表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
281/401

第四章 ぷにぷに 第七節 プリンセスの魔法


「ってきた……」


 願いはたとえ届いたとしても、そう都合よくは叶わない。


「オレ達の青春がッ! 戻ってきたァッシッ――! あはは♪ アハハ♪ ラはははは♪ う、う~~~ん、この自然とカラダが動くRhythm! エネルギー漲る街のIlluminationッ! コレだ! コレだよ、この活気! ドンドン、ペリペリ、ドン、ペリ、ペリドン♪ ほらソコのオタッキーもキープ君も、オジャマムシもカウチポテト族もぉ♪ キャモン! レッツ、呑みニケーション!」


 自分勝手な祈りは大概、熱心に聞き入れられてそこで終わる。


「このヤングなボデーが、ネオンが、ナオンがあれば! ぶぷっ、不景気なんか簡単に吹き飛ばせるし、いずれは世界を、いや宇宙ウォ! オレたちは救うことができるんだ! やった、やった、YATTAぁ♪ ほんっとーに、諦めなくてヨカッタぁっ……♪ ピピッピ、ピーカン♪ パパッパ、パンピー♪ アバンチュ~ルでラプソディ~の、オ・ム・ニ・バ・ス! パビリオン! カモオォン! も~と!」


 引き寄せの法則はインチキだというよりも、想いの力に、質量保存の法則を無視したチートパワーを求めてはならないというよりも、我儘で当然な大衆の願望こそが、たったひとりに微笑む女神を産み出す母体であるからだ。


 椅子取りゲームに負けたところで、テストの点で、脚の速さで、経済力で勝ればいいとは言うものの、椅子取りゲームで負けたその事実は変わらない。その試合に限った話に置いては、確かに人は負けたんだ。


「踊れ踊れ踊れッ――――! 騒げ歌え呑め遊べッ――――! レッツラゴッ~~~~~~♪」


 ぼくたちはトんだ。

 9割9分9厘、白目を剥いて。

 汗も涎も鼻水も拭わずに。

 筋肉が悲鳴を上げても終始ガニ股で。


 意外でもなんでもない。これは、だからこそ(▼▼▼▼▼)避けていた最高の快楽だったのだから。

 滑って転んで頭を打っても、痣ができても、爪が剥がれても、ぼくたちはむしろ更に熱い抱擁を泥まみれで交わした。

 無限に回る、満月プラチナ太陽ミラーボールに魅せられて。





 5、6時間、乱舞ディスコしてやっと、興味人身クロウズグリードの遺物、左右対称の白胸毛へ戻らなかった1羽の刺青(▼▼)を、自称『本物の人間』、スクューアイ・ディヴァインビューティは見つけた。彼は心の底から楽しそうにはしゃいで、天高く嘶く戎馬じゅうばへ飛び乗った。出発進行と笑う声が聞こえる。そして人馬じんばはいきなりスピードを上げ、笑いながら泣いていた生身の妹を、ぼくの目の前で撥ね飛ばした。


 ぽーん……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