第三章 鬼謀 B‐44 あっけない終わり
終わりはあっけないものだった。
ひび割れた天井から降ってきた男を、宇菜菊が咄嗟に受けとめた。
「……お兄ちゃん!?」
『!?』
そして宇菜菊宇菜也の胸の中の、白亜木大納蔵の腕の中に――、
「カグ!」
埋火カグラザちゃんが居た。
『!!!』
そもそもが食肉の生産施設なのだ。食料に事欠くはずがない。誰がこんなにも巨大な農園を経営する? 少なくとも心は豊かな途上国のキッズではない。経営に必須の善良な従業員の目に悪行が、留まらない確率は、実際問題限りなく低かった。
角の中の稲妻が、恐ろしい唸りを上げる。デンキナマズが泥水の中で獲物を探る特番が蘇る。真っ赤な弾丸に突撃された天井裏で、逆鬼ごっこの鬼ネズミ狩り。
電気椅子に恐れをなして、自ら進んで身を投げた、見るからに四十代ですかと訊ねられ慣れているアラ還が、宇菜菊に全力で殴り上げられて禿頭バレ、降ってきた不殺の峰打ちを、泣きっ面にぶち込まれる。
…………。
次に目を戻した時には、赤の髑髏も、作業着萌えも、もうどこにもいなかった。
(!)
いかにも奴らしく、わざとらしく、椅子に置き忘れていったものを発見。
(当てつけなのか、警告なのか……)
真っ黒な鳥の羽は手に取ると妙にでかくて、実にパチ臭く、左右非対称になっていなかった。




