第三章 肉声祭 006 第零番目の障害物(仮)
赤と白のパンクなライダーまで蛍光アイスブルーに染まる。
これでエコだと言うのだから、宇宙は根底から破綻している。
ホタルイカの美麗さだけは、舌に尽くしようがないと筆に尽くすしかなかった。
完全に失念していた、第零番目の障害物だった。
こんな時間にこんな場所へのこのこやってくれば、エンカウントしてしまうに決まっていたのに!
爽快♪ じゃねぇーよ! 二、三分前の僕!
僕はもう後先考えずににモフついた。んーむむ。不安が限界に達したのなら、独り自室でスクランブル交差点していればよかっただろう!? あむーむ。
(嫌だ、こんなにも大量の謎を抱えたまま、解けない非力を自覚しながら逝くのだけは嫌だ!)
しかしあのマークには見覚えがあった。
赤い唇を押しつけられた白い頭蓋――?
地球外生命体感繋がり、
『瀬戸内海賊団!!!!』
『接吻丸』という名前の、海賊版イカ釣り漁船が、幾千もの青色LEDを煌めかせながら、目の前を悠然と通過する。
小さかったためか、どうやらこちらには気づいていないようだ。
(えっ、どういうこと?)
船上には、恒星のように他色の追随を許さない、四つ耳のクリアピンク髪娘がいた。
あと、例の乳首眼帯も。
『?』
四つ耳ってアウトだっけ? いや、ショートカット娘が獣耳カチューシャをしてはいけない――なんて規定はありえないはず。そう、バニーガールは旧型でも四つ耳だ。
目が合った。ごめん、なんにもわかんない。海賊漁船がとろとろと走り出し、そしていきなり速度を上げる。産まれた波にしばし揺られる。団長が持ち主にハンドルを返す。プロの本気は半端なかった。
ビユン!!