第四章 単なる技術の問題だ 03 部活動
部活動について。
「派閥があるじゃない? まあ喧嘩すんなよーって話なんだけど。ごくごく普通の子は、人生経験になるからとか、集団生活の力が身につくからって答えるわけよ。なんでやってんのって訊かれたらね? で、お勉強第一なタイプはそれに反論して、お金の無駄とか時間の無駄とか全部無駄とか口にするわけ。それで、社会に出て困れー、とか言い返されちゃう。
んー、なんて言ったらいいのかな。要するに前者は活力に余裕があって、後者は片方をうまくやる分しか持っていないのよね。だからいずれコミュ力が必要になると解っていても、試験や受験の方が先に迫って来るがために、ひとまず勉強に注力しないわけにはいかない……。
自宅の方が地獄って子はね、思ってたより大勢いたわ。私、学生の頃は、全国大会優勝的な目標を、まるきり理解できなかった。どうして毎日々々夜遅くまで、身体を散々にいじめ抜くの? そうまでして思い出の砂が欲しいの? 名誉に何の意味があるの? ――って。
まあ中には恵まれた上でM属性だった子とか、睡眠時間も必要ないくらいに”生きる力”がずば抜けていた子もいたんでしょうけれど、そんなタイプも含めて。私には地獄に見えたあの練習中の方が、家で孤独に、倦怠に、疎外に、暴力に耐えることに比べれば百億倍マシだった――。言えるわけがないじゃない、言えるわけがないのよ!」