第四章 BRBB 20 正義とは何か
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「でもほんと、卵から眼鏡が孵ったときは、私ついに死んだのかと思ったわー」
カートを押すのはてぃら美の仕事。なんという幸せの風景。こっちこそ実は死んでるんじゃないかと錯覚する。
まあ実際、有限班は何もしてないからな。驚き疲れはしたけれど、体を張ったわけじゃなし。高過ぎて手が出ない野菜のコーナーを素通りする。うんあとでお菓子な。おれもなんか買う。目的地へ到着。
「正義とは何か!?」
単メカ目のアイドール、銀メガネウラの衛奈さんをいつもの眼鏡に戻した好乃が、閑散とした店内で、くるんと衣服を揺らして回転。おれたちに向き直り、かっこいいポーズを決める。
あっ、今の腰の動き、今までで一番女子っぽかった。
「それは即ち――、焼肉のタレとコンソメと大豆です♪」
「お前ほんとにテンション高いな」
「正確には大豆製品全般! エストロゲン似のイソフラボン! あと卵とちくわよ!? んひひ、これぞスーパーダイエッ……、ト……!? くふぅ……!? スーパーダイエットゥ! むはは!」
そして笑いの沸点は低過ぎる。
「三人寄らば、九品目まで激安プライス! んわー、最高♪」
モヤシと豆腐をどかどか詰める。
待てよそれならもう一個籠要るじゃん。
お子ちゃまトリオがキャラクターふりかけを購入しないはずもなく、会計を終えて外へ出て、万能杉の顔を見て、トイレットペーパーも買っておけばよかったか。