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第六十二話 仲間の能力

 ロゼッタ達は、箒に跨って砂漠を進んでいた。

 黄色い砂漠の表面を、彼女達は悠々と飛行する。

 ロゼッタは箒を操作しながら、ファングに確認した。


「ヤマネコの本部は、もうすぐか?」

「おう、もうちょい行ったところに岩山がある。そこが、俺らの本拠地だぜ!」

「ふむ」


 ロゼッタは、遠く地平線を見渡した。

 しかし、岩山はまだ見えない。

 彼女は、箒の速度を少し上げようとした。

 その時!


 カミーリャが叫んだ!


「ロゼッタさん、止まってください!! 砂の中から巨大な魔力反応が!!」


 ドーーーーン!


 彼女が叫ぶと同時に、目の前の砂の中から何かが飛び出した!

 ロゼッタは衝突を避ける為、箒を急停止する!

 すると、三人は砂の上に投げ出された。


 三人は突然の事態に驚きながら、急いで立ち上がる。

 そして、砂から飛び出してきた巨大な生き物を見上げた。

 全身を黒い甲羅で覆われた生き物だ。

 脚が複数あり、両手には巨大な鋏、長い尻尾の先には鋭い針が見えた。

 砂から飛び出してきた生き物の正体は、巨大なサソリだった。


 サソリはロゼッタ達を見つけると、巨大なハサミで襲いかかってきた!

 ロゼッタは咄嗟に、ツイスターで飛び立つ。

 カミーリャは、手のひらから噴射した炎の推進力で後退。

 ファングは、軽い身のこなしで回避した。


 三人は一度サソリから距離を取り、攻撃態勢をとる。

 するとファングが、サソリを睨みつけながら驚いて言った。


「おいおい、コイツは何年も地中で眠ってた筈だぜ! なんで目ぇ覚ましてんだ?」


 彼の問いかけに対し、カミーリャが答える。


「きっと魔王が変わって、世界樹に変化が起きたんです!」


 彼女がそう言うと、サソリがすかさず巨大な尻尾で攻撃してきた!


 ドーーーーン!


 尻尾は、砂の上に巨大な針を突き立てる!

 三人は回避しながら、散開した。

 ロゼッタとカミーリャはサソリの左側に、ファングは右側に回り込む。


 ロゼッタとカミーリャは、サソリの側面から少し離れたところで立ち止まった。

 そしてロゼッタは、サニーを構える。

 カミーリャは、サソリに両手のひらを向けた。


 次の瞬間!

 二人はサソリに向けて、炎の球を発射!

 複数の炎の球が、こちらを振り返ったサソリの頭を襲った!


 ドドドドドドドドドドドッ!


 全ての炎の球が、命中!

 そして爆発した!


 ギュイイイイイイイイイッ!


 巨大なサソリは驚いて、泣き叫ぶ!

 するとその背後から、ファングが飛びかかった!

 彼はサソリの背中に飛び乗り、その巨大な背中に拳を打ち込む!


 ドンッ!


 彼が拳を打ち込むと、周囲に衝撃波が走った!


 ギュイイイイイイイイイッ!


 サソリはダメージを受けて、よろめいた。

 驚いて暴れるサソリの背中に、ファングは更に連続で拳を打ち込む!


 ドンッ! ドンッ! ドンッ!


「ほらほら、どうした! 抵抗できねぇのか!」


 彼は得意げに叫んだ!

 すると……。


 サソリの様子に、変化が起こった。

 サソリは何やら口を、モゴモゴと動かしている。

 そして、息を吸い込んだ!

 すると、次の瞬間!


「ハ……ハガネ、ハガネトナル!」


 突然サソリが、人間の言葉を発した!

 ロゼッタは、その言葉を聞いて唖然とする。

 彼女は、サソリを見つめながら呟いた。


「……クリフ?」


 その間ファングは、動じずにサソリの背中に攻撃を打ち込んでいた。

 しかし、突然!


 ガンッ!


 サソリの甲羅が、急に金属のように硬くなった!

 ファングの鋭いパンチは、容易く弾かれる!


「硬ってぇ!!」


 彼は、拳を痛めて叫んだ!

 すると、今度は!


「ウワアアアアアアアアアアアアア!!」


 ファングが突然、悲鳴を上げた!

 彼の体に強力な電流が、流れたのだ!

 ファングは、体が痺れてその場から動けない!

 このままでは危険だ!

 その時!


 カミーリャが飛び立った!

 彼女は手から炎を出して飛び、叫び続けるファングへと向かう!

 そして彼女は、ファングの胴体を掴んで救出した!

 彼女の体は絶縁されていて、電気が通らないのだ!


