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第四十四話 空中戦

 魔王教団のメンバー達は、怯んだ。

 刻印の男が、ラークを見つめる。


「銀色の髪……なるほど。てめぇ、獣人か!」


 男は口元に笑みを浮かべ、ラークを睨みつけた。

 そして、再び杖を構える。


「どうして、魔法を使えない劣等種族が騎士団にいる!」


 ラークは、静かに男を睨みつけていた。

 男は再び、杖先に魔力を集中させる。


「薄汚れた獣人が! てめぇみたいなのが、人間様を取り締まるなんて許せねぇ!」


 男が言った瞬間!

 突然、突風が発生した!

 ラークが、軽く翼を動かしたのだ。


 魔王教団の三人は、後方へと吹き飛ばされた!

 彼らは、強く壁に打ちつけられる!


「グハッ!」


 刻印の男に付き従っていた二人は、そのまま気絶した。

 男も、項垂れて倒れている。

 ラークは、彼らにゆっくりと歩み寄った。


 しかし、彼は突然立ち止まった。

 刻印の男が、何やらブツブツと呟いていたのだ。

 男の周囲に、邪悪な気配が漂い始める。


 ラークは、危険を感じて一度後退した。

 次の瞬間、男が叫んだ!


「いでよ! ガーゴイル!!」


 すると、男の目の前に魔物が現れた!

 大きな翼を持った、鬼のような姿。

 体は、石のような鱗に覆われている。


 グオオオオオオオオオオオオ!


 魔物は、吠えた。


 ラークは、後退りをする。

 この狭い空間で戦っては、不利だ。


 彼は、一度大きく羽ばたいた。

 すると周囲に衝撃波が発生!

 後方で、窓ガラスが割れた。


 魔物が一瞬怯んだ隙を見て、ラークは後ろを振り返った。

 そのまま全速力で駆け出す。

 そして、割れた窓に向かって飛び込んだ!

 彼は胸の前で腕をクロスさせ、防御をしつつ窓枠を破って外へ飛び出る!


 そのまま翼を羽ばたかせて、上空へと飛び立った。

 ガーゴイルが、彼の後を追う。


 刻印の男も、よろめきながら立ち上がった。

 男は、窓辺に近づいて上空を眺めた。

 すると、上空で激しい空中戦が行われているのが見えた。


 ラークが、ガーゴイルに追われている。

 しかし、彼は急加速して距離を取った。

 そしていきなり体を反転させ、ガーゴイルに向かって突き進む!


 ラークとガーゴイルが、すれ違った!

 ラークは、手の爪でガーゴイルを引っ掻く!

 彼の爪は、鷹のように鋭い!


 しかし、ガーゴイルの肌は、石のような鱗に守られていて爪が通らない。

 ラークは、すぐさま振り返る。

 すると、ガーゴイルが上空からこちらを睨みつけていた。


 ガーゴイルは、息を吸い込む。

 口元に、火が溢れているのが見えた。


「いけない!」


 ラークが、叫んだ瞬間!

 ガーゴイルは、炎の球を吐き出した!

 炎の球は、ラークを目掛けて真っ直ぐと突き進む!

 しかし、大したスピードでは無い。

 ラークの移動速度ならば、軽々と回避できるだろう。


 だが、どうした事か。

 彼は、回避行動を取らない。

 翼で盾を作り、正面から炎の球を受け止めた!


 ドーーーン!


 空中で爆発が起こった!

 町の広場の方から、人々がどよめく声が聞こえる。


 空中には、爆煙が漂っている。

 その中から、大きな銀色の翼が現れた。

 ラークは無傷だった。


 地上から、刻印の男が不思議そうな顔で彼を見上げていた。


「アイツ、なんで正面から……」


 男は言いながら、ラークの遥か下に広がる町並みを見た。

 通りには、上空を指差している人々が何人かいる。


 男は、事情を理解した。

 そして、口元に笑みを浮かべた。


「なるほど……」


 男は言うと、叫んだ!


「ガーゴイル! 町を焼き払え!」


 ガーゴイルはそれを聞くと、再び息を吸い込んだ。

 ラークは、慌てる。


 しかし、ガーゴイルは構わず、無差別に炎の球を撒き散らした!

