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第二章 カレタ島の冒険 002 メリオリスト・バァーミキュライト(仮)

 と、驚いてはみたものの、ベリサリオン・イイポズドオという前例があったので、何も不思議がることはなかった。


「い、言うけど!」


「えっ、告白1?」


「えっ!?」


 告白ってなんだっけ?

 ああ、大概は自己満足で終わるアレか。

 本当に手に入れたいのなら、その前に手を出さんといかんだろ。

 努力して努力して努力して、舌を絡め合える関係を築けてから、やっとしてもよくなるのが告白だ。


 プロポーズもまだなのに子作りの相談をもちかけるくらいに、段階をすっ飛ばしていることに気づいていない男子があんまりにも多すぎる。


 それは勇気を出して本音を伝えさえすれば――嘘つきにならない努力を極めるだけで――、金の斧に銀の斧に、囚われの姫に、金銀財宝に正義側の人間で間違いありませんという証明書まで欲張っておきながら、意地悪爺さんが割を食う姿に抱腹絶倒できるはずだと、いつまでもいつまでも信じて痛かっただけだ。


 機会を捕らえれば簡単だった。

 かいつまんで話すとこうだ。


 おばあちゃんが若かったころ、時間がなかったので、通っちゃいけない道を通った。すると猫が飛び出してきた。嗚呼、撥ねた。ナンマイダブ、ナンマイダブ……、しかし車を降りてみると、おや。ずいぶん遠くでこと切れている。目立った外傷もなく、ぶつかった形跡もない。ははあと思った。さあっと凍えた。案の定飼い主と名乗る男が慰謝料を請求してきた。無実を主張するも埒が明かない。もう駄目だと思ったそのとき、騒ぎを聴きつけた近所のお偉いさんがやってきて助かった。顔見知りだったので、助けてもらえた。

 治安の悪い土地に、チンピラが住んでいた、だから気をつけろ。


「今回のもこのたぐいの話だったのかな」


「さあ。あたし、何界探偵でもないから」


 諦めないを貫くことで生きていられる、負けて悔しい体育会系。

 営業マンの疲れた顔と汗ばむワイシャツに萌える気持ちも解らないではないが……。

 所かまわず軽々しく『死にたい』と口走る、僕みたいな阿房が死んでも許せないからこそ、死にたいと一言も口にできなくて死ぬ。そういうこともありえるのかもしれない。


「止めた方がよかったか」


「『断る勇気も必要』ってやつよ」


「?」


「逆じゃない。あたしとどっちが大事なの」


「そりゃあお前だ。愛してる」


 そうだ永久機関ではないのだ。やっと受付。スーパーユトリ人にも物怖じしない、よく通る声が格好いい。編入手続の書類等を渡す後ろ姿と、預かった帽子を行き来する。ふと実年齢が気になった。きっとこいつが七百歳だ。

 おぷてぃみ荘に決めたのは、働き口まで見つかったから。最奥の理由まで訊ねるのは失礼だと判断。悪寒で透視も中止した。


 何度来ても独立国家。この中だけで就職率百パーセントを目指せそうである。水分の補給と糖分の摂取はしておいた方がいいからね。


「なにあのお店! 卑猥だわ! さすがにあれはエロでしょう!」


「やめとこう! なんか人もいっぱいいるし……」


「ふはは、その様子では図星のようだな、メリオリスト・バァーミキュライト! 貴様の淫濫(いんらん)(はかりごと)もここまでだ!」


「まっ、待て、イイポズドオォォォ――――ッ!」


 入った“世界の分娩台喫茶”には、十時十一分に見た、海賊旗コーデの少女がいた。

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