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第零章 上京 037 頑張って揉む仕事


 自撮りしてSNSに上げるんかい!

 黒髪姫カットの双子コーデで頬を寄せ合った2人が、はしゃいでみせている。

 カシャ。


(誰だって思った通りに事が進んでほしいものだけれど)


(好転に対しては態度も変わる……か)


 俺は庭先に鎖で繋がれた雑種犬のように、また所在なく適当に腕を組んで突っ伏した。


(でも、にこりんとこじまるって、割とレアな組み合わせだよな……?)


(嗚呼、(かすがい)の陽キャギラリちゃんが犯人だった)


 サムネに したためるなら赤字でこうだ。

『芸能界を 生き抜く方法 教えます』。

 眉唾感半端ないが……、上京ボーイを拉致監禁するところまで模倣せよとは言ってない。




 座席争いにやっきにならない――ってことが基本になるらしい。

 お前もうそこをどけよと、下から先輩をブチのめしに行くのか?

 まさか、そんなことを実行する阿呆(あほう)はいない。

 では気配りでも極めようか?

 できたらできたでトップにしか立てないし、自転車操業必死で、忙しくなりすぎる。

 クズすぎたが故に逆に生き残ることができた連中の真似事は?

 努力を一度でもした時点でクズではなくなる。

 逆にぼんやりしてみよう。

 自分は上を押しのけなかった事にかかわらず、下からはグイグイ上がってくるのだ。


 完全な素人と比べれば、一緒に仕事ができる機会は実際、多いわけだ。

 ポッと出でも。飽きられるまでの間は。

 そここそが掴むべき好機であるという物の見方。


 無論、ねずみ講を企むように、寄生・搾取してやろうと挑みかかる様ではいけないが。

 身分をわきまえて、プライドなんか捨てて、どんな先輩も渇望している『いい感じの子分』――に、なられる若手はなればいいだけの話、というか……。


『中堅芸能人』というターゲット層は確実に存在していて、そこにしかない需要だって実際にあるわけだから、Win‐Winのポイントぐらいは、馬鹿なら余計に探らなきゃいけないの!

 ――とのこと。


 いやいや、《袖すり公妨(ヴァンキュバス)》は強制徴収だろ?

 ううん……、気に入ってもらえたら、ご飯おごってもらえるじゃんか? 先輩のハートをキャッチできた時点で――そういうゲームに勝利できた時点で――、実力なんかなくても、食事代の支払いを強要させられる。

 猫だってかわいいから貢いでもらえる。

 従者と支配人が逆転しているだけでは、悪なる詐欺だと断ずることはできない。




 情報量が多すぎる。

 ルーガギラリ=ヘルルーガは実際に、ガチのお忍び用の別人メイクも請け負っているらしく、そのため、このように自宅で美容院? みたいのをやってる人との繋がりも多いようで、色んな所にメイク道具を置いてあることは――


 別の話になるんだけど、

 とにかく。

 間借りさせてもらってる相手との関係も、お金渡しておしまい。ではなく、なんというかこう、この場所にも、チャンスを見出してしまっていて――、


(つまり最初に足元を見てから計算を開始しているわけだ)


(相乗効果の鬼だ、では語呂が悪いがそうなんだ)


 窓の外でポニテでジャージで、キッズと一緒にボールを追いかけまわすギラリさきゅらちゃん。

 ――どういうことか、もうわかったろ?

 つまりあの子どもたちの親は、全員シングルマザーなんだ。


 個室に初対面で1対1なら、男の方が悪者にされがちだが、

 多対1。いやさ、

 多シンママ 対 1若いツバメ。――だ。語呂が悪い。

 4、5人の集団に、ひとりだけ混じる男は、邪魔くさいと感じるらしいけれど……。

 肩だの足だのを頑張って揉む仕事。

 腰だの脚だのを頑張って揉む仕事。

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