あいつは絶対腹黒だから!
予約投稿ミスってました、すいません。
「オリンさん、おはようございます」
「はい、おはようございます。
それで朝からため息などついてどうしたのですか?」
彼女はオリンさん。
町の外にある修道院で院長を務めている女性だ。
容姿端麗な上に物腰が柔らかく、周りへの気配りも忘れないことから老若男女問わずに人気のある女性だ。
「はぁ……アレについてちょっと」
僕が指差した受付では、未だに雲母とカチアナさんが競うように僕を褒めあっていた。
「あらあら、モテる男の辛さを感じておられるのですか?」
「いやいや、そうじゃないです。
あんなに褒められるような立場じゃないですし、そもそも魔物の討伐は雲母のお陰ですから」
僕たちは2人で行動しているので、雲母が前衛で戦い、僕は後方からサポートをしている。
だから、魔物を倒した手柄は前線で戦う彼女の物だと思っていた。
「ん〜本当に雲母さんだけの手柄ですか?
賢者さんは後ろで見ているだけなのでしょうか?」
「あ、いえ……雲母に補助魔法をかけたりはしています」
「なら雲母さんだけの功績ではありませんよね。
それに雲母さんはアイテムを駆使して戦うスタイルなのですよね?
そのアイテムは錬金術師である賢者さんが作っているのでは?」
「……それも、おっしゃる通りです」
「ならばやはり雲母さんだけの功績ではありませんね。
そこまでサポートしているのであれば2人の功績ですよ」
「そう言っていただけると心が救われるようです」
「賢者さんあっての雲母さんですから、あまり自分を卑下なさらないでください。
それはそうと……」
オリンさんは未だに受付で盛り上がる雲母の元へと向かう。
その首根っこを後ろから掴むと、強引にこちらへと引っ張ってくる。
「あいたたた、誰だ……って、腹黒シスター!!」
「誰が腹黒ですか。
全く、奴隷がいつまでも自分の主人を放っておく物ではありませんよ」
「へ、あ!?ごめんなさい、ご主人様」
「いや、無事に終わったならそれでいいよ」
「貴方がおしゃべりに夢中になって間に、賢者さんほメンタルケアをしておきましたからね。
感謝してください。
あと、感謝ついでに礼拝に来なさい」
「は〜!何勝手にご主人様に……」
「まぁまぁ、相談に乗ってもらったのはありがたかったからいいじゃないか。
オリンさん、今度の休息日に礼拝に行きますね」
「はい、お待ちしています。
それでは私は説法がありますので、これで失礼しますね」
そう言ってオリンさんはギルドを後にしてスタスタと去っていく。
彼女を睨みつける雲母を宥めつつも、その後ろ姿を目で追ってしまうのであった。