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第零話 プロローグ


「貴様、まさか……パペッティアか!!」


 森の中に、若い男の声が響き渡った。

 ペチャッ、ペチャッ。

 男が一歩一歩、後退りをするたびに足元で水が音を立てる。


 足元は沢になっており、絶えず水が流れていたのだ。


 男の隣では、巨大な魔物が潰されてペチャンコになっていた。


 甲殻に覆われた巨大な体。鋭い爪。無数の脚。

 その魔物の姿は、まるでカニだ。

 巨大なカニは、強力な魔法攻撃により、泡を吹いて倒れてしまっていた。


 男は、木製の短い魔法の杖を正面に構えた。

 杖を握りしめる手は力んでおり、プルプルと震えている。


 すると、そんな男の前に一人の少女が進み出た。

 少女は、男に告げる。


「終わりだ。大人しく武器を捨てるのだ!」

「クソッ!」


 男は悪態を吐いた。

 そして、少女に語り掛けた。


「アカデミーで最弱と言われた貴様の正体は、パペッティアだった訳だ」

「アカデミー……。まさか、お前もわたしの同級生なのか?」

「ああ、俺の事を忘れたとは言わせないぜ」

「……」


 少女は、その返事を聞いて呆れた。


「全く。わたしの同級生達は、どうして全員もれなく闇堕ちしているのだ……」


 少女が呟いていると、突然、男がニヤリと笑みを浮かべた。


「貴様がパペッティアならば、なおさら生贄には最適だ!!」

「……」

「我らが魔王様は、弱者が生きる事を許さない!! 貴様のように卑しい血筋の弱者は、死ねば良いのだ!!」

「……言いたいことは、それだけか?」


 少女は言いながら、冷静に男に対して手のひらを向けた。

 すると……。


 空からキラキラと輝く何かが、ゆっくりと降りてくる。

 なんと、その正体はクマのぬいぐるみだった。

 クマのぬいぐるみは少女の目の前に浮遊し、男を睨みつけた。


 男は一瞬、動揺するが、すぐに無理やり笑みを取り繕う。

 そして、言い放った!


「ここで終わるのは貴様だ! もうすぐ増援が駆けつける。多勢に無勢だ!」

「フンッ。それはどうかな?」


 少女は、余裕の表情だ。

 何か余程の自信があるらしい。

 男は、少女の謎の自信が怖くなり、再び震えた。


「きょ、虚勢張ってんじゃねぇぞ……」

「わたしは今、確認したのだ」

「?」

「空から周囲を見渡したが、お前が期待していた増援は、わたしの仲間が軽く蹴散らしていたぞ」

「は!?」


 男は動揺する。

 それを見て少女は、ニヤリと笑いながら言い放った!


「終わりだ! 降参しろ!」

「くっそおおおおおお!! 最弱があああああああ!!」


 男は叫びながら、杖先に禍々しい魔力を集中させた。

 それを見て、クマのぬいぐるみの輝きが一層増す!


 次の瞬間!

 男が、魔法攻撃を発射!

 同時に、クマのぬいぐるみが男に向かって突撃した!

 二つの魔法は衝突する!


 ドーーーン!


 周囲には爆発音と共に、衝撃波が走った。

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