エピローグ
あれから10年。
私は魔力をある程度解明し、その研究結果を通して、魔力による人間や環境にもたらす影響を理解した。
簡単に説明すれば、魔力は遥か昔の私たちの祖先が開発した再生エネルギーだった。特異点が魔力の残滓を回収し、それを魔力にする装置だった。
その装置を調べて、魔力というものをどのようにして生み出しているのかを観察すると、私たち人間の心を利用しているように見えた。私の感情に呼応して動きが活発になったから。
まだ調べ足りなかったが、もう時間が無かった。
あっという間に10年が経ち、久しぶりに、リリアの元に帰ることにした。
―― ―― ――
「ただいま」
家に戻ると、中には誰もいなかった。
家の中に入ってもリリアの姿が見つからない。
「リリア……?」
すると、後ろから何かが聞こえてきた。
この声は……。
「ロア様ぁああああああああああ!!!!!帰ってきたんですね!!!!!!!!」
「──い、痛い!!」
「あ、ごめんなさい!嬉しくて、つい……」
全く、10年前から全然変わってない……と思ったら─。
「え、あんた今、身長いくつ?」
「え?いくつだろう……?180くらい?」
あのときでまだ成長期終わってなかったの……?
「はぁぁ♡ロア様はちっちゃくて可愛いですね〜、たべちゃいたいくらい……」
「り、リリア?」
リリアが私を壁まで押して、腕を押さえつけている。
「ロア様にやっっっっっっっっと会えたぁ……」
リリアの顔が紅潮していて、さらに蕩けている。
息も荒い、まるで犬みたいに。
なぜか、身の危険を感じる。
魔法でリリアをどうにかしよう。
「だめですよぉぉロアさまぁ、逃げようとしちゃ」
魔法を解除された。
「リリア……、腕を、上げたね」
「はっ…!ロア様に褒められたぁ!!!ご褒美……うふふふふふ」
すこし力が緩んだ隙に一旦逃げた。
「はぁ、はぁ、力も魔法も、もう越されちゃってるか……とはいえ、こんなことになるとは……」
私は、少し育て方を間違えたのだろうか……?
いや、相当優秀な魔女になったとは思うが……。
想像の範疇を超えているね……。