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第四章 ぷにぷに 第七節 チュコレート=チュコチップアイチュ


「貴様は! 《吸愛の子御守(ピンクパイア)》、チュコレート=チュコチップアイチュ! どうしてここに!?」


「チィッ、こンの、忙しい時に……!」


「あン? なっ、~~~ッ!!」


 残像を実体化させて、黒金くろがねの大蛇と化した手裏剣ソーサーヘッドが、《絶対先制ツァーリ・煌帝雷刀サーブレード》と激突。

 白眼帯スレスレに稲光。

 金属片の夭折風景は、いつ見ても物質なのに非物質で、炎なのに電気だった。


 共闘虚しく合理的に、自分から近づいてきた()が、まずシュレッダーにかけられる。恐怖におののく残った忍者。未だ気付かない刺突剣。同じ運命を辿る未来が見えたに違いない。奥歯を噛みしめ二重、いや三重の苦しみをその目に映した。


 次の瞬間!

 必要以上には翻らないミニスカートの深淵から、遺骸がはらはらと舞い落ちた。

 ぼくはついに枕元で、メッシュの神秘を失った。

 いとけない月が雲間へ消える。


(成長してほしくないという感情を、今なら理解できそうだったのに……)


 ふたりはそれぞれにセルフハグしてうずくまった。

 女の子座りの別名も、検索するまで思い出せなかった。


「ニンジャ! レイピア!」


 ほんの些細な勘違いが、無くなることが無いがために、戦火は地上から消えないのだろう。

 成程それで勇気は取り戻せたのかもしれないが、残念、集中力が犠牲になった。

 そこを突かれた。


《サムライ》を振り切って、先程事故があったあの場所へ、炎のワンボックスが投身。

 今しがた警察に連行された運転手と、《ジ・オーシャン》に下から車ごと運んでもらっていたぼくたちは助かったけれど、スマホ依存症の欲張り屋さんは、毎月楽して10万円も稼いだ代わりに2度目の爆発に巻き込まれた。


 なんだこれは?

 遠い方がよかっただろうが。


「嘘だろぉ!? ええええええっ!? 嘘だと言ってくれよおおおおおおおっ!」


 しかしそう叫んだのは、喉元へ水平に全力で日本刀をぶち込まれた男の方だった。

 運動会で必ず目にするあの頑丈な手綱が、ヌ゛ヂ ヌ゛ヂとほどけてゆく――


 そこ(▼▼)には口があった。

 刀をバキン(▼▼▼)と噛み砕く。


「知りてえ……、知りてえ! 俺たちは、どうしても知りてえええええ――んだっ!」


 ぶん殴られた《サムライ》の眼鏡がふっ飛んで、アスファルトの上をガリガリと転がり、おかしな方向へねじ曲がったまま、ビクビクとピンクのゴス子へ沈んだ。


「教えてくれ、教えてくれ、教えてくれえェェェええええええぇぇええエエエッ!!」


 地表に太極図が光り輝くことはなく、弾けた龍に竹がかぶさって、ぼくはクリオネの捕食行動を思い出した。


 鉄が気化するほどの熱量!

 今、見せるための筋肉ボディを適当に覆う三角ハンドルは、額のものを含め、ひとつ残らず充血していた。

 そんな後ろ髪ギザから立ち昇る、ぼくのかんがえたさいきょうのオーラが、ついに天を突いて雨雲を吹き散らす。


「ああっ、気になる! 気になる! 気になり過ぎるッ! 寄越せ! 寄越せ! 俺たちヮァ~~~ッ!? 誰もが一度は閃いてしまうあの、死ぬ感覚をッ! 死ぬほど、知りたいいいいいいいリリリリイイイイイイイイ~~~~~~~~ッ!!!」


 口の中へ首の口へ心臓へ両の目へ、最近よく見る煌帝雷刀が突き刺さるだけに留まらず貫通。仰向けにぶっ倒れた自殺志願者が、夜の闇に侵される。目の座ったチュコチップアイチュ様を見上げた、《ピュリティレイピア》がわなないて、


「っ、違うの! そうじゃなくて、その、あいつは――!」


 落雷や隕石の落下説はあとになってから閃いた。

 撃たれたと思った、宇宙から。

 外れたと思った、運よく偶然。


「《百二十五万九千ウルトラミリオン七百十二煩悩ディザイアス》四個体から成る、《自称四天王》……、通称《SCE4(セフォー)》! ついにこの日が、来てしまったのね!?」


「あっ、今思い出した。『貴様』は確か、うちの熱心な追っかけやってくれてた、《純潔丸出し☆ピュア解説》?」


「ぜんぜん違いますっ!!」


 桜色の衣裳の方は、20連勝が稚児を誘う、秘密のポイになっているというのに。

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