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ご主人、エロい目で見るのはやめるし

「おや、ようやく戻ってきましたか」


「うむ、遅くなってすまなんだ。

その代わりに客を連れてきたぞ」


教会の奥、巨大な十字架の下に立っていたのは紫の髪色をした妖艶な美人シスターであった。


衣装はシスター服なのだが、出るところが出過ぎていて、引っ込むところはしっかりと引っ込んでおり、服が悲鳴をあげているようである。


そのせいでいかがわしさを感じてしまうのは自分だけなのだろうか。


「うわっ」


どすんという衝撃を横から受け、そちらに目を向けると雲母が頭をぶつけてきたらしい。


「ご主人様、見過ぎですよ」


そう言ってよそゆきの笑顔で微笑む彼女だが、その裏から溢れんばかりの冷気を感じたので顔を引き締める。


「すいません、少し立ちくらみがしてしまったもので。

僕の名前は……」


「賢者様と雲母様ですね。

お話は当教会の院長より承っております。

私はこの教会でシスター長をしているリリカと申します」


そう名乗って頭を下げるリリカさんには、聖職者らしい清貧さを感じてしまい、先ほどの邪な心を反省させられる思いであった。


「初めまして。

今日はオリンさんに用事があったのですが……今はどちらに?」


「現在は周囲の見回りに行っております。

宜しければお待ちの間、礼拝に参加されてみては如何でしょうか?」


「それではそうさせて貰います。

雲母もそれで構わないよね?」


「ご主人様の仰せの通りに」


こうしてリリカさんの勧めによって礼拝に参加することになった……とは言え、この教会では決められた礼拝の形は無く、各々が神へと祈りを捧げるということだけで良いらしい。


それでも心に拭えないものがある人には、併設されている懺悔室が用意されているのだとか。


僕達は特に懺悔をしたいこともないので、長椅子にかけて前にある十字架に対して祈ってみる。


どうか今後も無事に過ごせますように……単純ではあるが、長くなりそうな冒険者生活。


無事を祈るのが1番であろう。


そうして瞳を閉じて祈りを捧げていると、ふと前の方に人の気配を感じた。


「ほう……お主が噂の異世界人か」


目の前で聞こえてきた声に目を開くと、そこにはアルネよりも小さな……五歳くらいの少女が自分の股の間から見上げるようにしゃがんでいた。


「うわっ!?」


思わず後ろにひっくり返りそうになったのだが、なんとかその場で踏みとどまる。


「はっはっはっ、実に良い反応をするではないか」


今度は後方から声が聞こえてきたのだが、少女は一瞬のうちに僕の股の間から、僕達が座る長椅子のすぐ後ろの列の椅子に座っていた。

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