 ラークは翼を羽ばたかせて突風を起こし、炎の球を迎撃する。

 だが、炎の球が多すぎる!

 撃ち漏らした炎の球が、次々に町に降り注いだ!


 町の至る所から、悲鳴が聞こえた。

 それを聞いて、ラークは焦った。

 早く、魔物を仕留めなくては多くの犠牲が出てしまう。


 彼が思った瞬間、彼の目の前を炎の球が通過した。

 炎の球は、下の大通りへと向かっていく。

 下では、多くの通行人が慌てふためいていた。


 ラークは、それを見て急降下する。

 炎の球は、地面まで迫っている!

 彼は急加速して、それを追い抜き、振り返った!

 そして、翼を盾にして防御をする。


 ドーーーーン!


 大通りを歩く人々のすぐ真上で、爆発が起こった!

 ラークは翼を羽ばたかせ、爆煙を吹き飛ばす。

 そして、周囲の安全を確認した。

 しかし、次の瞬間!


 正面から、ガーゴイルが突っ込んできた!

 彼は炎の球に気を取られていて、気づかなかったのだ。

 ガーゴイルの鋭い爪が、ラークの腹を貫く!


「ウッ!」


 ラークは、吐血した。

 そして、そのまま項垂れる。


 ガーゴイルが、ラークの腹からサッと腕を引き抜いた。

 すると彼は力なく、大通りへと落下して行った。


 ドスーーーン!


 彼は、屋台の屋根を突き破って地面へと落ちた。

 周囲では、人々がパニックになって叫んでいる。


 グオオオオオオオオオオ!


 町にとどろく魔物の声と、人々の悲鳴。

 ラークは生死の境を彷徨いながら、それを聞いた。

 脳裏に一瞬、ハルの顔が思い浮かぶ。


「ハル……さま……」


 彼は残された力を振り絞って、胸の前で拳と拳を合わせた。

 そして、全ての魔力を集中させる。


「この力……ハル様のために、使わせて頂きます!」

 

 彼が言った、次の瞬間!

 突然、大通り全体に衝撃波が走った。

 それと同時に、鋭い鳴き声が町全体に響き渡る。


 ピィイイイイイイイイイッ!


 人々は、驚きのあまり耳を塞いだ。

 通行人が、鳴き声のする方に目をやる。

 すると、崩れた屋台から何者かが高速で飛び立つのが見えた。


 人々は、その正体不明の飛行物体を目で追った。

 飛んでいるのは、大きな鳥のようだ。

 いやあれは、鳥ではない。

 銀色の羽をまとった人間だ!


 ラークは全身に羽をまとい、高速でガーゴイルへと向かった。

 彼は腹部から血を流していたが、構わず敵の懐を目指す!


 ガーゴイルが、回避行動を取ろうとする。

 その瞬間。ラークは、翼を震わせた。

 すると、強力な衝撃波が発生し、ガーゴイルが一瞬怯んだ。


 そこへ、すかさずラークが突っ込む!

 完全に鳥の手と化した、彼の鋭い爪がガーゴイルの胸を貫いた!

 鋭い爪が、ガーゴイルの硬い皮膚を突き破って胴体を貫通したのだ!


 ラークは止まらず、突き進んだ!

 彼は、ガーゴイルを串刺しにしたまま、天高くへと上昇を続ける。

 そして彼らの影が、丸い月と重なった。


 すると、今度は一転。

 彼は一瞬速度を落とし、急降下を始めた。


 彼は、ガーゴイルを串刺しにしたまま、地面へ向かって突き進む!

 グングン、グングン加速して行く!


 下の方に、騎士団支部が見えてきた。

 その目の前には、刻印の男が空を見上げている。


 男は、接近して来るラークに気づいて逃げ出した。

 しかし、ラークは男をロックオンして一気に詰め寄る。


 ドーーーーーン!


 ラークとガーゴイルが、刻印の男に衝突!

 辺りには、土埃が立った。


 そこへ、町に出ていた騎士団の隊員達が駆けつけた。

 彼らは、警戒して周囲を確認する。

 すると、そこには魔物と二人の男が血まみれになって倒れていた。

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