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2/10

面白いということは実際、ポイントが高いということと同義では?

 僕は面白さとは個人の主観である、と前回で定義しました。

 では、高ポイントで面白い作品と低ポイントで面白い作品は何が違うのか。


 ちなみに僕が気に入って読み込む作品もどちらかと言えばポイントが高くないことが多いです。1000点越えてないような作品が大半だと思います。でもやはり、面白い。

 そう、個人の感性においては低ポイントの作品の方が高ポイントの作品より面白いものが多いという印象すら、抱く時がある。


 高ポイントと低ポイント、両者を隔てるものはもちろん、ポイントという名の“信用”だけです。これは文学として考えるから余計な不純物が混じってややこしくなるのであって、食事に例えるとわかりやすい。


 同じ値段同じクオリティのレストランがあったとします。

 方や国際的にも評価を受けた有名店、方や小さな個人経営。

 あなたなら、どちらを選びますか?

 有名店の方は連日繁盛しているでしょう。個人経営のお店は閑古鳥が鳴いているかもしれません。


 大半の人は、有名店で食事をとると思われます。繰り返しますが2つのお店は全く変わらない品質を有しているのです。しかし違いが生まれてくる。


 有名か無名か、たくさんの評価によってその質が担保されているか否か。有名店は有名であるからこそ逆説的に評価されるでしょうし、無名店は軒並み高評価が与えられたとしても有名店のネームバリューには及ばない。


 同じことが、なろう小説においても言えるわけです。中身の品質は実際、違わない。むしろ大衆ウケを狙わないマイナー作品の方が個人の嗜好にぶっ刺さることも多い。


 ただし、“面白さ”を定量的に捉えた場合、つまり“商品”として捉えた場合、より面白いと判定されるのは高ポイントの作品です。

 そして高ポイント=面白いの図式があるからこそ、人気作品は更に人気になるのです。


 文学は高尚なものでなくてはならない。大衆の評価とは切り離して作品自体の質だけで語るべきである。このような風潮が時になろうにおいても見られますが、それは売り物としての文学を意識しない理想論でしかありません。


 出版社側からすれば売れるかどうかもわからない低ポイントの作品を拾い上げるのは相当な勇気が要ることです。そんなリスクを敢えて冒すほどに今の出版業界に余裕はありません。只でさえなろう小説自体がかつてほどには売れなくなってきている状況で、リスキーな賭けに出るのは愚策と言わざるを得ないでしょう。


 畢竟(ひっきょう)、高ポイントの作品を取り敢えず選んでおくしかなくなる。なろう小説全体の売上が下がってきているとしても。というか、景気が悪くなればなるほどより手堅い方法をとるのは当然です。


 ここにケチをつけ、本当にポイント絶対主義を破壊したとしたら何が起こるか。あらゆる作品が公正に評価される素晴らしい未来がやってくるのか。


 有り得ませんよね。訪れるのはあらゆる作品が評価されずなろう小説という一大ジャンルが消滅する未来です。


 何故そうなるのか。


 ポイントというわかりやすい指標があるからこそ出版社も人気作品を拾い上げやすい。そしてポイントが高ければ出版に至る可能性が上がるというシンプルな図式があるからこそ、モチベーションを保てている作者も少なからずいるはずです。ゴールがちゃんと示されているのですから。


 ポイント評価が無くなれば一体どういう指標で作品の善し悪しを決めるのですか? 代案があるんですか? この点について件のエッセイは何やらよくわからない方法を提案していますがここでは敢えて書きません。そんな取って付けたような評価基準を設けたところで、元から人気の作品が更に人気になるだけです。


 高ポイントの作品とは、なるべくして高ポイントになった作品だからです。評価基準が変われば作者はそれにしっかり照準を合わせてくるでしょう。元から照準ブレブレのワナビに太刀打ちできるわけはない。現状は何も変わらない。


 そして最悪なことに、出版社側では人気作品の拾い上げが不可能になる。評価基準が曖昧になれば最早、何が人気で何が売れる作品なのか判断できない。ならば撤退するのが得策でありリスクを抑えるためになろう小説には手を出さないでおこう、と、こうなるわけです。

 この時点で既に人気だった作者には引き続き打診があるかもしれませんね。実績がありますからね。そしてそれ以外の人にはいよいよ出版の可能性は消滅するでしょう。


 低ポイントで敢えて書籍化を狙う必要も、ポイント絶対主義を破壊する必要も、実は全く無い。もっと建設的に書籍化を狙う方法はいくらでもあるのです。


 色々と書いてきましたがそろそろ今回の結論へ。


 高ポイントの作品は、たくさんの読者が評価したという実績に裏打ちされている。故に言い換えればより多くの人が“面白い”と判断したということ。

 “面白さ”を“商品価値”と読み替えた場合、より面白いのは高ポイントの作品である。転じて、高ポイント=面白いという式も成り立つ。


 もしこれに反論したいのなら、小説における面白さとは何か、誰もが客観的に判断できる別の指標を用意せよ、と言わざるを得ない。困難ですよ多分。


 さて、一応今回でポイント絶対主義を破壊することの愚と、低ポイント書籍化にこだわるという愚の両方を論破したつもりですがまだ語りたい内容があるので本エッセイは続きます。


 次回は、


 高ポイントを建設的に狙う為の具体的な方法とは?

 なろう小説に求められている“面白さ”とは?


 みたいな話を出来たらいいなと思っております。あ、でも僕はプロでは無いんで、お手柔らかに頼みますね。あくまで主観による話がメインなので。


すみません!石を投げるならついでに評価ポイントも投げてください!あと優しい感想もお願いします!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 書籍化に至る経緯などは、至極もっともだと思います。 そして、ポイントに関しても特に言及する事はありません。 [一言] ただ、『面白さ』。 高ポイント=面白さ、そこに反論等はありません。 で…
2019/11/20 18:46 退会済み
管理
[良い点] ツッコミの半分は優しさでできています。 [気になる点] 他には、ポイントがそのまま売上になるのであれば、低ポイントをスコップしている出版社は何なんだって話になる。 [一言] >出版社側から…
[一言] キッチュってなんだ、カボチャが入ってるやつか!? って思ってGoogle先生に聞いてまいました。ドイツ語なのですね。 なんだか、大学受験でのセンター足切りや、就活における学歴フィルターに…
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