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7/10

大衆受けする作品はレベルが低いって? ほーん、じゃあとりあえず、有り難いお説法始めようか。

 というような話です。

 ほら、よくいるじゃないですか。自分の作品はなろうではウケないとか、自分の作品はなろう読者には理解できない(ほど深い内容である)みたいなこと言う人。


 こんなこと言っちゃってる人間は自分がバカだと大声で主張しているようなものですね、大いに嘲笑してやりましょう。


 だって、小説投稿サイトなんか無数にあるし何なら一般公募も電子書籍も、色んなやり方があるんですよ?

 自分に合った場所で書けばいいし勝負すればいいだけのことじゃないですか。


 なろうでウケないとわかっているなら何故他所へ行かないのです?

 なろう読者の頭の悪さを嘆いているなら是非とも一般公募に挑戦しちゃってくださいよ。


 こんなこともしないで現状に文句言うだけの人間は最早手に負えない。ちょっとは頭を使って欲しいですね。あなたの作品はなろうでは求められていないし読者はそんな作品など理解したいとも思っていませんので。

 自分が動かず環境に不平不満を言う。こんな人間がそもそも成功するとは思えませんよね。


 では、実際のところ大衆受けする作品は低俗なのかというのを考えたい。ていうか“低俗”って何ぞや?

 ちょうどいいサンプルがあるんですよ。ご紹介しますね。


 今年の紅白歌合戦の出場アーティストがこの前発表になりましたね。今年の日本の音楽シーンを語る上で絶対に外せないアーティストが初参加しておりまして、個人的にはちょっと嬉しかったりするのです。


 King Gnu、ご存じですか? 今年一気にブレイクした若手のバンドです。フロントマンが東京藝術大学出身、音楽を専門に学んだいわばその道のプロフェッショナルが作ったバンドです。メジャーデビュー前から音楽関係者の中での評判はとても良かったのですが音楽性の高さが逆に仇となり一般にはなかなか浸透していなかった。そんな彼らが今年ドラマタイアップ曲『白日』のスマッシュヒットにより一気にスターダムにのし上がって今や若手最注目株となっております。


 この立役者となったのが米津玄師です。


 彼は早い頃からKing Gnuの音楽に共鳴しており、メンバーとの交流もあったようです。で、ある日「King Gnuの音楽はこのままでは売れない」と言ってメンバーと喧嘩になったそうです。


 米津玄師曰く「J-POPはサビ命」である、と。


 そう、King Gnuの楽曲は音楽的センスは高いが、わかりやすく盛り上がるパートが弱かった。だからその楽曲の良さは一般のリスナーにはうまく伝わらなかったのです。米津玄師はここを指摘したわけです。


 J-POPの構造やヒットのさせ方を熟知した米津玄師のアドバイスの下で作った『白日』はメロディーラインの美しさはもとより、ここがサビであるという部分をしっかり盛り上げることで非常にポピュラーな印象の楽曲に仕上がった。そしてドラマタイアップというプロモーションとの相乗効果もあり一気に彼らの知名度を押し上げた。


 結果、紅白歌合戦にまで出場するほどの人気アーティストになったのです。

 

 いい話ですね。そして我々小説書きも身につまされるようなエピソードですよね。レベルの高いものが必ずしも売れるものではない。これは当たり前の話です。が、何故かなろうでは見落とされがちです。


 作品の内容を、文章を、しっかりと磨き込んでゆけば必ず人気が出る。そんなことはない。こういうことを主張する人間ほど上位にいる作品のクオリティについて文句を言うが自身はポイントを稼げていない。自己啓発するのはいいが広い世界を見ていないから落とし穴に嵌る。


 重要なことは、その作品のレベルが実際にはどうあれ、それを多くの読者にとってわかりやすい形に落とし込むことではないでしょうか。

 大衆受けとは、低俗なものを作る、似たり寄ったりのものを作るということではないはずです。テンプレであろうが無かろうが、ウケる作品には必ず多くの読者をひきつける“わかりやすい面白さ”が備わっている。


