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第六十九話 頂上直通

 ロゼッタは、レイニーを天に掲げる!

 そして、カミーリャに告げた。


「カミーリャ! サポートしてくれ!」

「了解です!」


 カミーリャは頷く。

 そしてロゼッタは、カミーリャの体に魔力の糸を接続した。

 途端にレイニーが、いつにも増してキラキラと輝き出す!

 ロゼッタは叫んだ!


「レイニー!」


 彼女が叫んだ、次の瞬間!

 突然、レイニーの体から蒸気が上がった!

 蒸気は空中に集まり、小さな雲となる。

 しかし、その小さな雲は、やがて黒雲へと変化した。


 黒雲の中では、白い発光現象が起きている様子だ。

 ロゼッタは、以前目にした、ある魔法を参考にしていた。

 これは、フレイヤが使っていた魔法だ。


 黒雲がいよいよ大きくなった頃、ロゼッタは叫んだ!


「レイニー!! 全部、吹き飛ばしてくれ!!」


 彼女が叫ぶと、突然!


 ドンッ!


 一本の白い雷が、魔物を襲った!

 魔物は黒こげになって、弾き飛ばされる!

 フレイヤの雷と違って魔物が消し炭にならないが、それでも威力は十分だ!


 先ほどの雷に続いて、黒雲から無数の雷が周囲の敵に襲い掛かった!


 ドンドンドンドンドンッ!


 魔物達は、次々に弾き飛ばされていく!

 素早い雷は、王の猟犬も逃さない!

 広場を覆っていた敵は、逃げ場もなく次々と倒されていく!


 しかし!

 ロゼッタは、焦った。


「クッ、余りにも敵が多すぎる! 魔力が持たないぞ!」

「大丈夫です、ロゼッタさん!」

「!?」


 突然、カミーリャが何かを指差した。

 彼女の指差す先に目をやると、そこにはハウンドの忠犬達が転がっていた。

 カミーリャは口元に笑みを浮かべて、ロゼッタに告げる。


「魔力なら、あの中に沢山あります!」

「なるほどな!」


 ロゼッタは、それを聞いて魔力の糸を伸ばした。

 そして、忠犬達の体に接続。

 すると膨大な魔力が、ロゼッタの体に流れ込んできた!


「うおおおおおおおおおおおお!!」


 ロゼッタは驚きの余り、叫び声を上げる!

 すると黒雲の中で輝く光が、紫色に変わった!

 直後、高威力の雷が周囲を焼き払う!


 ドドドドドドドドドドドッ!


 広場を埋め尽くしていた魔物と魔術師達が、次々に消滅していく!

 空中でその様子を見ていたハウンドは、狼狽えた。

 そして、右手を掲げて魔物の再召喚を試みる。

 しかし……。


「ええい! させるか!」


 ロゼッタが、ハウンドに手のひらを向けた!

 すると燃え盛るサニーが、ハウンドに向かって高速で突撃する!

 ハウンドは咄嗟に、横に移動して回避した。

 しかし、その時!

 予想もしていなかった事が起こった!


 ドンッ!


「グハッ!」


 ハウンドの背中に、何かが衝突したのだ!

 それは何か。テディだった!

 しかし、ハウンドがテディの接近を見逃すはずがない。

 いったいテディは、どこから現れたのか!


 ハウンドは、一瞬背後を見た。

 すると近くの絶壁に、丸い穴が空いているのが見えた。

 なんと、テディは絶壁を突き破って壁の中に隠れていたのだ!


 ハウンドは、油断した。

 彼は、焦って体勢を立て直そうとするが……。


 ドンッ!


 サニーが、彼の頭に衝突!

 サニーは急旋回して、戻って来たのだ。

 ハウンドの、体勢が完全に崩れた!


 ロゼッタは、この期を逃さず、四体の魔具を一斉にハウンドへと向ける!

 魔具達は、ハウンドの周りを縦横無尽に飛び交った!

 上下左右、あらゆる方向から魔具達が攻撃を打ち込んでいく!

 次から次に体当たりして来る魔具達の前に、ハウンドは為す術がない!

 彼は、ボコボコだ!


 しかし!

 突然ハウンドは、一瞬にして全身に魔力を充満させた!

 そして……。


「私を舐めるなよ!!」


 彼は言うと、手足を伸ばし切って全身の魔力を解き放った!

 すると、周囲に衝撃波が走る!

 四体の魔具達は、その衝撃で弾き飛ばされてしまった!


 それによって再び、ハウンドが体勢を立て直した!

 かのように見えた……。

 直後、ハウンドが悲鳴を上げた!


「アアアアアアアアッ! 私の、腕があああ!!」


 なんと、彼の腕が一瞬にして切り落とされていたのだ!

 彼の腕を落とした人物は、地上から彼を睨んでいた。

 ブレイズだ。


 彼女は最後の力を振り絞って、斬撃を飛ばしたのだ!

 狙ったのは、ハウンドが手足を伸ばし切った一瞬。

 彼女の斬撃は、見事にハウンドの右腕を切り落とした。


 ハウンドは、大切な右腕を失って狼狽えた。


「私の腕! 私の刻印! 私の命の源!」

 

 ハウンドは、冷静さを欠いて周囲への警戒が疎かになっていた。

 そんな狼狽えるハウンドに、上空からキラキラと輝く四つの光が迫る!

 ロゼッタの魔具達による、同時攻撃だ!

 魔具達は、まるで流星のように空を駆けた!

 ハウンドは、それに気づいて顔を上げるが、もう手遅れだ!


「いっけええええええええええ!!」

「うわあああああああああああ!!」


 ドーーーーン!


 四体の魔具は、ハウンドに衝突!

 その衝撃でハウンドは、バラバラに砕け散ってしまった!




