1年目
「ロアさま!お野菜採ってきました!」
ロアというのは、私の名前。名前で呼ばれるのは本当に久しぶりだからなのか、うれしくなる。まぁ、様呼びは抜けなかったけど。
「ありがとう、それじゃあ今日は魔力操作の応用を教えるから、準備しといて」
「わかりました!」
この子、リリアには弟子として引き取ったすぐに、無茶振りで魔法を使わせてみた。
そしたら一発で魔法出して成功させたもんだから、驚愕だったよ。
もうこの子を最高峰の魔法使いに育ててやろうって、最高の魔女にしてやろうって思っちゃって、気づけばもう1年が経った。
最初の頃の痩せすぎな状態は改善して、顔色も良くなった。年齢は、本人が覚えてないようだからわからないけど、身長とか体つきから推測するに、10歳…?程度だろう。
若さ故なのかわからないけど、私が教えたことをすぐに覚えちゃうし、簡単に形にしちゃうから……はぁ、これだけ吸収が早いと、すぐに教えることが無くなりそう。
あ、ちなみに何でも屋としての活動も怠っていない。
リリアの面倒を見る分、ちょっと忙しくなったけど、それほど苦でもないから、特に問題は無い。
強いて言うなら、リリアを一人にしてる時間が一番心配。勿論、家や、その周辺には結界を貼るようにしてるし、リリアには私の作った危険が迫ると勝手に防御結界を張ってくれる魔道具を持たせているけど、心配なものは心配だ。
「ロアさま?準備できましたよ?」
「ん?あぁ、ちょっと物思いに耽っていてね…そう、今日はリリアが弟子になってから丁度1年なんだよ」
「1年……わたし、リリアは成長できましたか?」
「……それはもう、1年でここまでできるようになるとは思ってなかった、想像の範疇を超えてる」
「はんちゅー?」
首を傾げて聞いてくる。全く、可愛いなぁリリアは。
「あー、『範疇』っていうのは、一つの枠、範囲って意味だよ」
「例えばさっきの『想像の範疇を超える』だったら、想像していた範囲、想像の枠を超えるってこと」
「んー、たぶんわかった!」
絶対によくわかってない気がするが、まぁ国語は私の領域じゃないし、気にするほどでもない。
初めての弟子は、順調に成長していた。