリーがボス猿的な、厳つい顔立ちだから?


 内心、首を捻ってしまう。


「俺はヘリー。

メルディ領主であるグロール伯爵に仕える使用人だ」

「やっぱりアンタが娘の言ってた……なあ、マルクさん。

ちょっといいか?」


 ゴリーが荷馬車を乗りつけた、我が家の倉庫の奥に腕を引っ張られた。


「どうしたんですの?」

「アイツは信用できんのか?」

「どういう意味ですの?」

「サリーから聞いたんだ。

アンタと娘達三人が雄叫びと悲鳴上げてる時、押し入ってきたアイツが開口一番に言った言葉」


 神妙な顔をしたゴリーの言葉に、昨日の光景を思い出す。


 確かヘリーは窓から入ってきて、『何かされたんだろう!?』と少女達三人に詰め寄ったはず。


「その時、アイツの顔が歪んでたって」

「歪んでいた?」


 キョトンとして、今度こそ本当に首を捻る。


「アイツの口許が笑ってたらしい。

娘達にマルクさんの事を、わざと悪く言わせるような悪意を感じたって」

「ああ、その事ですのね」


 昨日ヘリーと話した際、ヘリーは猜疑心を植え付けようとしたと言った。

もしかすると、あの場にいた少女達三人にも……。


「ちゃんと誤解は解けましたわ」


 とは言え、その件は既に解決している。


「誤解?」

「ヘリーなりにファビ、んんっ。

グロール伯爵の事を心配してましたの。

私、頼りなく見えてたみたいですわ」

「いや、普通に頼りねえけど……」

「そ、そんな!?」

「いっつも泣きべそかいて、こないだは山で事故って死にかけただろう」

「そ、それは……くっ、言い返せませんわっ……」

「それにお人好しだ。

あの靴下、編むのが難しいんだろう。

忙しいくせに何人分も靴下編んで、それも三種類も。

まあ具合が良いから、有り難いけどな」


 そう言えば、ゴリーは水虫だったような……。


「初心者向けの二股靴下は、サリーが練習がてら昨日作ってくれた」

「まあ、早いですわ!

サリーの向上心も技術も、初心者レベルから脱してますわね!」

「まあ、今度サリーにも直接言ってやってくれ。

サリーなりに、マルクさんを師匠として尊敬してっから」


 ゴリーったら、嬉しいお願いですわ!

それにサリーったら、何て可愛らしいのかしら!


「もちろんですわ!」

「五本指とは比べられねえが、普通の靴下より良い。

今も履いてる」

「それは良かったですわ!

私も履いてますのよ!

ほら……」


 ズボンの裾を軽く上げ、ゴリーに見せようととすれば……。


「いや、見せるな!

そっちの臭いも、サリーに聞いた」

「……そ、そう……」


 ゴリーが大慌てで、私の行動を制止した。


「で?

アイツは信用できるのか?」

「もちろんですわ。

ちゃんとヘリーも、わかってくれましたのよ」

「何をだ?」

「私が領民の皆様を信じている事ですわ!」

「そ、そうか」


 まあ!

ゴリーがポッと頬を赤らめましたわ!

照れる様はギャップ萌えかもしれませんわ!

もしや美人と評判の奥様のハートは、このギャップでキャッチしましたのね!?


「でも、それとアイツを信用するのとは話が別だろう」

「問題ありませんわ。

私とヘリーとの間に信頼はなくとも、彼がグロール伯爵を思って行動している事は確かですもの」


 そう、昨日話して確信した。

ヘリーは主であるファビア様が大好きなのだ。


「グロール伯爵が運営する商会とは、これから取り引きを開始しますの。

そもそもヘリーに見せるのは、メルディ領主も含めて、取引先に広く公開しても問題ない物ばかり。

第三者が知ったところで、すぐに真似できる物でもありませんわ。

今日ゴリーが持って来てくれている渋柿も、今から熟成させる分は、熟成に数年はかかりますわ。

もちろんゴリーがダンの為にたくさん作って、放置していた物は除きますけれども。

ピートモスを使用した例のアレも然りですわね」


 アレと口にした時、うっかり自分でもわかるニンマリ顔になってしまう。


「ああ、アレか。

そもそも美味いのかすら俺にはわからん」

「ふふふ、今はまだ試作段階ですもの。

何よりピートモスに関して言えば、永続的にバルハ領で採取するには資源として無理がありますわ。

なのでバルハ領主としては、まだまだアイデアを絞らねば!

だからね、ゴリー。

むしろ今は情報を拡散して、バルハ領に関心を向ける時期。

そうでないと売れる物も、売れなくなってしまいますわ」

「……はあ。

まあ、確かにマルクさんの言う事が正しいんだろう。

小麦の収穫不良を改善するのに、来年から畑を半分休ませるわけだし、そうなれば来年の小麦収穫分は、普通に考えれば半分以下になるだろうしな」

「ええ。

それを補うのに、緑茶や藁糸、編み物でトータル的に領収をカバーして、三年後にはガッポリ儲けるバルハ領に、つまりは脱臭領地改革を成功に導きますのよ」

「……その改革名はどうかと思うけどな」


 ゴリーがどこか呆れたような顔をした。


 その時だ。


「あー、その、いいか?」


 ヘリーが遠慮がちに、私達へ近づいてきたのは。

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