第四章 単なる技術の問題だ 04 四色の世界を巡って
ガチで紆余曲折を経てGE王に辿り着いた、四月二十二日、日曜日の午後三時たしか二十分。俺たちは血まみれでバラバラになっていた、本日発売されたばかりのゲームハードを発見した。当然俺たちはわけがわからない。顔見知りの少女の表情の意味するところもわからなかった。
無目敵の撃退に使われたのではなかった。
ましてや油淋血がバカ発見鬼されたわけでもなかった。
中学の頃なんかはまだまだ子どもで、シンパシーこそが友情の条件。表面的には異なっている境遇であったけれども、親との心の距離間は非常に似通っていた。ふたりは今月出会ってすぐに、『いっちー』『どっきー』と愛称で呼び合う仲になった。
動機を執拗に問いただしはしなかったらしい。当たり前だ。ゲームなんてちょっと欲しくなっただけで買うもんさ。軍資金が足りなかった場合はすぐにではなくとも。しかも今回は特別も特別、全人類が待ちに待った、誰もがお手軽に『四色型色覚者』になられる『PROV‐i 4』なのだ。ちょっとどころの騒ぎではない。
躾。
過干渉。
ネグレクト。
あの血液は母親のものだった。店を出てすぐに見つかったらしい。許しが出たと喜ぶ写真を額ごと燃やしたのは、『本当に買うとは思わなかった』という嘘偽りない正直な本音。
ぶち込まれた先が娘の脳天だったのなら、駆けつけた警察官にも取り押さえられただろう。破片を作って腕を抉る。礫を拾って肉を裂く。我がふり直せと叱責されたら面目もクソもありません。おかあさんは――つらい時こそ泣いちゃ駄目――懸命に笑顔を取り繕い、伝わりますようにと祈りました。『お母さんの心は今、これと同じくらいに痛いのよ?』。
ごめんなさいと謝罪する。全ての欠片が吹き出すまで実演は続いた。『お母さん恥かいちゃった♪』。可愛く折った腰に金槌。『じゃあ一緒に帰ろっか?』。マムシの胎児へ差し出された指先の、小さく零した悲鳴だけが脳に鳴る。
孤独を照らした一筋の光は、どういうわけか、六人も七人も美少女を引き連れていた――
「!? おい、大丈夫か!?」
うっ、うっ、うまいっ――オチだと判明するより前に、勘違いしないとか無理だった。かまって泣きとは違う証拠に、両目は皿になったまま。ばくばく。食べて元気出そうと思ったら、思いのほか元気出すぎた? うますぎる? 何よりだが……喉、詰まらせるなよ。
「、ぜんぶ食べてもいいのかな」
「……激辛中華」
「?」
「食いてえなあ~」
語尾にアルをつけてもえらえたとしも、たいして盛り上がりそうにはなかった。