第四章 BRBB 18 硬骨
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熱を感じて振り返る。
右腕が蛇のように何かを捜す。
おれは咄嗟に埋火リュミナの顔面を、自分の胸へ抱き寄せた。
間一髪!
ファビュラスマゼンタの鋭い瞳がカッと見開かれ――、
意外にも落ち着き払って起き上がる。
しかしその目はしっかりと、標的を睨めつけたまま。
ゆら、ゆら、ゆらりと引っ掴んで踏み込んで、一陣の風になった彼女は、飛び込むと同時に平手打ちを食らって土瀝青へ突っ込んだ。細流らいあがカルカと叫ぶ。細流氷麻が目を覚ます。白銀のキングチーターが、シロップとアイドルソングを喀血しながら、虚空へと吼え散らかす。
香然の気で分身が作れたか、いや秘書になる前のバーコードがそもそも共犯だったから――!
変わり果てたマオにゃんが、右へ左へよろめきながら迫り来る。レッドがグリーンを抱きしめる。そうだ好乃は全くあてにできないんだった! どうしよう!?
気合を入れる掛け声に続いて辺り一帯に春が来た。
全てのお弁当が本来の五月を取り戻し、鼻と口にタラが入って、氷麻が凍死を免れる。
(なんという、食事と時短の複合技……!)
ブッ刺した剣を杖にして、よろよろと立ち上がった彼女は、全員が見守る中、とんでもない行動に出た。ブラッドレッドブレッドブレイド、《鋸先輩》を引き抜いて――ホームラン予告。暴走の雪女猫が、猫科で唯一引っ込まない爪を、再び我らが御飯鮫へ振り下ろす。
『今日を絶対、生き抜くんだ!』
『どんな手を使っても!』
『恍惚合体!!』
ごはん・メカ複合目だったからこそ成し得られた芸当!
ここぞとばかりに開かれた、自慢の鮫歯が剣を喰らう!
『ノコギリ・S・メガロドン!!』
そんなメガロドンはいねえ!
戻ってきた翡翠の目玉が桜色の肌に光る。小柄なチートへ体当たり。罵り合った二体によって、バトルステージが上昇し、競い合った二体によって、おれが感動に涙した。
あれは……!