第二章 幸せすぎて涙出る 04 女児向けアニメの中じゃないっ!
「ここは女児向けアニメの中じゃないっつぅーうの!」
その日の夜、俺はスペアの枕に顔をうずめて、できるだけ小さな声でそう叫んでいた。
「ぬおーっ! んぃーっ……! んんーっ!」
この気持ち、どうやって沈めればよかろうか!? ベッドの上で、できるだけ音を立てないように、布団を抱きしめごろごろ、ごろごガッ! あっ! 小指打った。いた~い。
《女児向けアニメの中じゃないっ!》。
ラノベのタイトルにできそうだな……。
「こうなりゃ最後の手段だ……」
俺は仰向けになったまま呟いて、右手で例の機械を引っ掴んだ。今日は楽しかったね~。私たち、最高の親友だよねっ? また行こうねっ、焼肉回のある漫画の品揃えがまぢパない焼肉屋、焼肉ブックスwww
「どうした、何かあったか」
甘えた俺が悪でいい。思惑通り、ボケて即電話きた。とりあえず簡単に経緯を説明。中学生に慰めの言葉を求める、情けないに磨きがかかった駄目男……。
「ほほう、珍しく早めに帰ってきた、熱血の垂れ目系イケメンなお父さんを女どもに盗られて、心底悔しかったと」
「今の話でどうしてそうなる」
逆だ、逆。お前ってやつはまったく、妄想力の逞しい中2女子なんだから。
ほんとにもう、そんなこと。
あるわけないんだからね?




