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第一章 白百合十字団 第二節 残忍な豹海豹

「どうしてなんだあああああああああああああああっ!?」


 例のローランド・ベビーベッドライダーがやってきた。


「どうしてなんだ!? どうしてオレがこんなにも……! 死ぬ思いをして稼いで……! やっと貯まって……! あいつを笑顔にするために買って! んぶぅっ! 店員さんも笑顔で後押ししてくれたのにぃひぃいいいいいいっ! イーイイイイイイイイイイイイイインッ!!」


『うるっさいわね……!!』


「食器洗いが済んでいたら、毎回毎回ありがとうとはにかめよ! ぬいぐるみを手渡されたら笑え! 頭を撫でてやったら即、全身で泣いて喜べ! グフィィww! 高級指輪が手に入ったら三つ指ついて出迎えろッおおお、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」


 お願い助けてと真正面から懇願されて、岡朝おかあさガウラは諦めた。

 世界一の馬鹿に敵う、普通の天邪鬼なんかいてたまるか。


 胸に手を当て、例のお祈りを静かに暗唱。

 するとそこが眩く輝き、魔法少女の三種の神器、杖と箒と鏡が現れた。

 もうひとつ深呼吸。


「あの……さっき言おうとしてたことだけど……一昨日はお腹をぶん殴って、本当に……」


「ガウラちゃんっ! いいのよ!? 今度は変身してからフルパワーでふむん!? むぐむっ!?」


「オレは親切に一度間違えさせてやってから間違っていると指摘してやっているのに! どうしてどいつもこいつもオレを蔑むんだよオオオオオオオオオオオッ!? こんなくだらないことで会社を辞めるな! コネで入社して何が悪いッ! 自分の興味のある話だけにしか乗って来ない、根暗で陰湿な窓際便所飯野郎を、イジってイジってイジってイジってみんなに笑いを提供してやっているオレのことを、もっと女子は好きになれええええええええええええっ!!!」


 岡朝おかあさガウラは舌打ちした。

 彼女のようにはばかることなく。

 彼女とは正反対に酷く不躾に。

 そして変身する。

 初登場なのにもかかわらず、変身バンクをすっ飛ばして。


「かっこいいーっ!」


「……あなたみたいな、いついかなる場合においても他人が悪いとしか思えない、ガチサイコな悪人には、全く共感できないわ……」


「うるさいオレが全部正しいッ! オレの考えたオレの考えるオレの努力方法で、オレは絶対にオレがオレがオレが!? オレはッ! もっと! モテたいいいいいいいいいいいいいっ!!」


「モテたきゃモテるための努力をしろ!!」


「はァ~~~ッ!? やっっってるさ!?」


「違う! やってない! それは赤ちゃん用のモテるためのマニュアルだ!!」


「赤ちゃ! 赤ちゃ~~~ん!? ふっざけんなッ! オレは今までずっと、この方法で、」


「失敗し続けてきたんでしょ!?」


「ちっがぁ~~~うってばぁ!? あと一回諦めなければ、間違いなく絶対に成功するんだからあ!?」


「いいえしません! 赤ちゃんには赤ちゃんの! 幼稚園児には幼稚園児の! 小学生には小学生の! 中学生には中学生の、高校生には高校生の、大人には大人の、好意を勝ち取るための作法がある! それに、何かを買い与えることでは女の子の心は決して、きゃああっ!!」


『ガウラっ!!』


 しかし、超重量のがらがら(▼▼▼▼)を、ほんのちょっと触れただけで撥ね飛ばせてしまったがために、その悲劇は起こった。


(それでも、誰もいない場所へ流れるように、気をつけたはずなのに……!)


「ごめんなさいっ! 大丈夫!? 私ったら本当、破壊だけは得意で……!」


「い……いや……いいんだ……、ボクはただ……君からもらう電子ペットが……大事だった、だけだから……っ!」


「!」


 おむつ猿人が、自分のことをもっと知ってもらいたいから、これからも頑張って売り込む、知らないと好きになりようがないじゃないかぁと叫ぶ。

 ガウラの唇が残忍な豹海豹(ヒョウアザラシ)を隠した。



 強化フォームが初バンク!!



「もしもこの破壊が間違っていたのなら、次の破壊をこの身体に甘んじて受けましょう……」


『虹の……尻尾……!?』


 それは、桃色な天女から感嘆詞を剥奪するほどの優美さであった。



「七色なのは日本だけ!? 夢幻の相対! パフィンリリポップレインボーテール!!」



 ――と、彼女がしっかりポーズを決めて、《五次元美少女ギピュールパフィン》、第8話のAパートが、元気をいっぱいもらえるポップなアイキャッチで終わった。

 玩具販促系CM~♪

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