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騎兵隊隊長の悪い癖 後編

「決闘だ!!」

「大変だぞ!!」


 お楽しみの真っ最中に部屋に入ってきたウィスパー。その顔は普段とは打って変わって深刻な顔をしていた。俺はエレンとの2ラウンド目を終え、ベッドの中でワインを回していた。


「どうした? さっきの女、病気持ちだったか?」


 俺は乾いた笑いでウィスパーのマヌケ顔を嘲笑ってやった。


「エドガー隊がこっちに向かってきてるぞ!!」

「なんだとっ!! おい!馬を出せ!! ウィスパー!エドガーの近辺を探れ! 弱みにつけ込んで脅しにかかるぞ!!」


 俺は慌てて着替え、ザガード夫人をほっぽり出して馬でエドガーを迎えに行った。エドガーは何かとあれば普段から突っかかってくる気に食わない奴だ、今回もきっと難癖を付けてくるだろうよ!




「やあ、これはこれは遠路遙々と……」

「やや、堅苦しい挨拶は結構。早速本題に入らせて貰うぞ」


 エドガーのヒゲ面が今日は一段と強く気持ち悪く見える。その余裕の表れから、今回は何やら算段がありそうな気配がした。兜の緒を締めて係らねば寝首を掻かれるやも知れん……。


「此度の貴様の行為が目に余るとの事で、将軍より出頭命令が出されている。貴様の奥方も納得済みで私に味方するそうだ」


 エドガーは将軍の直筆による書簡を取り出し勝ち誇った顔を見せた。


(これは……厄介だぞ? 将軍の命令は無視出来んが赴けば何かしらの処罰があるだろう……)


 俺は焦りを覚えた。まさか奴がそこまで用意周到だったとは……。更に嫁にも根回しをされていたとは不覚。


「さあ! 如何する!?」


 迫るエドガーに苦悶の表情を浮かべる俺。その時後ろからウィスパーが耳打ちをし一枚の書状を手渡した。



「……エドガー隊長」

「うむ、如何した?」


「今しがた貴殿から将軍へ宛てた手紙が見付かったそうだ。これには俺の処罰を進める代わりに多額の金が将軍へ行っている様だが?」


 ヒラヒラと手紙を靡かせ、エドガーの目の前へやる。しかしエドガーは何食わぬ顔で首を傾げた。


「何だこれは? 全く身に覚えが無いが……」

「ほほぅ。惚けるつもりか」


 俺は愛用のマスケット銃とシミターを抜いた。俺を賄賂まで使って陥れようとしたコイツは生かしてはおけん……。


「あくまでも将軍の命に逆らうつもりだな?」


 エドガーもレイピアを抜き、構えを取った。

 草原のど真ん中で両隊に囲まれた中、隊長同士の決闘が始まろうとしていた―――



「何か言い残すことは無いか? ヒゲ野郎」


「……腰の所にホクロが三つ。実に可愛らしかったぞ?」




  ガァン!!


 マスケットが火を噴いた! しかしエドガーには当たらず向かいの兵に当たる!


「流石に自分の女を盗られるのは嫌いと見える」


 エドガーのレイピアが円を描き、間合いを計りながらジリジリと距離を詰める。獲物の間合いは若干こちらが不利だが、一発のダメージはこちらが勝る。


 俺は心の臓を突かれぬ様に身体を斜めにし、左のマスケット銃で胸をカバーした。



 シミターを払う!

 エドガーが身を屈め下から鋭いレイピアの一閃!!

 マスケットでそれを受け更に一歩踏み込む!

 エドガーは咄嗟に横に逃げながらも更に鋭い一突きを繰り出した!!

 俺もシミターで奴の首を狙う!!



  ―――ズン……


 俺のシミターは奴の首を半分切り裂き、傷口からは止め処なく血が溢れていた。しかし、俺の胸には奴のレイピアが深く刺さっている……。


  ―――バタッ

  ―――バタッ


 俺達は同時に倒れ、隊は騒然とした…………。





「奥様! 上手く行きました!!」

「そうですか。褒めて使わしますよ♪」


「そ、それで! ご、ご褒美を……!!」

「ふふ、慌てない慌てない。まずは勝利の美酒をどうぞ、ウィスパー♡」


「へへ! こりゃあ美味そうな酒だ!」


 グビグビグビ!


「……が!! アガガガ……!!」


 バタッ……


「私をコケにした男は全て、こうなるのよ……ホホホ!!」

読んで頂きましてありがとうございました!

「キュン」は? と言われてしまうと辛い物が御座いますが、個人的には嫁を盗られたオンナスキーの怒りの発砲にキュンとして頂ければ……え?しない?……Oh

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