第四章 匍匐漸進 007 騏驥過隙(仮)
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どっちでもいいだろうに。
高速でスピンするティーチャーを待ち侘びながら、交番を止まり木にして囀る少年少女は、きっとこんな風に捨て鉢な気持ちで夜の街を徘徊するのだろう。
お前らは屠所の羊か。
洋画の撮影中じゃなくてよかったな。
ジュンジュのやつは通常営業だった。
ここで肌を焼いているらしい。
隣のデッキチェアが空いていた。
断りもせずにどっかと座る。
脚まで不遜に組む始末。
ウルカリオンを呼んで来させる。
メドウユウラを舐めさせる。
その画は可笑しくてちょっと笑えた。
耳より首筋が良いらしい。
揉め。
「珍しい? なにが。当然の帰結だ。ルリセのやつは正しかったよ」
「はァ? 何言ってんだお前。それは矛盾じゃないのか、え? 食われるとこを見たんだろ? だったら感情任せな復讐のどこに、」
「だからこそだ」
「あん?」
「いい加減しつこいんだよ、ボケどもが……」
「……、はン」
イソヒヨドリが飛んだ気がした。
「生きた心地が欲しかったのか? それならやっぱり珍しい」
僕は何も答えなかった。
驥を希う馬は驥の乗なり。
いきなり合併ではなく、ひとまず同盟を結ぶということで、話はまとまったらしい。
八月二十七日、午前十一時、《騏驥雷撃団》は、カレタ島に上陸した。




