オッケー、理解した!
「オリン、あんたもウチらと同じで転移してきた感じなの?」
「雲母さん達はこの世界に転移してきたのですね。
私の場合は違います……私は星雲高校を卒業して10年後。
ブラック企業に勤めていた過労が原因で死んでしまったんですよ」
「え、はぁ!?」
ウチらの10年後に死んだ?
でも、目の前のオリンはピンピンしてるし、そもそもこの世界に来て一年くらいしか経ってないし……どういう事?
「私の場合は転移ではなく転生。
一度死んで生まれ変わってこの世界にやってきたんですよ。
ただ、少し違うのは前世の記憶があったという事。
そして、私は前世でこの世界のことを知っていたという事です」
「それ……本当なんですか?」
オリンがそう語っているときにタイミングよくご主人とアルネが戻ってきた。
正直、訳が分からなさすぎたから本当に助かるタイミングだった。
「ええ、私が前世でプレイしていた恋愛ゲームの悪役令嬢。
そんなテンプレみたいな異世界転生をしていたんですよ」
「恋愛シミュレーション?
この世界はアダルト系のRPGみたいな世界じゃないんですか?」
「それについても順を追って説明しましょう。
私は自分が将来的に追放される悪役令嬢に生まれ変わっている事に気が付きました。
物語ならばここから追放されないルートの為に頑張るところですが、私はそんな事はせずに大人しく追放される道を選んだのです」
「それは何故?
貴族の生活ならば楽しく暮らしていけるでしょう」
「あんな堅苦しくて型に嵌めた生活、ブラック企業の過労で死んだ私からしたら真っ平御免ですよ。
なので、追放されたは出家できるようにしておき、あとは1人で生きていけるために身体と魔力を鍛え続けていた……やっていたのはこれくらいのものですね」
「そんな事が……それで今のシスターとしてのオリンさんがある訳ですね」
納得した顔で頷くご主人の袖をちょいちょいと引っ張る。
「うん、どうした?」
「ぜんっぜん意味が分からないんだけど……どゆこと?」
「あ〜雲母さんはゲームとかのオタク趣味とは無縁そうですもんね」
「確かに……雲母にも分かりやすく説明すると……」
ということで、全く意味が分からないウチの為に、ご主人が分かりやすく説明してくれた。
ご主人はこういうのがとても得意なので、その説明で一通りの事は理解できた。
オリンはウチらみたいに生きたままこの世界に来たのではない事。
ウチらとオリンがこの世界にやってきた時間にはズレがある事。
オリンは元は良いところのお嬢さんだけど、勘当されてシスターになった事。
ご主人はそうやって噛み砕いて話してくれたのだった。




