会ってみないと分かんないっしょ
流石にこの日に教会に行く訳にもいかなかったので、次の日の早朝に島の中央にあるイリーテ村へと向かうことにした。
「やっぱりウチの勘は当たってたんだって!」
「うーん、悪いことを考えているわけではないと思うんだけど……確かに隠し事をしていたの事実だよね」
オリンさんが手紙を日本語で書いて来たことから、僕たちと同じ世界の生まれ……もしくはそう言った知り合いがいると言う事だろう。
どちらかというと後者の方かもしれないと思ったのは、彼女の見た目と名前からであった。
僕と雲母はこの世界に転移されたままの姿……ギャルである雲母はともかくとして、僕の見た目は正に純正の日本人である。
一方でオリンさんは欧米風の金髪シスターであり、とても元が日本人だとは思えなかった。
そのことを雲母に話してみると、彼女は首を捻った。
「うーん、でもウチも引っかかってた部分があって今分かったんだよね。
こっちの人の発音だとウチはキララって感じで呼ばれるけど、あの腹黒はウチのことを雲母っていう聞き慣れた発音で読んでたんだよ」
「あ、確かに……」
今までは疑問にすら思わなかったのだが、確かにオリンさんが雲母のことを読んでいた時、全く疑問に思わないほどに僕たちに聞き慣れた発音であった。
そうなると彼女は元が日本人?
「まぁまぁ、そんな考えなくても会って話せば分かるって。
こう言う手紙を書いてきたってことは、向こうも話す気があるってことっしょ」
「それもそうだね。
あっ、村が見えてきたよ」
島の中心にあるイリーテ村。
中に入るとどこにでもある田舎町と言った様相であった。
民家が数軒あり、畑があり、小さな商店が一つある……そんな素朴な村である。
「難しい顔してどうしたの、ご主人?」
「いや、平和な村だと思ってね」
防壁も何もない長閑な村……だからこそ、この村がずっと魔物に襲われずに無事であると言うことに違和感を感じてしまう。
「いつもありがとさん。
またいつでも来てくれよ」
「うん、またすぐに買いに来ると思う」
ふと声が聞こえた方を見ると、そこは先程見かけた商店であった。
店主が買い物に来た少女を見送り、其の少女が頭を下げている。
身体に合っていないぶかぶかの白衣に、これまた大きく頭をスッポリと隠している麦わら帽がとてもアンバランスな少女。
あまりに目を引く格好に何となくそちらを眺めていると、不意に顔を上げた少女と目が合った。
そして、彼女は面白い物を見つけたと言わんばかりに唇を歪ませるので合った。




