表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
387/401

第四章 匍匐漸進 010 BMP12(仮)


        10



 累々たる成人式(ムラサキカガミ)よりも重傷な、罪作りな吾輩(バジリスクス)かと思った。


(おいおい、まさか……、烏骨鶏ウコッケイの遺伝子に、“BMP12”まで組み込んだのか!?)


 月光のもとで、存続のために馬謖を切った乳族の我々には、二度と蘇り来ない《青》。

 ぐにゅぐにゅと鬱血した、気持ち悪い肉腫だけが唯一、批難できる汚点だったのに。

《土竜》という名前、存在、単語こそ、人類にとっての2改め5及び4ちゃんねるであった。


「弁解を貫き通せ《人食い帆掛け船(ディメトロスピノーサ)》!! 《仮釈放する親譲(メルヒェンティック)りの悪癖(・デスロール)》!!!!」


 アルプスを越えるマレンゴの嘶きで、乳母(めのと)を乗せたジャイアント・ネイクドネック・ウコッシャモが跳んだ。

 幸福を呼ぶキーウェスト島が見えなくなる。蹴爪は歪に曲がっていた。バシリスクのように立派な“クレスト”を発達させたミシシッピワニに、激リシュリュー視される。理想のがに股で疾駆してはくれず、トカゲと一緒くたにして、ザックリとしか知らない識者に、コラ画像だと言われがち。


 そう、こっちは『まるで』と直喩した途端、『馬鹿が』って訂正を促されるんだよな。

 爬虫類という概念が死語になる。

 質も量も上だもんとキィキィ豪語する、尾籠(びろう)偃鼠(えんそ)のプライドを、生物学的に引き裂いて。





 驚き疲れておなか痛い。


「兄貴!?」


「お兄ちゃん!?」


 いや、ジャニュ姉、フェビュ姉、マァア姉の次に、エイプルォメイを飛ばしてジュンジューライが産まれたとは思っていなかったよ?


 ちくしょう。

 ピグマリオン効果ね?

 おっぱい。

イエティ(エイプ)』に『巨大な熊(ピグマ)』ね?

 はわ~、伏線王、伏線王。

 OPPAI!


 タブレット(PC)の中で、空から降ってきたワニが、シャチーズに貪り食われる。

 海真っ赤。


Z系ゾルけい』でも『坊系ぼうけい』でも『貉系むじなけい』でもなく、ただ着ぐるみを着ていただけだったことと、それを脱いでも顔一緒やんだったことが超面白かった(白目)。


 ふたりは同じ船で海上を保安している間に、いつしか恋に落ちていたらしい。

 ばらちゅー。

 また大袈裟に嘆いてみせると思いきや、


『これは興奮する……!!』


 ともかく、実兄捜しが彼女、ベリサリオン・イイポズドオの第一目的だったということで。

小魚遊の美禄団(セイヴポインツ)》のリーダー、ジワル・ルサンチマンは逮捕され、レンア・ダルトチルド、トモリ・メメントを含む三十四名の行方不明者が――奇跡的にも――全員無事に救出された。


 ルリセと再会を果たすシーンでは、鼻の奥で密かに感涙。

 へへっ、BGMが卑怯だぜ。





 彼女たちはこの島で何をさせられていたのか?

 これは……、遠まわしに説明し様がないな。屠殺だ。人間でも動物でもなくなった失敗作を、食肉へと加工する作業をさせられていた。


 女子ばかりを集めたのは保身のため。

 男はすぐに、耐えるのコマンドを破壊して、自殺や謀叛を企てがち。

 同類を屠り続けるのは辛いけれど、人間を食べてはいけない。だから――


 ジャイアントシャモロックとジャイアントモダンゲームと、ジャイアントドンタオどりとジャイアントノイヴァイゾンどりが、うじゃうじゃうじゃーっと首をもたげる。

 宇宙船共喰い号は、今日も猫背で必死にこそこそ、カブトガニの内出血を隠して青い。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