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第零章 上京 028 ダイアモンド


 まあ別に、金の亡者ってわけでなくても、目の色は変わってしまうものだろう。


「しまったぁ~、1匹ぐらい持っときゃよかった! えっちょっ、どれっぽい!?」


「さあ……?」


「2、3万相当よ! 2、3万相当!」


「どんな賞レースも、これくらいの優勝賞金を競わせたら、後腐れなさそうですよね」


「《ダイヤモンド》ってところが良いわ! 永遠を謳いながら、実はそれは強がり。儚さを内包してさりげなく煌めく美しさ……、あと霊長類にも詳しいし。金や銀はちょっとさあ、ばか高い値段は置いておいても、本物ですねって言ってもらえる大きさのものを身に着けたらケバくなるのなら、本物じゃない方がいいっていうね」


 金や銀……。

 確か金色のカメを追いかけていた、銀髪の女の子が居たような。

 そう呟き始めない内に、そこに居たを通り越して、目と目が合っていた。


 それから後の出来事は、できる限り端的に記そう。

 地球規模で見れば確実に狭い範囲内で、ごちゃごちゃやってるだけなので、再会に運命もなにも無い。


「ちょっと、たかし、たかし」


「あん?」


「きみは『瀬賀(せが)たかし』っていう名前でいい」


「個人情報保護の女傑(じょけつ)!」


 青空を滑る黄金色(こがねいろ)のウミガメは、中身の褒美(ほうせき)を抜きにしても――どうせ小型のドローンに、軽くて丈夫な素材でしつらえた外装を被せてあるだけなのだろうが――、心の童子の好奇心を、くすぐるに充分な光を放っていた。


『旅行』は好みが2極化する事例の代表だ。

『催眠術』も、『パクチー』も、『かけられて楽しい』と『かけてんじゃねーよばーか』に分かれる。


 催促されるままに背と手を伸ばして、瀬賀たかしは自分が、『トルコアイス』に興醒めするタイプだったことを思い出した。腹の底を見透かしてくる『クラッシュ』にも、舌打ちが出る奴だった。


 でもまあそれは、それだけで。

 踏み台なのか梯子なのか、よくわからないけれど――それとして。アトラクション系大好きサイド、饗庭(あえば)(ほゎ)とアルヴィオーラ=インファンタのふたりに、腕力で取り合いされる。


 3人目はどう考えても支えられそうにないと、3人目本人にもわかったらしい。

 しかし『ごにうろ先生』案は、赤い番犬 ヴェスヴィア=ルーベラに、猫みたいに頭髪を逆立てて却下された。

 コアラのお母ちゃんにしがみつくスペースは、ひとり分しかありません。


 まさかの『牛刀』お兄さん。

 こういう時の女子の団結力以上に半端でないものはなく、あしながおじさん3名は、あっという間にがっちりと、人間三角コーンみたいな形へ組み上げられてしまった。



 舐めプ(ガメ)は誰の手に!?



 一世一代の賭けに出た『ハロウィン』ちゃんと『十二単(じゅうにひとえ)』が、ドサドサと手放した虫偏縛りロボッツへ、わーっとキッズが群がってゆく……。

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