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第四十八話 説得

 フレイヤは表情一つ崩さずに、ブレイズの言葉を聞いていた。

 その隣で、ロゼッタとワンが困惑している。

 ブレイズは続けた。


「アンタがやろうとしている事を、アンタの兄さんは望んでいないよ!」

「……」


 フレイヤは、無言だ。

 しかし、ブレイズは更に続けた。


「騎士団から報告が上がっているはずだ。あれは全て、アンタの兄さんからのメッセージだぞ」

「……」

「アンタの兄さんは、この上でずっと世界樹に来るなと叫び続けているんだ!」

「……」

「アンタは、それを分かった上で来たのか!!」


 フレイヤは、凍えるような冷たい瞳でブレイズを見つめた。

 そして、静かに言った。


「私の願いは兄を解放すること。そして、この世界樹のシステムを維持する事です」

「そんな事は不可能だ!!」


 ブレイズは声を荒げる。


「たとえ大魔道士と言えども、人間が世界樹を制御するなんて不可能なんだよ!」

「……」

「この世界樹は、既に破滅へと向かっているんだ……」


 ロゼッタとワンは、話の流れが見えず混乱していた。

 フレイヤの兄が、この上にいる?

 世界樹のシステム?

 破滅へと向かっている?

 いったい、彼女達は何を言っているのだ。


 フレイヤは、ブレイズに対して静かに告げた。


「世界樹を維持する以外に、人類が救われる道はありません。これは、運命が私に与えた使命です」

「チッ」


 ブレイズは、舌打ちをした。


「やっぱり、説得しても無駄みたいだね」


 ブレイズは言うと、右を向いた。

 そして、誰かに話しかける。


「トリッキー! 説得は失敗だ。やっちまいな!」


 彼女は、誰もいない空間に向かって話しかけている。

 いったい、何をしているのだろうか。

 ロゼッタが不思議そうな顔で、その様子を眺める。

 すると……。


「はーい! 準備オッケーだよ! ぶっ飛ばしちゃうね!」


 突然、どこからか若い女の声がした。

 恐らく、ブレイズの方向からだ。


「それじゃ、大魔道士様! バイバ~イ!」


 女の声が告げた、次の瞬間!


 部屋中が、赤い光に包まれた。

 ロゼッタが、周囲を確認する。

 すると壁や天井に謎の文字が現れ、赤く発光しているのが見えた。

 ワンが叫ぶ!


「これは、トラップ魔法だ!!」


 ワンが、そう叫んだ瞬間!

 トラップ魔法が、一斉に炸裂した!


 ドドドドドドドドドドドドーーーン!


 部屋中で爆発が発生!

 辺りは、一瞬にして火の海になった。

 部屋にいた人間は、全て炎に飲み込まれる。

 こんな攻撃を受けたら、灰すら残らずに消し飛んでしまうだろう。


 やがて爆発が止み、炎の中から一人の女が姿を現した。

 ブレイズだ。

 彼女は、炎の中に立ち尽くしている。

 そして……。


「チッ」


 舌打ちをした。

 彼女の見つめる先には、大きな氷のドームがあった。

 ドームは、少しずつ溶けいく。

 そして、中からフレイヤの冷たい視線が現れた。

 その背後では、ロゼッタとワンが動揺していた。


 再びブレイズの方から、若い女の声がした。


「ねえ、どう? 仕留めた? ねえ?」


 ブレイズは力無く、声を発する。


「失敗だ……」

「えーーー!」


 フレイヤは、ブレイズに向かって歩き出した。

 彼女は、どんどんブレイズに近づいていく。

 このままでは、二人はぶつかってしまう。

 しかし、ブレイズも避ける気配がない。


 そして遂に、彼女達は接触した!

 すると……。

 フレイヤは、ブレイズの体をスルリと通り抜けた!

 そして、そのまま真っ直ぐと歩いて行ってしまった。

 彼女の向かう先には、爆発によって開いた新たな入口がある。


 ワンが、ブレイズに近寄った。

 そして、彼女の脚に触れてみる。

 すると、ワンの手が彼女を貫通した。

 ワンは、ロゼッタの方を向いて解説する。


「どうやら魔法で空中に姿を投影しているみたいだぜ、本人は別の場所にいるらしい」


 ロゼッタは、色々な事がありすぎて頭が混乱していた。

 そうこうしている内に、フレイヤは次の通路へと到着してしまう。

 ロゼッタとワンは取り敢えず、フレイヤを追いかけて走り出した。

 彼女達の後ろ姿を、ブレイズが力無く見つめていた。




 フレイヤは一人で、どんどん通路の奥へと歩いて行ってしまう。

 その後ろを、ロゼッタとワンが追いかけた。

 ワンが、心配して声を掛ける。


「おい、姉ちゃん! どこに罠があるかも分からねぇんだ! ゆっくり進もうぜ!」


 ワンが言った瞬間!


 ドンッ!


 ロゼッタとワンの目の前に、石の壁が落ちてきた!

 二人は、フレイヤと分断されてしまった。

 突然の出来事に、ワンが驚く。


「ウッソだろ! だから、言わんこっちゃない!」


 ワンは、石の壁を確認した。


「んーー。こいつは厳しそうだな……。ロゼッタ、試してみるか?」

「任せろ!」


 ロゼッタが、サニーに手を掛けた。

 その瞬間!


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ


 急に、頭上から不穏な音が響いた。

 ロゼッタが、天井を見上げてみる。

 すると、天井がゆっくりと落ちて来ているのが分かった。

 段々と、天井が低くなって来る。

 このままでは、押し潰されてしまう!


 二人は焦った。

 ロゼッタは取り敢えず、目の前の壁にサニーを設置し、吹き飛ばしてみる。


 ドーーーーーーン!


 しかし、壁は壊れない。

 ワンが、慌てて周囲を駆け回った。


「どうする、どうする!」


 天井が、どんどん迫って来る!

 もう屈んで歩かなければいけないくらい、天井が低い。

 すると急に、ワンが足元を指差した。


「ロゼッタ! ここだ!」


 ロゼッタは頷き、サニーを設置。

 少し離れて、床を爆破した!


 ドーーーーーーン!


 すると、地面に穴が現れた。


「よし! 飛び込むぞ!」


 ワンは言うと、穴へ飛び込んだ。

 ロゼッタも、這いつくばった状態で穴へ飛び込む。


「うわああああああああ!」


 ロゼッタとワンは、細く長い通路を一気に滑り落ちた!

 そして突然、空間が開ける!


 ドスンッ!


 ロゼッタは、尻餅をついた。

 彼女の下に、ワンが下敷きになっている。


「グヘッ」

「いてててて……」


 ロゼッタは立ち上がり、周囲を確認した。

 何やら、また大きな部屋に到着したらしい。

 周囲には、大量の木箱や樽が置いてある。


 彼女が周囲の様子を伺っていると、高く積まれた木箱の向こうから誰かの足音が聞こえた。

 何者かが、こちらへ近づいてくる。

 彼女は、サニーを構えた。


 次の瞬間!

 物陰から、二人の人物が現れた。

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