 高尚なものを高尚なまま提供したいのなら、一般公募を目指せばいいのです。

 なろうで読んでもらいたいなら、なろうではどういう面白さが求められているのかについてしっかりと学ぶべきでしょう。


 読者に“読む力”を求めるのは傲慢すぎやしませんか。

 まずは“普通に読める”作品を書かないとダメでしょう。


 なろうにおける“わかりやすい面白さ”の中身や深い考察については後程たくさん書くつもりなのでここでは一つだけ。


 書き出し、第1話の中にその作品の一番面白いところを持ってくる。ウリを持ってくる。


 これが肝要でしょうね。要するにいきなりサビから始まる楽曲を作れ、ということです。

 無限の選択肢がある中から自分の作品を読んでもらいしかも評価してもらう為には、最初から面白くなければなりません。読者の前には目移りするほど魅力的な作品が山ほどある。

 この作品は5万字過ぎてから俄然面白くなる~みたいなことを言っていてはいけません。書き出しすら面白く書けない人に途中から面白くなる作品など書けるわけがない。よしんば書けたとしても読者にそれまで退屈な時間を過ごしてくれと要求するのですか? 見向きもされませんよ、読者はそんなに暇じゃないのです。


 いやいや世の中にはじっくりと時間をかけて盛り上がってくる作品もたくさんあるだろうという反論をするのなら、それはお門違いも甚だしい。なろう小説のメインストリームについて語っているので外の作品を引き合いに出されても困る。ネットでは、そういう作品はとにかくウケない。


 最大多数の読者は我慢強くないのです。ファーストフードのように“面白さ”を大量消費してくる強敵です。こちらもそのつもりでかからなくてはならない。


 だからこそ、“わかりやすさ”なのですね。これを置き去りにして内容を磨くだなんて無駄な努力ですよ。

 せっかく努力するなら、ていうか内容を磨きたいなら、やるべきことは徹底的にお話をわかりやすくすることだと思います。

 

 ですので、なろう小説はよく“小中学生の作文レベル”などと揶揄されるのですね。これは一部当たっているが全てではない。大衆受けという要素をとことん煮詰めてゆけば文章は自ずとシンプルになる。より正確には“子供から大人まで無理なく読める”ということなのです。

 内容についても取っ付きやすさを重視すれば自然と単純な構造になってくる。


 売れる為には市場の声に耳を傾けるべきであって、エゴを前面に出すべきではない。


 J-POPがサビ命であるのと同様に、なろう小説はわかりやすい面白さが命なのです。



 今回はKing Gnuと米津玄師のエピソードをどうしても紹介したかった。このエピソードには創作における最も重要なことが端的に示されていると思ったからです。やっぱり最前線で頑張っているプロは凄ぇな、と。


 そして次回、少し閑話的な話をします。

 なろうにおける最激戦区、“恋愛”と“ファンタジー”。

 素早く、より高い確率で、高ポイントを稼ぐにどちらを書くのがいいのか、というのを語ろうと思います。

 ちなみに正解は“恋愛”!

 意外な感じがしましたか? でもこれは論理的に考えて正しいのです。その理屈の部分を、これまで恐らく誰も提唱したことのない方法で解説しますよ。目から鱗です、必見!

 

ところでどうでもいい話なんですが僕はメタラーです。中でもメロスピが大好物。ピロピロしてる音楽ならだいたい好きです。J-POPはカラオケで女の子ウケする為に聞いています。←直球

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ちょっと気を悪くしたので失礼します。 自分に、作詞作曲能力があっても、 おどるポンポコリンやガラガラ蛇がやってくる みたいな曲を作ってまで売れたいとは思いません。 結局、やりたい事をや…
[一言] なろうテンプレ小説が受けているのは 「ナーロッパワールド人気」に他なりません。 なので、そうゆうタグが付いていたら、とにかく 内容はどうであれ、読んでみようかと思う方が多い。それだけの話です…
2019/11/30 09:57 退会済み
管理
[一言] 私自信が小説を書く前、正しく本文に指摘された、なろうへの偏見を持っていましたね。今でもそんな感じの偏見が浮き彫りになったエッセイが、手元に残っています。 今では「ゴチャゴチャ言ってても、売れ…
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