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高ポイントと面白さが同義ということについて、もう少し詳しく語る必要が出てきた。

 常々、僕は読者に対して誠実でありたいと思っています。前回の内容がどうにも説明不足だったようで、このまま話を進めるのはいけない気がしたので今回は補足説明の回です。


 まず、本エッセイの目的から。

 このエッセイは“低ポイントでも書籍化できる”という主張に対してそれを徹底的に否定する為に書いています。

 

 いや、でも実際低ポイントでも書籍化した例はあるし低ポイントの作品を拾い上げている出版社もあるぞ、とお思いの方もいらっしゃるでしょう。はい、確かにあります。しかしこれは、結構本気で書籍化を狙っているけれどいまいちポイントが伸びない作者に対して積極的に薦めるべき道では決してない。

 何故か。こんなものは条件統制が不可能だからです。一体どうすれば低ポイントでWEB公募を通過するのか、どうすれば直接の拾い上げがあるのか。全く見えないからです。暗闇の中を進むことを、僕は他人様に無責任に押し付けることは出来ません。


 こういう話をすると、作品の質自体を磨けばよかろうという反論も出てくると思いますが、作品の質をどれだけ磨いたとしても出版社の目に留まらなければ無意味です。一般公募とは作品総数が違い過ぎるのです。数十万作品もあるもの全て、出版社に目を通せと要求するのですか? そもそも作品の質を磨く、などというのは誰でもやっていることで、高ポイントの作家だって同じように努力をしているのです。


 上記のような反論をもし書き手が行っているのであれば、マーケティングについての認識が甘いと言わざるを得ない。


 それともう一つ、たとえなろうにて高ポイントを叩き出して鳴り物入りで書籍化された作品であれど全く売れないということもあるだろ、だから高ポイント=面白さなんていう式はナンセンスとお思いの方もいらっしゃるでしょう。ここについては実は、本エッセイの要旨とは無関係の話題なのです。


 繰り返しますが本エッセイは、“低ポイントでも書籍化できる”ということを否定する為のものです。より正確に言うなら書籍化狙うならもっと期待値高い方法を選択した方が良くないですか? と言いたいのです。

 というわけで、書籍化して以降の売れ行きについては言及しません。そこは本エッセイの関知するところではない。が、こうやって突き放してしまうと反発もありましょうから説明はしておきます。


 まず、高ポイント=面白いの図式はなろう内でしか通用しません。なろう小説の価値はなろうの中でしか保証されないのです。外の世界にはまた別のルールがあります。

 これについて僕は、なろう小説における面白さ、及びその役割という別稿において詳述するつもりでした。が、先に軽く触れておくことにします。あくまで主観全開の論です。人によって解釈も違ってくると思います。しかし、大衆ウケという観点からすればこうなるであろうという自明の話だと僕は信じています。


 なろう小説、時にネオ・ライトノベル等と呼ばれるジャンルに期待されている役割、それは“暇潰し”であろうと思われます。ちょっとしたスキマ時間にサクサク読める物語。こういう役割を期待されているものだと思います。

 よって中身はあくまで軽く読み易く、起承転結が短いスパンに起こるべきです。具体的には電車通勤の時間、仕事の休憩時間、ソシャゲの回復待ちの時間、などです。あるいは休日の時間潰しでもいいですね。

 

 いやいや待てよ、自分はネット小説も一般書籍と同じようにしっかりとした読み味を求めているぞという方、多分マイノリティだと思いますよ。だってそれなら一般書籍を読めばいいじゃないですか。そんなにタダで良作を読みたいのですか? いけませんね、業界が衰退します。良作には相応の対価が払われるべきです。

 

 というのは暴論ですが、概ね、ネット小説は気楽さが求められていると思います。でなければランキングがあのようにはならないでしょう。圧倒的大多数の読者が何を求めているのかが、ポイントという指標によってはっきりと指示されています。


 だからなろう小説はそもそも書籍として読むのに向いていない。どっぷりとした読み味じゃないんですから、読み込むほどの濃度が無い。故に大量に書籍化されても売れない。


 え、でも過去には大ヒット作がたくさんあるじゃないですかとお思いの方、そこも解説します。


 数年前と今では、ウェブ小説を取り巻く環境が違い過ぎる。今は、小説投稿サイトも作者も増えすぎた。かつての大ヒット作品達の威光により後追いをする人間が大量発生、競合相手があまりにも増大したせいで互いの売り上げを喰い合っている。そして個々の売り上げが下がり、大ヒットに恵まれないせいでウェブ小説全体の価値も低く見られてしまい、出版社がそこへ積極的な投資を控えるようになる。すると更に環境が冷え込んでゆく。デフレみたいなものですかね。


 なのでどこかの段階ではブレイクスルーが必要になってくると思います。もう一度、大ヒットする作品が生まれなければ環境はこのまま衰退の一途を辿るでしょう。

 ブレイクスルーは無名の作者からは生まれないと僕は思います。主観です。

 いくつかの手堅い作品でしっかりとネームバリューを稼いでおいて、インフルエンサーとしての力を蓄えた作者がその力量によって意欲作を捻じ込んで環境に揺さぶりをかける。これがいいんじゃないかと。


 というわけで最初に名前を売っておいた方がいい。ならばまずは大衆ウケする作品から、と言うわけです。


 どうでしょう? そんなに悪くない気がしているんです。

 だから高ポイント=面白いというなろう内の図式は積極的に利用した方が何かとお得。書籍化を狙うのでれば、低ポイントに拘らずに様々な方法を駆使して少しでもポイントを押し上げた方が良いのです。精神衛生上も、ポイント上がると嬉しいですしね。


 ううむ、長々語ってしまったなぁ……。まだロジックに穴がある気がしてなりません。心配だ。

 以上、高ポイント=面白いという命題についての補足説明でした。


 次回こそは、具体的な高ポイントを狙う方法について話たいところ。

 それでは!

後書きにて謝っておきます。

あくまでなろう全体、ウェブ小説全体について語ろうとするあまり、文中では個々の作品の持つ価値については無視して論を進めております。

それぞれの作品が持つ魅力、そしてそれを支持する読者を貶める意図は全くありません。

誤解されそうだったので言っておきたかった。

僕自身も低ポイントでも凄く面白い先品をたくさん知っています。でも、だからこそ、そういう作品がもっともっと広く知れ渡るような多様性のある環境を作っていきたい。その一助になりたい。本心からそう考えているのです。

なのでまず自分が有名にならねばなぁ(笑)。


いつも過激な論調で気分を害される方もいらっしゃるかもしれません。本当に申し訳ない。

でも、誰もこんなこと言わないと思うので、一人くらい過激な奴がいても面白くないですか?

多様性ですね。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >手元にデータも無いので、自分の印象で語る部分もあります。 >件のエッセイよりもずっと論理的な内容になっていると思うので、 前提がデータでなく印象であれば、それを論理展開しても無意味…
[一言] 前にとあるエッセイで「そんなサイトでポイント稼いでどうなるの?景品とか貰えるの?」みたいなことを述べられていたのを思い出しました。なろう外ではポイントは無力なのよね。「なろうで人気だったあの…
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