勇者vs勇者のお話 その4
戦闘シーンの続き。
[悪魔召喚]でサタナキアを呼び出したのはよかったが・・・。
「いいさ・・・どうせ私はその程度でしか・・・」
「だからごめんってば!俺がかなり必死だったせいだから!」
何でいきなり悪魔なぐさめなきゃいけないんだよ!いや、まあ俺のせいなんだけどね!?
「大変な時こそ頼ることが出来る。それが友ではないのか・・・」
め、めんどくせぇぇぇぇぇぇ!偶々だっていってんじゃん!打たれ弱すぎだろ!大体今!目の前!敵!いるんだよ!?こんなことしてる場合じゃないんだよ!!
いや、勇者くんがめっちゃ警戒してるおかげでこっち来ないんだけどね!
とりあえず体勢を立て直さないと・・・!
「サタナキア、それはちがう。」
「え?」
「友だからこそ、こんな危険な場所には呼びたくなかったんだ。」
「そう、なのか?」
まあ、悪魔にとって危険な場所なんてそうそうないんだけどね!!というかやっぱりチョロいよね!君!
男がチョロくてなんだって話だけどさ!
もう一押し!
「お前は、俺にとってかけがえのない友達なんだ。失うようなことは・・・したくなかった・・・。」
「カズト・・・。」
嘘はついてない。
実際いなくなるのは嫌だし?
「俺にとっては」この牢獄危険な場所だったし?
ピコーン
ん?なんか技巧手に入れた。
_______________________
[中位級]
詐欺師
話術によって人を騙しやすくなる。
_______________________
・・・何でこうなった!?というかどう見たって勇者が手に入れる技巧じゃないよこれ・・・。
ま、まあそれはいい、いいんだ。今にはじまったことじゃない。
「サタナキア。敵を倒すのを手伝ってくれ。今度こそ友として!」
「ああ、ああ!分かった!私も戦おう、我が友のために!」
よっしゃ、これで二対一!
サタナキアは強い戦士だ。これでなんとかなるはず!
「くっ!仲間だったか・・・!でも、僕は負けない!」
うん、君はずっとそれいってるよね・・・。
「・・・カズト。自分酔っているような奴がいるんだが。」
「・・・話聞いてくれないんだよなぁ。ナルシストかな?」
こんな奴ばっかりなのか?勇者って。だとしたらうんざりなんだが。
「何を言っている!行くぞ![聖光斬]!」
避ける。というか範囲広くて避けづらいなこれ!
「バカの1つ覚えみたいに、ばかすか撃ちやがって!」
「これは・・・斬撃か。ならばこうすればよいだろう。」
サタナキアが急接近して近接戦闘にうつる。さすが拳闘士。移動が素早いな。
そして、サタナキアのラッシュによって勇者は大技を使えないみたいだ。まあ、それを捌ききる勇者くんもすごいけど・・・。
「攻撃が、速い・・・!」
「くはは!なかなか楽しい!本業ではないがたまにはいいものだな!」
あ、そうですね。サタナキアさん、本当は指揮官の方の人だもんね。あと、めっちゃ楽しそうですね。
しかし指揮官がこんな楽しそうに近接戦闘してるって・・・。
悪魔たちの戦闘民族っぷりがよく分かる。悪魔は俺と違って天然物の戦闘狂だからなぁ。
「こうなったら、切り札だ![剣聖]解除。[剣鬼]!」
「む?動きが変わっ・・・!?」
え、今何で避けたのサタナキアさん。
「今、攻撃してたら、斬られていた。」
「え?でも押してたんじゃ・・・。」
あれ?勇者くん構えが変わってる。あれは・・・。
「居合・・・?」
丁度良い。技巧の内容を今のうちに調べておこう。
__________________________
[王級]
剣鬼
かつての[人神]の勇者。「カンザキ ヘイハチロウ」の技巧、経験、身体能力を自分に上乗せする[人属性]の魔力を併用することで発動する技巧。
その人物の考えを理解すればするほど、加算される能力値が全盛期に近くなる。逆に理解しなければ体が拒否反応を起こし、ダメージを受ける。
__________________________
おう、こういう技巧でしたか、紛れもなくチートだな。つまり今、彼には二人、いや三人分の勇者の身体能力があるわけ?だから俺の方が[魂の位階]が高かったのに身体能力が一緒だったのか。
いや、それにしてはそこまで強くないような・・・。
あ、[剣鬼]とか[剣聖]の考えが分からないからか。そりゃそうだ。現在進行形で人の話聞かないんだもん。分かるわけない。
というか・・・身体能力は今までよりもかなり上がってるし、とくに剣速がすごいんだけど。
自滅してってる。動けば動くほど勇者くん体中から軋む音がする。
だから俺とサタナキアが守りにはいってしまえば。
ほら。
「くそっ、体が・・・動かない・・・!!」
そりゃそうだろう、あんな無茶な技巧使ってたらそうなるよ。
はぁ、こんだけ苦戦して最後が敵の自滅って。こいつバカなんじゃないのか?もういいや、帰ろ。
「ま、待て!」
「待つわけないだろ?」
往生際が悪いなぁ・・・。
「行かせて・・・たまるか・・・!![聖光・・・!」
「それはただの無謀だよ。」
氷属性要素で体を拘束する。
「くそっ、許さない。許さない。許さない・・・」
はぁ、最後まで人の話を聞かない奴だったなぁ。
「諦めろよ。その体じゃ拘束は解けないよ。じゃあな、勇者くん。機会があればまた会おう。」
「・・・許さない。」
「会話くらいしてくれないかなぁ・・・。」
やば、騎士たちが走ってくる音が下からも出口からもしてる。
「カズト。そういう奴は話すだけ無駄だ。行こう。」
サタナキアの言う通りか・・・。ま、とりあえず一件落着?だな。あとは逃げるだけだ。あー疲れた。帰ろ、帰ろ。
「・・・[銀光の制裁]」
「は?」
次の瞬間。
周囲一帯が銀色の光で埋め尽くされた。
そろそろ勇者VS勇者、終わりそうです。
不定期更新って言った方がいい気がしてきた・・・。