第七十四話 共闘
ロゼッタ達は、ワンの作戦を聞き終えた。
そしてロゼッタは、頷きながら確認する。
「分かった。まずは、アイツを広場に引き摺り下ろせば良いのだな!」
ロゼッタは、言いながら上空を見上げた。
空では、ハウンドとマックス達が激戦を繰り広げている。
ハウンドは、素早い。
彼を広場に引き摺り下ろすのは、骨が折れそうだ……。
ロゼッタが考えていると、カミーリャが提案した。
「ボクが魔法で、あのドラゴンを撃ち落とします!!」
「!!」
一同、驚いてカミーリャの顔を見る。
カミーリャは、何やら自信満々な様子だ。
何か、策があるのだろうか?
皆が驚く中、彼女は続けた。
「ドラゴンが空中で静止した一瞬の隙を狙って、魔法弾を打ち込むんです!」
「魔法弾っ!?」
ロゼッタは、王都から脱出する際に搭乗したゴーレムを思い出した。
魔法弾といえば、ゴーレムが城門を破る時に使用した強力な魔法攻撃だ!
それを、カミーリャが使用すると言っている。
すると突然、カミーリャはファングの方を向いた。
「この攻撃には、ファングさんのお手伝いが必要です!」
「あ?」
ファングは、何をさせられるのか想像もできなかった。
しかし、すぐに口元に笑みを浮かべて返事をする。
「何だか分からねぇが、やってやろうじゃねぇか!」
それを聞いて、ブレイズが冷静に告げた。
「ならば、私が攻撃の隙を作ってやろう!」
ブレイズは言うと、早速一人で駆け出した。
それを見送って、ロゼッタ達はお互いに目を見合わせて頷く。
すると、ワンが叫んだ!
「お前ら、作戦開始だ!!」
「おう!!」
彼女達は声を上げると、各々のポジションに散っていった。
ロゼッタは、その場で膝をつく。
そして地面に、パペッティアの魔力の糸を接続した。
なんと彼女は、世界樹そのものに命令を送ろうとしていたのだ!
ただし、これは簡単なことではない。
あらかじめ用意された回路ではなく、独自の回路を開拓して命令を送らなければいけないのだ。
その為、この作業には時間がかかる。
ロゼッタの隣では、ワンがサポートに付いた。
ワンは、体にロゼッタの糸を繋いでいる。
彼は、ロゼッタの命令を世界樹の中心部へと導く手伝いをするのだ!
すると、ロゼッタ達の不可解な行動を、上空からハウンドが発見した!
ハウンドは、口元に炎を溜めて叫ぶ!
「何をするつもりだ!!」
彼は言いながら、ロゼッタ達に火炎ブレスを吹きかけようとした!
その時!
「喰らえ!! エアロボム!!」
マックスが、ハウンドの口の中に魔法攻撃を発射!
ボンッ!
「ゲフッ!!」
ハウンドの口の中で、強力な魔法が炸裂した!
ハウンドは、突然の出来事に怯んだ!
そして咄嗟に、あらぬ方向に向けてブレスを噴射する!
ゴオオオオオオオオオオッ!
「うわあああああああ!!」
火炎ブレスが、マックスを掠った!
マックスは、叫びながら回避する!
彼は、ぐるぐると回転しながら、何とか逃げ延びる事に成功した!
しかし!
彼の背後を、ハウンドが追尾して来る!
ハウンドは、小型のドラゴンを生み出しながら上空を飛び回った。
そして生み出されたドラゴン達は、ロゼッタを目掛けて急降下して行く!
しかし、ロゼッタは魔力の糸に集中していて、手が離せない!
彼女は、魔具達のシールドを全力で展開して攻撃を防ごうとした!
すると、次の瞬間!
ロゼッタに襲い掛かろうとしていた一体のドラゴンが突然、空中で拘束された!
ドラゴンは、体にツタが絡みついて縛り上げられたのだ!
その直後!
「我が拳は鋼となる!!」
何者かが、ロゼッタの前に進み出た!
それは、誰か! クリフだ!
クリフは、勢い良く落下してくるドラゴンを輝く拳で殴り飛ばした!
ドラゴンは、軽々と飛んでいく!
ロゼッタは、その様子を見て驚きの声を上げた!
「クリフ!!」
その声を聞いて、クリフは笑顔で振り返る。
そして、返事をした。
「ロゼッタ、色々迷惑をかけたな!」
すると今度は、ロゼッタの背後からカトレアが現れた。
「助かったわ、ロゼッタちゃん!」
「姉さん!!」
直後、クリフとカトレアは、思いっきり体を伸ばした。
随分と久しぶりに、自由の身になったのだ。
二人は、身体中が凝っている様子だった。
なにはともあれ、三人は無事に再会を果たした。
しかし、ゆっくり再会を喜んでいる時間は無いようだ。
クリフとカトレアは、おもむろに戦闘態勢を取った。
周囲に、次々と小型のドラゴンが降り立ったのだ。
それを見て、クリフが言った。
「今は、あまりゆっくり出来ないみたいだな……」
「まあ、ちゃちゃっと片づけて、みんなで食事にでも行きましょ!」
二人は言うと、ドラゴンに向かって駆け出した!
その頃、カミーリャとファングは、ハウンドを撃ち落とす準備に入っていた。
しかし、彼らの元にも次々と小型のドラゴンが降り立ち、妨害してくる!
ファングは、まるで嵐のように暴れまわり、敵を薙ぎ倒していった!
カミーリャも、格闘技を使ってドラゴンを次々に仕留める!
しかし、これでは魔法弾を撃つ準備が出来ない!
ファングは、周囲のドラゴンを次々に蹴り飛ばした!
しかし、ドラゴンは次から次へと湧いてくる!
流石のファングでも、この数は捌ききれない!
彼は連戦に次ぐ連戦で、体力を消耗していた。
その為か、急に息を切らした。
その瞬間!
彼の背後から、ドラゴンが飛び掛かってきた!
ファングは、それに気づくが、反応が間に合わない!
すると!
「疾風モード!!」
突然、間にクリフが割り込んだ!
彼は、ファングに飛び掛かるドラゴンを拳で殴り飛ばす!
ファングは、思いがけぬ人物の登場に驚いた。
驚くファングに対して、クリフは笑顔を向ける。
「手助けに来たぞ!」
「あん? てめぇの手助けなんざいらねぇぜ!」
ファングは少し不機嫌そうに、返事をした。
すると、その間に、彼らの周囲をドラゴンが包囲する。
ファングとクリフは咄嗟に、背中合わせになってお互いの背中を守った。
そして、ファングが告げた。
「ケッ! しゃぁねぇな。ここは、共闘と行こうぜ!」
「ああ、後ろは任せろ!」
二人は、ジリジリと迫ってくるドラゴンに対して拳を構えた。
そして改めて、お互いに挨拶をする。
「てめぇ、名前は?」
「……俺は、クリフだ! お前は?」
「フッ」
ファングは、何故か一瞬だけ笑った。
そして、言い放った!
「俺の名は、ファング! てめぇとは、いつか決着を付けてやる! その日まで、この名を忘れんじゃねぇぞ!」
それを聞いて、クリフは笑みを浮かべた。
そして、返事をした。
「了解だ!」
直後、彼らは各々ドラゴンに向かって殴りかかった!