 彼女は、大ダメージを受けたファングを地面へと静かに下ろした。

 しかし、ファングの生命力は尋常ではない。

 彼はよろめきながら、立ち上がる。

 そして彼は、カミーリャに礼を述べた。


「マジで助かったぜ、メイド……。危うく死ぬところだぜ……」

「どういたしまして!」


 カミーリャはそう言うと、サソリの方を見た。

 サソリは、巨大なハサミを掲げて天を仰いでいる。

 彼女は、その様子を見て呟いた。


「これは、非常にマズいですね……」


 サソリは、ロゼッタを睨んでいた。

 彼女の動きを牽制しながら、再びモゴモゴと口を動かす!


「サラニ……サラニ、トナエル!」


 ロゼッタは、警戒した!

 これはクリフの、肉体強化魔法だ。

 そして先ほど放った電流は、恐らくカトレアの能力。

 きっと魔王となった仲間の能力が、世界樹全体に影響を与えているのだ。

 彼女が考えていると、サソリが続けた。


「シップウトナル! カエンヲヤドス! イワヲモクダク!」


 サソリが唱えると、その体に魔力が溢れた!

 どうやら全ての能力を、一気に強化したらしい。

 ロゼッタはそれを見て、四体の魔具を全て展開!

 しかし、このサソリを倒すのはかなり難しいかもしれない。


 彼女が、そう思った瞬間!

 巨大なサソリが目にも止まらぬ速さで、動き出した!

 尻尾の鋭い針が、彼女を襲う!

 ロゼッタは、テディーでそれを受け止めた!

 そして、サニーのファイアーボールで反撃した。


 ドドドドドドッ!


 無数の火の玉が、サソリの顔面に命中!

 しかし……。

 サソリは怯まない!


 すると今度は、サソリが横に移動した!

 沢山の脚を素早く動かして、高速移動する!


「ヒィーーーーハーーーーー!!」


 サソリが叫んだ!

 サソリはロゼッタの周囲を高速移動しながら、ハサミや尻尾で攻撃を打ち込んでくる!

 それを四体の魔具が、シールドを張って受け止めた!


 パシッ! パシッ! パシパシパシッ!


 敵の猛攻で、ロゼッタは身動きがっとれない。

 遠くからはカミーリャが魔法を撃ち込もうと狙うが、相手が速すぎて照準が定まらない。

 ファングはダメージを負っていて、動くことができなかった。

 これは非常にマズい状況だ。


 ロゼッタは動揺した。

 逃げ場がない。攻撃も効かない。

 どうする!


 彼女が考えていると突然、サソリの巨大な爪がサニーとレイニーを弾いた!

 彼女は驚いて、後退りをする!

 すると続けて、テディとツイスターも弾かれた!

 やられたっ!


 追い詰められたロゼッタを見て、カミーリャが叫びながら走り出した!


「ロゼッタさん!!」


 ロゼッタの目の前には、サソリの巨大な尻尾が迫っていた!

 鋭い針が、彼女の顔面に振り下ろされる!

 その時!


 ドンッ!


 サソリの巨大な尻尾が、突然地面に落ちた。

 巨大な尻尾はサソリの胴体と切り離されて、血を噴き出していた。

 その手前には、ロゼッタが呆然と立ち尽くしている。

 彼女は無傷だ。

 いったい、何が起こったのだろう。

 彼女は、そう考えながら周囲を見渡した。


 すると、サソリの腹の下で何者かが素早く駆け回っているのを発見した。

 ロゼッタは、その人物を見つめる。

 褐色の肌、金色の髪の毛、赤い瞳。

 ロゼッタは、その人物を以前に見た事があった。

 サソリの下を身軽に駆け回る人物は、ブレイズだ。


 彼女は赤い魔剣を舞うように振り回して、サソリの脚をスパスパと斬っていった!

 魔剣は、魔法で強化された甲羅をものともしていない様子だ。

 サソリは抵抗もできず、少しずつ体を失っていく。


 ギュイイイイイイイイイッ!


 ロゼッタは驚いて、その様子を見守っていた。

 すると、カミーリャとファングが駆け寄ってくる。

 カミーリャは、ブレイズの姿を見て驚いた。


「あれは! 魔剣士の一族!」


 それを聞いて、ファングがニヤリと笑った。


「ああ、アイツは俺のダチだぜ」


 彼が言うと、サソリが地面に崩れ落ちた。

 どうやら全ての脚が斬り落とされたらしい。

 するとブレイズは、身動きの取れなくなったサソリの目の前に立った。

 そして、軽く剣を振るう。


 すると剣から、巨大な斬撃が飛んだ!

 斬撃は、サソリの巨大な体を真っ直ぐと通り抜ける。

 そしてサソリは、血を流しながら真っ二つに割れてしまった。


 サソリの死亡を確認すると、ブレイズは静かに振り返る。

 そして彼女の赤い瞳が、ロゼッタを睨んだ。

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