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第四章 単なる技術の問題だ 03 ド迫力の銭湯シーン

 手に汗握るド迫力の銭湯シーンを心待ちにしてくれていた男子の皆に大変残念なお知らせがある。大体、予想はついていたと思うが……いま流木の、いや俺の目の前には、極彩色市内の無目敵ドームがそびえていた。勿論ヘアサロンからの道程しか端折ってはいない。


(温水プールイベントをこなしたのは、こっちでは十八兆年前じゃないもんな)


 ハチドリは滑空することが苦手という穿った見方はされないのに、コンドルは羽ばたくのが苦手だというレッテルを貼られることには、なんとなく得心がゆかない。全天に上昇気流がありふれていないのであれば、落下馬鹿という意味を込めて、見下してくれてもいいけれど。


(思えばあのスーパーでも、お姉さんが正義漢だったから、同系色に染まっただけだった)


 今更ながらよくよく考えてみるとGE王の方が家から近かったし、今頃届いていたはずだと思うと、自宅で俺の『PROV‐i 4』をプレイできている平行世界の俺に対して、メラメラと悋気りんきの炎が沸き起こって来ないでもなかった。


(いや、それでは、こあくちゃんが危険に晒されやしないかという俺の不安はぬぐえない)


 しかしまあ当然の帰結……か。今の時代、無目敵の駆除よりも零落れいらくする可能性の低いお仕事はそうそうない。励まされた病弱な少女が看護師さんに憧れるように、この間の事件を経て、みんなを守りたいという気持ちが少なからず膨らんだのだろう。


「おい、押すなよ、ぜったい押すなよ!? どぼーん、あちーっ!」


「あー、そういや今日来てるんだっけ」


「タオルも使い放題で、クリーニング代も無料ですって、奥さん! うへえ、すごおい」


「注文の多い料理店みたいだね」


「クリーニングッ!? つまり洗う前に何かしてると。はぁはぁ、これはこあくちゃんの、」


「やだ~」


 いや……それでも俺は騙されない。絶対にぬか喜びしない。死んでも期待値を上げない! 実はこっちの建物でした~。で、なに? だから? 冷静になって常識で考えろ、俺は”♂”だ。俺だけが男湯に浸かってお終いに決まってる。そうでなければ大変なことになるだろうが。


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