 ロゼッタ達は、全ての敵を倒し切って広場を見渡した。

 そこには、惨憺たる光景が広がっていた。

 魔物、そして王の猟犬や、ヤマネコの魔術師達の無数の死体が山となって積み重なっていたのだ。


 彼女達は、その光景に心を痛めた。

 すると突然、ファングが耳を澄ませた。

 そして、周囲を警戒する。


「おい、やべぇぞ。何かが近づいて来やがる!」


 すると突然、彼女達の目の前にトリッキーが現れる。

 彼女は魔法で、自分の姿を広場に空中投影したのだ。

 彼女は、全員の方を向いて告げた。


「砂漠の方にも、魔物の大軍が待機していたみたい! こっちに向かって来るよ!」


 それを聞いていた四人は、動揺した。

 これ以上、戦っていては身が持たない。

 四人が考えていると、トリッキーが提案した。


「全員、一度撤退してくださーい!」

「あん? 撤退だ?」

「これから私が、広場を吹っ飛ばすからねっ!」

「なに!?」


 彼女達が、そんな会話をしている間に、広場の入口から魔物が駆け込んできた!

 もう考えている暇はない。

 四人はトリッキーの指示通り、石造りの通路の方へと撤退した。


 その後ろを、魔物が追いかけて来る!

 ロゼッタ達は通路へと駆け込むが、すぐ後方を魔物が付いて来る!

 魔物は彼女達に追い付き、一番後方を走るロゼッタに襲い掛かろうとした!

 その時!


 通路が、一斉に青く発光!

 壁や床に謎の文字が浮かび上がって、輝き出したのだ。

 これは、トラップ魔法!

 ロゼッタがそう思った、次の瞬間!


 突然、後方の魔物が凍り付いた!

 後ろを付いて来た魔物の群れは、次々に氷漬けになる!

 やがて、通路は氷の壁で塞がれてしまった。


 ロゼッタは驚きながら、トリッキーの待つ部屋へと駆け込む。

 すると、トリッキーは全員に告げた。


「それじゃっ、吹っ飛ばすねー!」


 ゴオオオオオオオオオオオオオオオッ!


 彼女が言った瞬間、通路の外から物凄い轟音が聞こえた!

 それと共に、石造りの部屋が揺れる。

 しかし、それはほんの一瞬の出来事だった。


 その後、全員は一度落ち着いて状況を確認した。

 部屋には、ロゼッタ達と、数人のヤマネコのメンバーがいた。

 彼らの中には、負傷者もいる。


 そして部屋の出入り口は、厚い氷の壁で閉ざされていた。

 これでは、外へ出ることは出来ない。

 しかも、トリッキーの話では、外には何やら怪しげな反応があるそうだ。

 迂闊に行動することは出来ない。


 ファングは、ブレイズを介抱していた。

 どうやらブレイズは随分と、魔力を消耗したらしい。

 彼女は少しふらつきながら、ファングに支えられて辛うじて立っている。

 

 しかし、あまり休んでいる時間はない。

 ヤマネコの魔術師の中には、怪我人がいるのだ。

 早くここから移動して、彼らの治療を行わなければならない。


 ブレイズとファングは、これからの行動を考えた。

 近別の拠点に移ろうにも、前線基地の拠点は潰されていて、頂上の拠点は遠い。

 彼らは、困ってしまった。


 すると突然、部屋の奥から光が差した。

 一同、驚いてそちらに目を向ける。

 

 そしてファング達は、信じられない光景に目を疑った。

 彼らの視線の先には、ポータルが開いていたのだ。

 その目の前には、ロゼッタがいる。

 彼女は、笑みを浮かべて全員に告げた。


「みんな! これで外へ出られるぞ! 頂上直通だ!」

「な!? 頂上直通だ?」


 ファングは驚いた。

 今まで彼らは、このポータルの存在を知らなかった。

 その為、苦労して徒歩で頂上まで行き来していたのだ。

 まさか、こんな目と鼻の先に近道があるとは……。


 しかし、ファングは怪我人達を見渡して気を取り直した。


「あれこれ考えてる暇はねぇ、とりあえず頂上へ行くぞ!」


 彼は言いながら、よろめくブレイズに肩を貸して歩き出した。

 そして、ポータルへと入って行く。


 ロゼッタとカミーリャも、怪我をしたヤマネコの魔術師達を介抱しながらポータルに進んだ。

 部屋からは、次々と人が消えていく。

 そして最後に、トリッキーがポータルに触れようとした。

 その時!


「やあ。さっきの爆発は、君の魔法かい?」


 トリッキーの背後から、何者かの声がした。

 トリッキーは、その声を知っていた。

 ハウンドだ。

 

 彼はなんと、生き延びていたのだ。

 しかも、分厚い氷の壁を溶かして、この部屋まで侵入してきた。


 ハウンドは、右手のひらをトリッキーの後頭部へと向けている。

 そして、ニヤリと不気味な笑みを浮かべた。


「君と、君の仲間達のせいで、血を使い果たしてしまったよ……困ったなぁ……」


 彼は言いながら、手のひらに魔力を集中させた。

 そして続けた。


「君の血を、少し分けてもらえるかい?」


 彼が言った瞬間!


「バーーーカ!」

「!」


 トリッキーは言いながら、ニヤリと笑った。

 そして突然、彼女の足元に巨大な赤い文字が浮かび上がる!

 ハウンドは、狼狽えた。


「まさか! 自分ごと!」


 それを聞いてトリッキーは、満面の笑みでハウンドに言い放った。


「てめぇにやる血なんざ、一滴もねぇよ!!」


 彼女が、叫んだ瞬間!

 部屋は、爆発と共に炎に包まれた。

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