第四章 BRBB 19 闌干
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「うそでしょ!?」
「まさか、そんなことが……!」
「それだわ! それよ! ああもう、どうしてもっと早く思いつかなかったのかしら!」
言うなり好乃は両目にOKハンドを装着した。
何を始める気なんだ?
ビームか!? ビーム以外考えられねえぞそのポーズ!
『おわあああああああああああああああああああっ!?』
今度は細流姉妹から、ビュンビュンッと魂が抜けた。おれは抱き合いながら考える。こいつらは虫全般が駄目だったんだな、と。
好乃の両目から溢れ出る、花松音那ちゃんカラーの、何一つ銀色ではないギンヤンマが止まらない。
(オリオンなんか目じゃない闌干!)
超特大の”銀メガネウラ”が完成。
『いっけえええええええええええええええええええええええええっ!!』
成程確かにそれは微塵もミニ四駆ではなかったけれど、レーシングバトルには相違なかった。
おそらく選ばれたエリートたちは、国際宇宙ステーションの窓から、いきなり土星を開始した黒い母星を見下ろして、No way! や、What is going on!? What the F〇ck!? などといった台詞を、口々に叫んでいることだろう。
こうして、一年以上も太陽光を遮り続けた厚い雲はついに吹き散らされて、六度目の大量絶滅期は終わりを迎え、ついでに第三次世界大戦も終わった。




