可愛いなら何でもオッケー(雲母視点)
む〜ここに来てからずっとご主人の様子がおかしい。
リリカとかいう女にデレデレになったかと思えば、礼拝中に急に辺りをキョロキョロし始める。
そんで、今は村の中であったアルネちゃんに熱い視線を送っている。
いや、可愛いとは思うけど、そこに興味を持つのはダメじゃね?
そう思っていたのだが、どうやらアルネちゃんはご主人と同じ錬金術?っていう学問の先輩らしい。
ご主人は今まで独学で勉強していたのだが、行き詰まっていた部分が幾つもあったらしい。
そんな時に、その説明をできるアルネちゃんという存在に出会って知識欲が止まらなくなったみたい。
「やれやれ、本当は賢者様と一緒に聞いて欲しかったのですが仕方ありませんね」
何かアルネちゃんと話し合って意気投合したらしく、彼女のラブホテル……じゃないな。
何だっけ……ラ……ラボ……ラボ何ちゃらとかいうところに行ってくるって出かけて行った。
残されたのはウチとリリカと、よく分からない女の子の3人であった。
しょうがないから、女の子の前でしゃがんで目線を合わせながら尋ねた。
「お名前は何てゆーの?」
「我の名前はイリーテ。
またはアンシアと呼ぶものもいるのう。
お主も好きな方で呼ぶが良い」
「イリーテ……どっかで聞いた事があるような……」
「この村の名前と同じですからね」
「へぇ〜イリーテ村で産まれたからイリーテちゃんって言うんだね」
「いえ、どちらかと言うと逆ですね。
イリーテ様由来で村の名前が決められました」
「え……どゆこと?」
えっと……この子の名前がイリーテだから、村の名前がイリーテになったって事?
つまり、この村はまだ出来たばっかり?
「いえ、違いますよ」
「ウチ、何も言ってないけど!?」
「考えている事は何となく分かります。
イリーテ様は幼子の姿をしておられますが、実際には遥か昔よりこの島を見守ってきた守り神様なのです」
「うむ、神様じゃぞ」
「へぇ〜イリーテちゃんって凄いんだね」
「……思った反応と違うのう。
あっさり受け入れすぎではないか?」
「この世界に来てから色々あったし、神様くらいいるっしょ。
こうやって話せるなら人間と変わらないし、ダチにもなれるよ」
「ぷっ……はっはっはっ!
気に入ったぞ、キララよ。
出来るならば私の巫女にしたいくらいじゃな」
「イリーテ様……流石にそれは……」
「うむ、分かっておる。
勝手に巫女を増やしたとなればアンリが怒るであろうからな」