別話 白銀の勇者のお話
宣言通り白銀の勇者視点でお送りします
それは下校中のことだった。
僕の名前は藤堂 剣夜。高校で剣道部の主将をしていた。
あの時僕は部活が終わってから皆と明日の剣道全国大会に向け気合いを入れた後、皆と別れ、暗い道をトレーニングがてら走りながら帰っていた。
その時、いきなり僕の足下が白く光り輝き、やがて僕は目の前が見えなくなった。
光が晴れたとき僕が見たのは、どこかも分からないまるで中世ヨーロッパのお城のような所。
自分周りには数多くの偉そうな人たちが並んでいる。
混乱していた僕に対し、かわいらしい女の子が言った
「勇者様。この世界をお救い下さい。」
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どうやら僕は異世界に呼び出されたらしい。しかも勇者として。
この世界は魔王によって未曾有の危機にさらされていて、彼らは僕にその魔王を倒して欲しいそうだ。
どうやら僕を呼び出したのは神らしく、この世界の人々を助けるためらしい。剣道の大会があるので早く戻りたいといったのだが、この世界の時間軸は元の世界に比べるとかなり遅くなっている。だから大丈夫らしい。
なら僕はこの世界の人たちを助けたい。甘い考えなのかもしれないが、自分はそういう人間だそう理解している。
剣の腕なら自信がある。
身体能力は神の力によってかなり強くなっているらしい。
そして、僕に授けられたこの剣。聖剣[バルファルク]。邪を断つ剣。折れることもなく、切れないものもないこの剣がともにある。
僕はこの世界を救ってみせる。
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この世界には魔法というものがあるらしい。僕の魔法に対する適性は全属性に対してあった。その中でも雷と炎にはかなりの適性があった。
使ってみたところなぜか色が全て白色になる以外はかなり強力だった。勇者というものはすごいんだな。
城では姫様と仲良くなった。最初はかなり気が引けたのだが、話しかけてくれる姫様のお陰で仲良くなれたと思う。
姫様の名前はローズというらしい。名前で呼ぶように言われたけどちょっとハードル高いなぁ。
正直楽しい日々だ。
早く救ってあげたい。この国も、世界も。
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王様からローズ様と婚約してはどうだといわれた。もちろん断ろうとしたけれど、ローズ様はかなり乗り気なようだ。あんな・・・あんな目の前で「お慕いしています!」なんて言われたら断れるわけがない・・・それに、僕も彼女のことは好きだ。姫との婚約を僕は受けた。
でも、元の世界のことはどうしよう。と悩んでいた所に声が響いてきた。どうやら神様らしい。神様曰くこの世界で死ぬと元の世界にこの世界での記憶と経験を失った状態で戻るらしい。流石魔法だなぁ。でも、つまりは死んでしまえばこの世界には戻れないと言うこと。
守るものが増えた。そして生き残る理由も増えた。僕はこの世界で勇者として生きる。
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銀の全身鎧を渡された。ちょっと恥ずかしいけど着てみる。どうやら魔法の品らしい。着てみるとかなり軽い代物だった。ローズには大絶賛された。
この鎧を着て聖剣を携えている姿を見て、ちまたでは「白銀の勇者」とか言われているらしい。中二病みたいでやだな・・・
そういえば隣の正教国という国にも「黄金の勇者」という存在がいるらしい。神様が言うには勇者の名前を騙った偽物らしい。殺してしまえとか物騒なこと言われたけど、人殺しはちょっと・・・
今日は僕が初めて魔王軍の化け物を倒したとして、ささやかなパーティーのようなものが開かれた。結構簡単だったんだけど・・・。この世界の人たちにとってはすごいことみたいだ。
パーティーの後ローズに泣きつかれた。どうやら僕のことが心配だったらしい。安心させるために抱きしめてあげていたら、いきなりキスをされてしまった。
こうゆうのは男からするもんじゃないのだろうか・・・俺へタレだな。でも嬉しかった。
今度は僕からしよう。
初めてのキスは甘い味がした。
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今日はどうやら正教国から使者が来たらしい。かなり胡散臭い人だったけど。
使者と王の公開会談が始まったけど、ちょうど魔王の手下が来てしまったらしい。ローズが不安そうにこちらを見ていたので、大丈夫と目で伝えた後、俺はその場を退出した。
表れたのは赤黒い血のような瘴気を纏ったトカゲだった。かなりの強さで、随分と苦戦した。一緒に戦っていた騎士団の人達も傷を負っている人がほとんどだ。
これはもう会談は終わっているだろう。
帰ったらまたローズを慰めないとな。
白銀の勇者である剣夜くんはまあ言うならリアルチーターです。
愛するもののため戦う勇者。いやー主人公しそうですね。
次回は暗黒の勇者視点でお送りします!